徒然雑記



2001年分
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 書籍感想覚書



1月29日

 昨日から、鬼のように猿のように日本一ソフトウェアの『ファントム・ブレイブ』をプレイプレイ。
 どこまで行くのかわからないノンストップギャグとほんのり泣かせる筋立てが絶妙なハーモニーを醸し出しつつ、史上最凶のやりこみシミュレイーションRPGの名に相応しいゲーム性を両立させた傑作ゲーム『魔界戦記ディスガイア』が前作だったわけですが、今回はギャグを廃し、徹底した童話仕立て。ゲームシステムも、意外なほどディスガイアから変えています。しかし、それでもあのやりこみ具合殆ど落ちていない。さすがにディスガイアのアイテム界やパネルシステムは、あれあまりにも嵌り具合が凶悪過ぎましたから、それと比べるわけにはいきませんが、まあ、殆ど寝てない状態がやっぱり嵌り具合が落ちてないのを如実に表しているのではないかと。っていうか、文章がなんか変だ。いつも変だけど。
 アイテムの整理がけっこう難しい。マナを溜めなきゃならないし、合成や称号も色々移動しなきゃならないし、それ以前にアイテムを確保するリムーブがこれまたコンファインのタイミングと相まって難しい。難しい難しいと言ってるうちに鬼のようにやってしまってます。
 現在7話まで到達。それ以前にランダムダンジョンに潜ってるので、話進まない(苦笑)


 『アニメ・マリア様がみてる 第四話』
 笑う話じゃないんだけど、笑い噛み殺して見てました。
 由乃役の池澤春菜が巧いというか心得ているというか。実に儚そうな少女を演じてるんですよね。後のあの盛大な暴れっぷりを知ってるので、病気が原因というのは理解してるんですが、「ネコ被ってる、ネコ被ってるよ!」と可笑しくて可笑しくて。
 これはアニメ化してよかった点ではないかと思います。小説よりダイレクトに由乃と令の見た目と中身のギャップが伝わるのではないかと。少なくとも、動いて喋る令ちゃんは怖いくらいに凛々しいし、由乃さんは触っただけで手折ってしまえそうなほど儚く見える。
 それにしても、令ちゃん落ち込みすぎて、膝抱えて蹲ってるし(笑)

 『ガングレイブ 第17話 MIKA』
 この回を見た後、第一話をみたら全然印象違うよ、絶対。
 あの時はなにこれヘタれたガンアクションだな、と思って見てたと思うんですが、今見たら絶対燃える。手に汗握って「ブランドン・ヒィィト!」と叫ぶ!(笑)
 それぐらい、ビヨンド・ザ・グレイブの目覚めと次回への引きが燃える燃える。
 第一話は本当に流し見してたんで、ミレニアムの幹部会のメンバーもまるで覚えてなかったんですけど、逆にそれが良かったのかな。途中、誰がどうなるというのが分からないまま見れましたから。最初のあれがハリーだというのすらつい数回前まで知らなかったし(笑)  しかし、いい連中ばっかりだったのに、見事に悪の幹部会になってしまって(涙)




1月27日

 勇んでファントムブレイブを起動。ワクワクしながら、コントローラーを握りOPを待つ。
 そして画面に浮かぶ素っ気無い文字列。

『メモリーカードが差し込まれてへんけど、ええのん?』(意訳)

 弟よ、勝手に人のメモリーカードを持ち出すとは何事じゃ?


 寂しくチュートリアルを繰り返す一日でした。
 おのれ〜


【幽霊には微笑を、生者には花束を】 著:飛田甲

 ぐはっ、やられた!
 エンターブレインのファミ通文庫って意外と侮れないんですよね、これが。
 まいった。お見事。万感を込めて拍手。諸手を上げて降伏。
 ラストは素直に感動しました。

 峰岸高校に通う真田真也は、心霊現象を信じないバリバリの科学信奉者。そんな彼が、 オカルトマニアの集まる民俗研の部長、河原崎に無理矢理連れて行かれた廃屋の幽霊調査で、なんと美少女の「幽霊」に遭遇!? 唯一、心霊現象を信じていない自分にだけ見える幽霊の姿に、これは「妄想」だと思いこむ真也。しかし、自宅にまで押し掛けてきた「彼女」は、妹に「ユウちゃん」と名付けられいつの間にか同居することになってしまう。そして、生前の記憶を持たない彼女の「私、殺されたんです」の一言に、真也はユウの過去を調べはじめるのだが――。えんため出身作家が贈る少年と幽霊のハートせつない青春ラブ・ミステリー!
 公式サイトより紹介文引用。

 ……はっきり言って、これ富士見ミステリーよりしっかりミステリーしてないですか?
 情報の据え方が、けっこう分かりやすくて、途中で薄々気付きはするんですが。
 いや、しかし綺麗に広げて綺麗に畳む、すっきりとしたイイお話でした。




1月26日

 遂に日本一ソフトウェアの『ファントム・ブレイブ』を購入してしまいました。
 多分、廃人になります(w



【王国神話 空から降る天使の夢】 著:明日香々一

 富士見ファンタジアの問題は、ここ数年ばかり長編小説大賞の受賞作ではなく、最終選考作の方が良作だったりマシだったりすることじゃないでしょうかね。とか思って、例年の受賞作を振り返ってみると、別段そうでもなかったり。そもそも最終選考作でデビューという人はそんなにいませんでした。
 ただ、その少ない面々があざの耕平・青田竜幸・渡辺まさき・南房秀久というメンバーなのを見ると、伸び代としてはここらへんから出た人の方がいいのかな、と思ってしまう。
 さて、この王国神話。正直言って、まだ全然味付けが足りない。話の膨らみは薄いし、まるで必要の無い登場人物や作りこみの足らない部分が多々見受けられる。
 それでも、私の印象としてはなかなかいいものを持っているんじゃないかと思いたい面もけっこうあるのです。キャラクターの描き方、滑らかな語り口。一味違う発想。
 現在の骨格に、実力という肉付けがなされたとき、この作家は一皮向けるだけの下地はあるんじゃないでしょうか。
 あまり悲観的にばかりなっててもイイ事もないので、ここは期待して次回作を待ちたいところ。
 と、なんかダメダメみたいな書き方してるけど、面白かったですよ。少なくとも、今回の小説大賞作品の中ではピカイチでした。
 この後の伸び具合によっては富士見の主格を狙えるのではないかと(メインは今手薄ですし)。


 しかし、ここしばらく読んだライトノベル、なんともモドカシイ気持ちにさせられる作品の多いこと多いこと。
 あと、もうちょっと何か一味塗したら、厚みを加えたら、深みを与えたら、もっともっと面白い作品になるのに、という作品が本当に多い。読み終わったあとの「あー、面白かった……んだけど、なあ」というこのもどかしさがなんとも言えず心苦しい。
 実際名前をあげると『さよならトロイメライ』『平井骸惚此中ニ有リ』(富士見ミステリ)、『エンリル・エッジ 刃をまとう女神たち』(ファミ通)、『蒼き星のメリクリウス』(スーパーダッシュ)ってところか。
 富士見ミステリーは思い切ってページ数増やす決断は必要だと思う。手軽に読めるというのはそれはそれでイイかも知れないけど、やはり歯応えが足りなくなってしまう。『魔法遣いに大切なこと』の枯野氏のようにあの薄さにあれだけの密度を込められる作家はなかなかいないのだから。『Dクラッカーズ』なんて並べてみたら二倍か三倍くらい厚いじゃないか。これだけ例外のような気もするけど。本屋で見たら、Dクラだけ他のミステリー文庫と別の生物みたいに厚さが違うもんな(苦笑)
 まあ、今回は新人作だから仕方ないとしても、田代氏と壱乗寺氏の作品はもっと厚いものを読んでみたいところ。




1月23日

※カツノリ巨人に金銭トレード。

 よりにもよって巨人?
 これ、どういう裏読みしたらいいの?
 え? 野間口?
 ま、まさか、来年は巨人 野村監督!?


【吉永さんちのガーゴイル】 著:田口仙年堂

 えんため大賞大賞受賞作。
 全選考委員激賞!
 編集部絶賛!
 ついでにオレも大絶賛!!

 ハートフル&ハッピー・コメディと銘打っていますが、まさに最高のハートフル、際限なしのハッピー、そして最強のコメディ。いや、もう最高、素敵、素晴らしいしか言えない。なにこれ、もうどうしよう、わーお!
 読んだあなたに福来るとか裏表紙に書いてあるわけですが、読み終えたあとの気分はほんとにほんわかぽかぽか幸せでした〜。

 端的に言ってしまうとこれは家族ものであり、ロボットもの。吉永さんちに商店街の福引の景品として現れた犬型の石像くん。吉永さんちの家族の身の安全を守るため、門番として頑張る堅物保安製品ガーゴイルくん(吉永家銘々)の心の成長物語。
 ってか、この小説家のセンスはなんか違う。ビビッてくる。少なくとも凡ではない。独特のものがある。キャラクターの作り方、そしてその配置がそこらのライトノベルとさり気なく一線隔しているような気がする。それも濃度が濃くて癖があるのではなくて、まろやかに独特と言ったらいいのか悪いのか。
 今年は一月から大豊作ですわ、参った。多分、間違いなく本年度のマイベスト10に食い込んでくる作品。場合によってはベスト5にも。

 しかし、吉永さんちのママさんのキャラクターは洒落にならないくらい萌えた。
 こと小説に関して、私は「萌え」という符号は滅多に使いません。ってか、今まで無いんじゃないか? ってくらいに使いません。

 萌えぇぇぇ!

 使ってやるさ! ああ、使ってやるともさ!!

 ママ、萌えぇぇぇ!

 田口仙年堂先生、あんた天才。キャラクター描写法において、こんなやり方があるなんて私は想像もしなかった。横っ面を叩かれた気分です。心底尊敬します。これは新境地だ。


【銀盤カレイドスコープ Vol.3 ペア・プログラム so shy too-too princess】 著:海原零

 正直、私はまだ海原零を舐めていたんだと思う。まだ、侮っていた。
 予想のはるか斜め上を行かれました。
 私の中では銀盤カレイドスコープは2巻で完結したと思っていましたし、次回作が出ると聞いた時は、どうせムリヤリ続き書かされるはめになったんだろうと思っていました。
 三巻のサブタイトルがペア・プログラムと知ったときは感心したものです。なるほど、そう来たか、と。
 ご存知の通り、この小説はフィギュアスケートもの。前回まではシングル一本だったのですから、確かにペアというシチュエーションは、主人公に前回までの経験を踏まえた上でまったく新しい境地を踏ませることが出来ます。
 ここからはネタバレで
 ペア・プログラムというからには相棒である男性が、主人公であるたずさに深く関わることになります。この相手の男を、てっきりピートだと思ってたんですよね。既に死んでいて幽霊だったピートですが、それはあくまで彼の自称でした。おまけに彼本人のプロフィールは思いの他明かされていない。実は生きていて、偶然再会し、急展開でペアを組むことに、なんてストーリーを想像していたのですが、全然まったく違いました。
 まさか、まさか。こうも逃げの無い真っ向からピートがもういないという現実に立ち向かう話になるとは。
 消えてしまったピートへの想いに囚われていたたずさ。自分はもう一生恋をしない、いやできない。そう頑なに思い込んでいた彼女が、それが例え友情や気まぐれからだとしても、自ら男性と踊らなければならないペアへと転向し、ピートへの想いから相棒であるオスカーを心底から信頼し切れずどん底へ落ち込みながらも、めげずに這い上がり、やがて呪縛を克服してオスカーとの絆を深めていく。
 そして、最後のフリープログラムを終えた瞬間、自分の心を塞いでいたピートの影が去っていく様子は、ちょっと本気で感動してしまいました。
 大好きだったのにいなくなってしまった人への想いを、忘れるでもなく捨てるでもなく、ちゃんと乗り越えるという姿を、ここまでちゃんと過不足無く描けるとは。

 いや、これだけならまだ海原零に此処まで恐れおののかなかったかもしれません。
 参った。
 まさか、ふられるとは(w

 いや、予感は勿論あったのだけれど、まさかああも生々しい理由で断られるとは思ってもみなかったものですから。すごすぎ。何気に手抜きが全然ないのよね、海原さんって。

 しかし、ダラダラ感なしに、続編を立ち上げたその実力はお見逸れしました。さらに、4巻も出すそうですが、今作を読んで、自分がまだまだこのたずさの高飛車高慢プリンセスロードを見ていたいのだということを実感しました。
 実のところ、まだピート再登場の余地は残されていると穿っています。さて、どうなることやら。



 今月はどのレーベルも大豊作です。ほんと、ウハウハですわ。




1月22日

 ああ、ファントムブレイブが欲しい。



『GUNGRAVE 第16話 LETTER』

 ビッグダディの台詞じゃないが、不器用すぎる。
 ブランドンのあまりにも篤実で無私な覚悟に、胸が詰まりました。
 そしてビッグダディの「おお、息子よ」という台詞。その称号通り、ファミリーにとっての父親というだけでなく、この人は父親だったんですなあ。彼とブランドンの信頼関係は思えば確かに父と息子と言えました。
 父親のいない孤児だったハリーとブランドン。ハリーはビッグダディとブランドンの関係がただの忠誠でも、ましてや友情――自分とブランドンとの間に結ばれた神聖不可侵な関係――とは言えないものなのだと理解できなかったんでしょうね。それが、自分以外にブランドンと絆を結び、二人の友情に割って入ってきたビッグダディに嫉妬を覚えた。あの激昂の台詞がそれを匂わせてる。誰よりもハリーを信頼し、最後まで裏切る事無く、覚悟を決めて身を委ねていたブランドンの友情を、見失ってしまった。ブランドンは自分よりビッグダディの方を大事にするようになってしまった、と思ってしまった。辛すぎるじゃありませんか。みんな可哀想だ。
 しかし、これって男の友情の三角関係だよな(苦笑)

 九頭文治、ブランドンの腹心だったこの人が、何故かああいう動きをしてるんですけど、あれはブランドンを裏切ったんでしょうかねえ。仁義の男である彼が、ハリーの裏切りを承知していながらああいう真似をしているのはちょっと信じがたい。
 今回、ブランドンがハリーの行動をすべて把握していたことが分かっていて、自分が殺された後の準備を色々していたことを考えると、ブランドンが文治になにか含んでいた、というのもありかなと考え中。例えば、自分に代わってハリーを守れ、とか。それこそ誰からも、自分からさえも、とかとか。
 そこらへんも注目しながら、ついに第一話のストーリーに次で連結ですな。楽しみ楽しみ。



1月20日

 なんか新刊放置してバカみたいにDクラを何度も読み返してるのですが、茜の最後の選択、これいまさらなんだけど、女性として物凄い選択だよなあ、と。
 ここからはネタバレなので隠します。

 結局、6巻で本人が吐露したように、甲斐氷太に必要だったのは恋人でも仲間でもなかったわけです。それらを大事に思い大切に扱いながらも、彼という人物の一番奥底では必要としていなかった。心理操作によって無理やり引きずり出された心情でしたが、それ自体は操作によって作り出されたものではなく、甲斐本人の中に厳然と存在した心情だったわけです。甲斐は薄々自覚はしていたものの押し込めていたものを、もう誤魔化しようの無い決定的な形で目の前に突きつけられてしまいました。
 最後、これをどう処理するのかと思っていましたけど、あざの氏はこれを放置も放棄もしなかった。最後、立ち去っていく甲斐の後姿、そして横顔は自分の本質を認め、そして受け入れた寂しく孤独なものでした。このままだったら、登場人物の中で甲斐だけが未来への果てしない広がりを見失っていたでしょう。
 此処で、もう茜の女っぷりが凄い、凄すぎる。
 恋人として傍らにいられないことを悟った途端、茜は自分は刑事になってやると叫びます。いずれまた徒党を組んでとんでもない悪党になるだろう甲斐のことを、刑事になって生涯追いかけてやるのだ、と。
 これは甲斐の傍らに居場所がない事を悟った茜自身が、それでも甲斐の傍にいようとするためであると同時に、甲斐が生きる上で最も必要としていたもの。かつてはウィザードが担った、血肉を滾らせ、全霊をもって立ち向かえるだけの強力であり不屈であり、真っ向から正対できる気概と器を持った敵――ライバルになってやるという宣言でした。
 凄いじゃないですか。普通出来ます? 惚れた相手のために、そいつの敵になってやろうだなんて。生涯、彼の渇望を自分が請け負ってやろうって宣言ですよ、これ。ある意味プロポーズにも勝る宣言じゃないですか。
 その宣言を聞いた後の、甲斐の描写が私にはたまりません。
 もう寂寥も孤独も虚無も、立ち去っていく甲斐にはありませんでした。
 3巻を過ぎた辺りから、何処が、ではなく全般に渡って隙間無く素晴らしいシーンが並べ立てられているDクラッカーズですが、再読して此処がどんなに味わい深いシーンだったかを思い知らされました。まったく、何度読んでも飽きません。
 7−1に比べると(比べるのが間違いなのですが)、完結編で盛り上がりに少しばかり欠けるかも、と言われる7−2ですが、とんでもないですねえ。全然7−1に引けをとってませんよ。

 某所では千絵にばかり票が投じられてますけど、ってかそれはもう物凄く納得できるのですが、茜も最終巻読むと捨てがたいんだよなあ。




1月19日

 猫ってやつはたまりませんね。車が来てるんだから、立ち止まるくらいしなさいよ、まったく。平然と横切りやがるんだから。危うく轢きそうになりました。急ブレーキ掛けたものだから、後ろを走っていたバイクとぶつかりそうになりました。肝が冷えるってのはこういう時の事を言うんですね。あー怖かった。


※攻殻機動隊SAC

 なんと、これ地上波放送するそうで。地道にレンタルして見ていたのがバカみたいです。でも、タチコマくんはビデオDVDだけの特典みたいなので、少しは溜飲下がるかな?
 他にもけっこう残酷描写があったはずなので、それらも多分ごっそりカットされるんだろうなあ、と。
 タチコマたちをもう一度愛でたいので、地上波もチェックするつもりです。


※不死身ミステリー

 不死身どころかそろそろ瀕死のようにも思える富士見ですけど、あざの耕平の次回作が果たしてファンタジアなのかミステリーなのかは非常に興味深いです。何気に最近、まだミステリーの方がマシなんじゃないだろうかという疑いもあるわけで。あざの氏を輩出したことその一点で、その存在意義を果たしたと言えるミステリー文庫ではありますが、さらにあざの氏を抱きかかえ、この調子でイイ作家を確保していったら、もしかしたらファンタジアを越えられるんじゃないかも知れ知らん、などとあまりレベルの高くは無い所で比べてみてしまうものであります。
 ああ、与太話はそろそろ脇に置き、今日の一品はこれであります。

『平井骸惚此中ニ有リ』 著:田代裕彦

 えー、第三回のミステリー大賞大賞受賞作なのだそうです。生憎と第一回の大賞作はもとより、第二回の準入選作、ならびに特別賞受賞作は『タクティクスジャッジメント』の第一巻を除き、短編を読んだ上で購入するほどのものではないと判断し、手を出しておりません。『タクティクスジャッジメント』も第二巻で放り投げてしまいましたが。
 つまるところ、ミステリー文庫でまともに購読しているのはあざの氏の『Dクラッカーズ』と枯野瑛氏の『魔法遣いに大切なこと』だけですので、その程度の有様でこう言ってしまうのは横暴なのかもしれませんが、本作、このレーベルのエース格になれるだけの逸材ではあるまいかと思うだけのものがありまして。
 というか、微妙に文体に当作の影響が出てしまっているようないないような(苦笑

 時代は大正。骸惚先生こと探偵小説家平井京太郎の下にお調子者の貧乏帝大生河上太一が弟子入りせんと土下座する場面から事は開かれるのであります。
 大正時代という背景もありまして、また作中の雰囲気も実にそれらしくいい感じ。エセ講談調とも言うべき韻の踏んだ文体が、軽妙なリズムで読んでる此方を作品の中へと引っ張り込んでくれはります。
 中身の方も、決して奇をてらわず思いのほか地に足を着けた作りで、驚嘆されられることはありませんが、安心して堪能できる出来なのではと。
 登場人物も変に奇妙奇天烈、人格破綻者のたぐいは存在せず、でありながら情感豊かな楽しくも心根の心地よい人々が、また愉快で微笑ましいやり取りを交わしながら事件を追っていく姿は、読んでいても純粋に楽しいものでした。
 いやいや、面白かった。
 ところどころに京極夏彦の影響が見て取れるのは間違いないでしょう。文体などの話ではないので悪しからず。
 赤城毅の語り口が好きな人なら問答無用でお勧めだと思います。
 赤城毅ってなんだ? と仰られる方でも、これはなかなか楽しめるかと。私はニヤニヤと、時たまケラケラと笑い声を立てながら楽しませていただきました。
 肝心のトリックの部分や探偵ものの見所とも言うべき事件解明編は、無論富士見ミステリーでありますから過度の期待はせぬ方がよろしいでしょし、まず拍子抜け、物足りなしという程度のものでしょうが、私は単純なものですからホゥと素直に一肯しました。
 いやいや、これぐらいのレベルのものをこれからも頻繁に出してくれるのなら、存在自体がミステリーとは言われなくなるんではないでしょうか、富士見ミステリー文庫さん(笑)


 

1月17日

『シービスケット』、書店で見かけたので手に取ったら中身が映画の脚本でした。危うく間違えて買うところだった。
 しかし、こういう脚本ってどういう人が買うんでしょうね。需要はあるんだろうか。


※ゲーム
『大番長』ようやく一週目クリア。
 キャラクリ五ッ星は十人でした。うーん、進めるのが面倒なわりに、中身がないなあ。
 手順がややこしいわ、手数が限られているわで進行が厳しいわりに、殆ど戦術的やりくりのしようがないっていうのが不満。二週目やるのがちとめんどい。


※整理整頓
 
書籍感想覚書  雑記内で書いた本の感想、リンクして纏めてみました。自分でも何処に書いたかいちいち探さないといけなかったので。
 文字通り一言しか書いてなかったり、続き物だというのに間が抜けてたり、何書いてあるかわからなかったり、とろくなものではないのですが、まあ一応。


『ガンズハート 硝煙の誇り』 著:鷹見一幸
 あー、そろそろキツくなってきたかな。
 この間出したネオクローンAと比べると、かなり力の入った出来だけど。
 この作者、知識の底辺は非常に深くしっかりしているのかもしれないけれど、それを活用して物語の幅を広げることは全然してないっぽいんですよね。ストーリーがどれも同じようなラインを辿ってて、登場人物の主義主張もだいたい一緒。
 それはまあそれで内容が面白ければ構わないわけで、この作者は同じ料理法でも飽きないだけの手腕を持っているのは確かです。
 でも、前ほど美味しいと思わなくなってきたのも確かなわけで。
 この作者って現実ってやつをとても汚くて醜くてどうしようないろくでもないものだと思っているみたいに行間から感じます。実際、現実ってそんなものでしょうし、そんな現実を対面に置いて立ち向かう話というのは珍しいどころかここしばらく流行みたいなものでしょう。ただ、私がちーっと気に入らないのは、それだけ現実を貶しておきながら、ちゃんと立ち向かわずご都合的な作り物の理想主義で汚い現実に勝つ話に思えるんですよね、この鷹見氏の話は。作中で描写している現実の冷厳さに対して、それを乗り越える理想論が頼りなさ過ぎる気がします。
 私は現実ってやつはもうちょっと懐が深くて、そこに住まう人はもっと意地汚くて清廉だと思うし、理想っていうのはそんなに安易なものじゃなくてもっと辛くて苦しくてどうしようもない壁の向こうに敢然と立つものなんだと思います。




1月11日

 撮ってあったアニメ版マリア様がみてるを視聴。
 …………おおう!

 なんか、乃梨子さんの気分が良〜く分かりました(笑)
 すっげー乃梨子さんの戸惑いっぷりに共感してしまった。こりゃカタギの人が紛れ込んだらビビるよ(w


 三谷幸喜って多分舞台脚本にもっとも本領を発揮するタイプの人なんですよね。
 幾つか三谷脚本の舞台を(テレビでですが)見たことがあるのですが、これは凄まじく面白かった。確かに大した人なのは間違いないのです。でも、長いのはなあ。
 その意味では今回の大河ドラマ『新撰組』もあまり期待していませんでした。
 視聴。
 うーん。
 私、土方って史実の方が格好良いと思います(w
 あの土方役の人ののっぺりとした顔は好かんなあ。土方は幕末でも特に好きな御仁なだけに厳しく見てしまってるかもしれませんけど。香取くんが近藤というのもどうもしっくりいかないし。
 池田屋事件もどうにもパッとしませんで。あれ、確かけっこうなし崩しな状況で切り込んだ覚えが。
 有名な沖田の喀血を思いっきり無視してるので、そこらへん敢えてばっさりと史実を切り捨てたんでしょうけれど。
 これまでの歴史ものに見せかけた「渡る世間は鬼ばかり」ばかり見せられていたんで、それらに比べたら期待してるんですが。

 その後、邦画『あずみ』を視聴。
 すげえ。殺陣がすげえ。あずみ役の上戸彩が凄すぎる。
 見栄えを心がけた殺陣としてはこれ、大したものなんじゃないだろうか。上戸彩、かなり特訓を積んで撮影に望んだとは聞いていましたけど、これは手放しで絶賛していいと思います。ってか、惚れそうだ。
 もう斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る!
 これでもかというくらいに斬る!
 それだけ斬ったら刀、もう切れないだろうなんて無粋な突っ込み。
 カメラ回しや編集もアクションの苦手な邦画としてはお見事と言っていいでしょう。
 オダギリジョーの怪演も見逃せないです。オダギリジョーはやはり能天気で明るいキャラが似合ってます。この映画の場合、明るいの方向性が極めてヤバいんですけど(w


 って、今日は視聴してばっかりだな(w



1月10日

『Dクラッカーズ 7−2 王国 −a boy & a girl−』 著:あざの耕平

 これほどページを捲るのにドキドキさせてもらったお話は何時以来でしょう。
 これほど読み終えたときに終わってしまったのだと寂寥感に苛まれるお話は。
 幼き日の少年と少女がただ二人、物語ることで始まった王国の物語は一先ずの終わりをみました。
 ある者は去り、ある者はそれを生涯追うことを決め。ある者は自らが思い定めた夢への決意をさらに強くし、ある者はその夢の傍らに寄り添い、ヘラヘラと笑い続ける。
 そして少年と少女は…………。
 颯爽と駆け抜けていった彼らの背を見送り、今はまだ見ぬ新たなる王国の姿を思いつつ、何処か置いていかれてしまったような寂しさを感じながら、この疾走する少年少女たちの物語を噛み締めたいと思います。
 すばらしい、本当に素晴らしい作品でした。


『GUNGRAVE 第14話 DIE』
 これも黒田洋介?
 親友同士の擦れ違い。いや、擦れ違ったのではなくズレてしまったんでしょうね。生半可な友情ではなく、幼い頃から同じ空を見上げてきたという強い絆に結ばれた同士だったからこそ、この破綻は見ていても物凄く切なかった。
 第一話を見たときはどうなるかと思ったんですが、やはり黒田洋介は侮れないなあ。


 マリみてはまだ見てません。



1月8日

『大番長』プレイ中。
 ってか、これキツいよ。シミュレーションはじっくりと腰を据えて育てていくタイプなだけに、余分な手を打てず急きたてられるように進めなきゃいけないこのゲームはキツ過ぎ。
 現在PGGと交戦を開始してるんだけど、仲間は足りないわ収益は足りないわ治安は悪化するわ、いきなしヤバげな雰囲気。
 信長の野望で一番好きなのは領国経営だというのに(w


『七姫物語 2.世界のカタチ』 著:高野和

 東和と呼ばれる国に、先代の隠し子だという触れ込みで、七つの都市に擁立された七人の姫。その末姫へと二人の若い軍師と将軍に担ぎ上げられたカラスミという少女の眼を通して見る七姫戦争という名の争乱のお話。
 しまった。去年読んだ本のベストチョイスで、これの一巻を上げるのを忘れてました。
 詳しい粗筋は去年の二月十三日に書いてありますけれど、相変わらず小川のせせらぎを川辺から見ているかのような雰囲気のお話です。でも、川の中へと入ればそこは確かに何もかもを押し流すような奔流が渦巻いている。川辺から眺めていても、その奔流の厳しさはときどき垣間見ることが出来る。
 この先、カラスミという自ら望んで御輿の上に載った少女が、二人のステキな悪人とともに囃す祭りの行く末に何を見るのか、物凄く先が楽しみで気になる、これは傑作と呼ぶに値する一品かと。
 この手の作品は読んで貰わないとその雰囲気は伝えにくいなあ。


 去年録画していたものの、今まで見ていなかった『D.C.』と『エアマスター』の最終回をようやく視聴。
 やべ、泣きそうになった。『ダ・カーポ』の方もだけど『エアマスター』のサキヤマカオリの慟哭に。正直、原作が終わっていない状態での最終回なので、訳の分からん終わり方なんだけど、このサキヤマをこんな風に持ってきた時点でなんか終わりと納得できてしまった。ああ、もうアンタ最高だよ、サキヤマカオリ!
『ダ・カーポ』の方も、言ってはなんですがゲームより面白かった。キャラもゲームより魅力的でストーリーの魅せ方も素晴らしい。主人公の朝倉がまた好感の持てるヤツで。軟弱な優しさじゃなくて、一本芯の通った強い優しさを持つ男でござんした。
 最後のさくらは、遂に振り返りませんでしたね。別れの前の会話では返ってくるような事を言っていたにも関わらず、踵を返し別れの言葉を発したあと、「またな」と呼びかける朝倉兄に、振り返らず、再会を約束する言葉も返さずに去っていく彼女の背中が、ひどく印象的でした。
 感動の最終回というのは決して珍しくも無いのですが、こんな風に得も知れぬ切なさと穏やかさが混在した印象的な最終回はあまり経験がないです。
 いい作品でした。




1月6日

 ようやく文庫類の整理が終了。ブックカバーを全部外しました。外すだけでも千冊近い数ですからどえらい作業に(苦笑)
 しかし、これだけでも本棚に入る書量はだいぶ違うみたいです。さらに葉書や広告冊子も除去。塵も積もれば山になるといいますが、一枚一枚は薄っぺらいこれらも重ねてみると文庫本十冊以上の厚みに。侮れません。さらにホームセンターで本棚を購入してきてムリヤリ箪笥の上に設置。一番上の棚には背伸びしないと届きません(w
 ともかく大晦日から開始した部屋の整頓もようやく一段落……いや、漫画と新書の整理はやってないんですけどね。掃除どうしよ。

 十二国記のアニメが教育テレビで放映されてるんですが、今日は『風の万里、黎明の空』の最終回でした。
 いやー、そんじょそこらの燃えアニメなんか問題じゃないくらい燃えました。風の万里の最後の初勅を出すシーンは十二国記でも屈指の名シーンだと思うのですが、その魅力を遺憾なくアニメで見せていただきましたよ。
 正直、アニメは作りとしてどうかなあと斜めに見てたのですけど、この『風の万里、黎明の空』も中盤に差し掛かった頃から原作をそのまま投影したかのように面白くなってきました。今日はその上昇カーブが天辺に達したんじゃないでしょうか。素晴らしかったです。

 和月師の『武装錬金』第一巻がついに発売ということで早速買ってきましたー。
 和月師はやっぱり好きな漫画家なので――前のは記憶から消去しつつ――連載当初から注目して読んでたんですけど、改めて単行本で読んでも面白いなあ。
 武藤カズキは私の記憶の中でも屈指の好感が持てる主人公だと思います。早く二巻でないかなー。

 好感の持てる主人公といえば、なんか地味なんですけれど少年サンデーで連載されてる結界師って面白くありません? 私、かなりお気に入りなんですけど。こっちもヒロイン、主人公より年上なんですよね(笑)
 いつも素っ気無い態度のヒロインに一生懸命さりげなくアプローチしている姿がまあ可愛くて可愛くて(w
 今週はついにCカラー進出なんですけど、王道な展開ながら燃えましたさ。ガッシュの相変わらずのハイテンションに眼が行きがちですけど、こっちもいいんだよなあ。地味だけど(w









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