徒然雑記



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 書籍感想覚書





3月27日

※追悼

 ヒューズ准将に敬礼ッ!
 最近もうなんか泣かされっぱなしです。ちくしょう。
 演出が巧すぎるんだ。魅せ方のツボを実に良く心得てらっしゃる。媒体の違う原作の良さを損ねないまま、さらに話の色彩を鮮やかにするのは非常に難しく、だいたいが失敗しているしというのにこれと来たら……。
 ホームに立って別れを告げるヒューズと、それを不思議そうに振り返るエドの姿に、完全決壊。




3月26日

 遂に遂に発売してしまった『皇国の守護者』8巻をゲットー。何年ぶり?
 イラスト平野耕太だよ、どうするよ、おい。新城がもう極悪ですよ、極悪。見た目で悪。

 富士見ミステリーの『GOSICK』がまたいい感じ。すっげー気に入ってしまいました。
 吉永さんちのガーゴイルの二巻も一巻に引き続いてまた良作に仕上がってるし。後日、改めて感想書いてみよう。




3月25日

 うわああああん、と最近ほんと涙脆いみたいな八岐です。
 ガングレイブ、もうBパートが泣けて泣けて。
 信頼する古くからの部下を失い、愛する妻も失い、地位から失墜してついにミレニアムを追われ、命を狙われるはめになったハリー。頼みの生体兵器オーグマン部隊もまた、対オーグマン用の特殊弾が開発されてしまった事で崩壊。とうとう何もかもを喪って、街を独り逃げるハリー。挙句、ハンドル操作を誤って車をぶつけ、気を失ってしまいます。ここ、飛び出してきた猫を避けようとして事故るんですよ。その前、自分を狙ってきた人間は躊躇わず轢いてるのに。それがまたなんとも。
 で、気を失って、まだブランドンと街のチンピラをやってた頃の夢を見るんですよ。まだガキで、子供で、本当に自由だった頃の夢を。
 泣けた。
 最後、年老いた自分を置き去りにして、若い自分と若いブランドン、そして死んでしまった仲間たちが去っていく背中を見送るハリーの姿に。泣けた。
 あまりにも遠くに来てしまった実感に、見ているこちらまで胸が引き裂かれそう。
 そして、崩れていく身体で、何もかもを失ったハリーと再会するブランドン。
 かけがえの無い友情に結ばれていて、だけれどその手で殺してしまったブランドンに銃を突きつけられた時の、そのハリーの表情の移ろいが、喜びから悔悟、悲しみへ、そして怒り、耐えるような顔になり、最後に総てを受け入れたような穏やかな顔に、その表情の変わりゆくさまが、なんというかもう魅入られてしまって。圧倒されてしまって。
 ブランドンは躊躇なく引き金をひきます。でも銃弾は放たれず、空砲の乾いた音が響くだけ。
 その後、まるでまだ何も持たなかったあの頃のように楽しそうに笑いはじめるハリーとブランドンの姿に…………。

 次回最終回ですけど……もう涙腺崩壊中です。


 白の巨塔も、殆ど使いまわしでせこいなあと思いつつ、5年後の柳原先生を中心に添えて展開するドラマがまた眼が離せなくて、結局全部魅入ってしまいました。
 そして泣けた。
 柳原先生役の伊藤英明、陰陽師で見て以来、好きな役者さんの一人なんですよね。あの頼りなさがたまらん(笑)
 でも、初めてやらなければならなくなった末期がんの告知に悩むその姿に、そして告知の場面に。
 やはり大したドラマだったのだな、と再度実感した次第です。
 ヤナ先生、すっごく良かった。頑張った。




3月22日

 いかりや長介さん、72歳は早いなあ。
 まだまだこの人の役者としての演技を見ていたかったので、非常に残念です。
 踊る−だけではなく、他のドラマ等でお見かけした際にも、ひときわ目立った役者ぶりを見せてくれた人だけに。
 ドリフターズとしてのいかりやさんは、子供の頃にはあまりテレビを見せて貰えなかったので、殆ど知らないと言ってもいいのですが。TBS系列でやってたカトちゃんケンちゃんは見ていたんだけれど。


 江角マキコ、国民年金PRのCMに出ていながら、国民年金保険未加入。
 このCM,見ながらよくそういうあんたはホントに入ってるのかー? なんて冗談交じりに言ってたんですけど、本当だなんて洒落になってませんて。でも笑った。
 いや、でもこれはさすがに、入ってるつもりだったという事務所からのコメントは本当じゃないでしょうか。幾らなんでも入ってないのに臆面もなくあんなCM受けませんて。少なくとも受けた段階で加入してるでしょ(苦笑)
 国民年金ってややこしいんですよ。入ってくださいって書類来たときも、幾ら読んでもどうしたらいいのか詳しく書いてなくて途方に暮れましたもの。


【あそびにいくヨ!】
【あそびにいくヨ! 2.作戦名『うにゃーくん』】  著:神野オキナ  MF文庫J

 ひたすら友好的な猫耳美少女宇宙人襲来!! という作品。
 予想を上回って面白かったです、はい。
 神野オキナ氏って、作品に独特の乾いた殺伐感、退廃感のある人で、そこがある意味魅力だったのですが、今回はコメディチックなほのぼのものに徹しているようだったので、どうなのだろうと思っていたのですが。
 これが最初に書いたように、思っていた以上にテンポ良くて、肩に力をいれずに楽しく読むことが出来ました。
 ちょっと前に【シンシアマシン】という作品の感想を書きましたけど、大まかに分類するならばこれと同じ、突然我が家に可愛い女の子が現れて、という古来からの王道的な展開なのですが。
 同じ題材使っても、作家が違えば面白さは全然違うわけで。如実に現れるなあ。この手の展開の作品としてはかなり上質な部類に入るんじゃないかと思います。

 だが、だがしかし。いわゆる犬派の私としては憤懣やるせないものがあるさ!!
 猫耳? 猫耳だと? そんなものに誑かされるかーっ!
 乳には誑かされそうですが。
 あの乳は凶悪。【我が家のお稲荷さま】では不覚にも気づかなかったけれど、放電映像氏という絵師殿の乳は強烈。おまけに神野氏も描写、やらしいし。おのれ。
 あと、邦画マニアの女の子というのはとてつもなく渋いなあ。出てくる邦画の名前やら、殆ど分からんかった。

 MF文庫Jって結局これと【神様家族】が主力作品になるのだろうか??



3月20日

 車か。うーむ、なかなか難しい。三月一杯で保険も切れるので入りなおさないかんわけで……。



 【蛇にピアス】  著:金原ひとみ

 職場の人に読んでみ、と渡されたので読んでみました。巷で噂の芥川賞受賞作品でございます。
 粗筋などの内容、評論や感想など、情報は事前にはあまり(色々酷評めいた文句は漏れ聞いていましたが)入れてませんでしたので、予断はそんなになく読めたのでは、と。
 思いの他読みやすかったです。妙に肩を張らずに小難しい言い回しなども使わず、それでいて読んでいて眠くなるような退屈な平易さに陥らずに自然と文章を追えるように組み立てられた語り口は、予想外に好意的な印象を覚えました。内面描写も無理をして掘り下げず、かといって表面を撫でて終わりという安易さでもなく、サラサラと書き出されている印象。垂れ流し、何も考えてない、などと受け止めてもいいかもしれないけれど、無理に具体的な意味づけをして作者も読者も分かった気にさせるぐらいならよっぽどいいんじゃないだろうか。ともかく、この手のジャンルの作品としては非常に素直で小説家的な屈折があまり見当たらない。それが良いか悪いかはわからないけれど、悪い印象は受けませんでした。
 ただこれが芥川賞の受賞作に足るかと言われると、首をかしげたくもなりますし、逆にああ芥川賞っぽい作品だなあ、という思いも過ぎるわけで。
 若い連中が共感を抱いた、みたいな評判があると借りた人から聞いたのですが、さもありなんと思いつつ、その共感したって人たちはこの手の私小説風味な本を読んだことがあまりないんだろうなあとも思います。登場人物である若者たちの思索やら考え方、雰囲気ですけど、別に目新しいものでもないですし。ちょっと同じようなタイプの本を読めばぶち当たるようなもの。まあ珍しくないからこそ多くの人から共感も得るんでしょうけれど。ちなみに貸してくれた方は年配の女性の方で、まったく考え方が理解できなかったそうです(w
 作品としては良作と評しても良いものだと思います。
 まあ……個人的な好みとしてはまったく興味の埒外で、特に面白くもありませんでした、としか言いようがないですけど。ただ、そういう作品でありながら、最後までサラリと読みきれてしまったという点は、素直に大したものだと思います。




3月19日

 関西じゃもう45%越えたらしい『白の巨塔』、もう泣くの堪えるので必死。涙脆くなったものです。
 里見の「君を助けたいんだ!」という叫びに涙、財前の血を吐くような「ただ、無念だ」の声に涙。お袋さんとの電話。ポツンと暗がりのベンチに腰掛けている東先生の姿、西田敏行演じる財前の義父の「山ほど夢見させてもろうたでぇ」の台詞。マヒした手で必死に執刀のイメージを反芻する財前先生。僕は間違っていたのか。いつだって真剣だったんだ。最後意識混濁状態、メスを寄越せって最後まで執刀しようとする財前先生。うわごとで里見先生のことを何度も繰り返し繰り返し、先生、そんなに里見先生に認めてもらいたかったんだな。最高の癌センターの夢。佐々木さんにも謝ってるよ。権力に拘り、権威を求め、それでもやっぱりこの人は医師であり、医学の徒であり、自分の腕に誇りを持っていた執刀者だったのか。
 亡くなったあと、お袋さん到着。頑張ったね、お疲れ様、とそっと頬を撫でて。
 だめだ、また泣けてきた。
 田宮二郎版は見てないんだけど、唐沢は凄かった。江口も凄かった。西田も石坂も上川も伊藤も、脇もみんな凄かった。良かったよー。


 無人惑星サヴァイブは、一週見逃してるうちになんか宇宙人が増えてるーっ!?
 しかも男の子の癖に、男の子の癖に…………か、かわいい(w
 笑うとはにゃーんですぜ、旦那(?)
 わかる、わかるぜハワード。あれは懐かれたい!


『地球連邦の興亡 4』、もう何度も読んだってのに、あの場面に差し掛かるたびに泣けてしまう。胸が震えてしまう。ついに『皇国の守護者』は続きが本当に出るみたいだけど、これの続きは出ないのかなあ。出ないんだろうなあ。皇国の守護者が出るというだけでも奇跡だから、充分嬉しいんだけど。
 うん、もし出たらハートリィ艦長と同じくらいには神の奇跡を信じるぞ。





3月18日

 この時期になると、バタバタとドラマが終了していきます。
 『相棒』も二時間スペシャルで一先ずの終了、と。2ndシーズン終了とかテレビ欄にありましたし、内容の方も続きを出す気満々なご様子ですから、来期あたりまた3rdシーズンが始まりそう。
 ラストも岸田のおばさんが怪演していらっしゃって、津川さん演じる法務大臣とともに最後をビシッと引き締まったものにしてくれました。やはりベテランの俳優さんが出演なさると、締まるんですよね。
 ただ内容の方はというと、ちょっと不満かも。アサクラがああいった形で退場してしまうのがやはり勿体無い気がしたみたいです。それにしても、刑事モノでアサクラって人はなんで皆大犯罪者なのでしょう? なんか今放映しているTBS系列の警察ものでもそうだったような。一昔前でいうと『ケイゾク』とか。
 さて、このドラマ見てて思ったんですけど、真似されると警察が困るような発想の事件が幾つかあって本当に真似されたらどうするんだろうと心配になったのですけど(w
 双子によるアリバイトリックはともかく、幼児の大量一斉誘拐やペット誘拐なんて、事件の解決の仕方が犯人が最初から身近にいたから分かったようなもので、まったく無関係の人が犯人だった場合、どうやって解決したんでしょうね。現実にやられると、なんだか成功しそうで、どうするんだ警察?

 さて、今夜は気合入れて「白の巨塔」最終回を見るさ。
 しかし、なんでこれ、関西と関東じゃ視聴率あんなに違うのだろう。


※マリみて

 今回はもう魅入ってしまいました。アニメで一番良かったんじゃないかなあ。うん、そう思う。
 原作ではここまでの聖の危うさを認められなかった。というより映像媒体で女性同士の互いしか眼中に入らなくなるという表現を見たのが初めてだったからかも。確かに、あれは危うい。栞が離れる事を決意した気持ちがよく分かる気がします。
 ああ、ともかく今回は素晴らしかった。やはりマリみては白薔薇様だなあ。


※Gungrave

 ビヨンド・ザ・グレイブ編になって、スペリオール化した幹部連中との戦い――ゲーム本編のルートに入ってから、ちょっとそれまでの人間ドラマが薄れてしまって、はっきり言ってかつての仲間であるボブやバラッド・バード・リーとの決別が「それでお終い?」という拍子抜けしたものだったので落胆していたのですが、前回のベア・ウォーケン戦から盛り返してきたじゃないですか。
 今回はスペリオール化(といっても身体機能強化だけ)した九頭文治との再戦。ガンアクションものでありながら、アクション映像に関してはまったく期待できなかったガングレでしたが、今回はお見事と拍手したくなるような気合の入ったガンアクション。それと並行して描写される、ミレニオン内部で孤立し、旧ビッグダディ派の幹部から命を狙われる羽目になったハリー・マクドゥエルのシェリーを連れた逃亡劇。
 実のところ、此処に至るまでハリーがシェリーと結婚したのは、シェリーの父親であり、旧来からのミレニオンの幹部であるベア・ウォーケンを味方につけて上へと駆け上るための政略結婚なのではと疑っていたのですが……そうか、本当の恋愛結婚だったのか。ブランドンを喪って以降、ハリーの支えだったのは間違いなくシェリーだったわけですね。
 次回、ついにブランドンとハリーの再会となるのでしょうが……すべてを喪ったもの同士の再会。辛いなあ。


 【ガンズハート 2.硝煙の女神】  著:鷹見一幸  電撃文庫

 ……作家ってどんなペースで書いても品質の落ちない人もいれば、やはり粗雑乱造という結果に終わってしまう人っていると思うのですよ。鷹見氏はもっとじっくり書いた方がいいと思う。数年前の著作と比べて、最近のはあまりに酷い。もう酷いって言っちゃいます。このままなら「でたまか」も買い控えるつもりです。実際、一番最近に出た「でたまか」の短編もちょっと首を傾げるところが多かったですし。
 どうにも人の善悪に対しての考え方が余りにも画一的で薄っぺらく、見るに耐えないのですよ。人品卑しく権益に縋るだけの無能な悪役と、それを単に裏返しただけのような正義の味方。正義に引きずられるだけのロボットのような大衆。これじゃあね。
 つい先日、歴史群像4月号のエフォギの戦い――東ニューギニアで日本軍の一個小隊(42名)と豪州軍約1000名がジャングル内で行った戦い。視界が利かない超至近距離での撃ち合いとなり、豪州軍は500名以上を失い、日本軍は生存者1名という太平洋戦線でも最も激しかったと言われた戦闘――の体験談を読んだ直後だったからでしょうか、迫りくるエズオルの大群に抗う絶望的な篭城戦に、まるで迫力も切迫感も感じませんでした。エズオルという十万近くの巨大な人食い猿が押し寄せてくるという凄まじい展開は、本来ならスターシップトルーパーズやEGコンバット的な圧倒的な暴威への恐怖感が伝わってくるはずなのですが、前巻であれだけエズオルの脅威を強調していたのに、これじゃあ拍子抜けも甚だしい。ピンと張り詰めた緊張感がまるで伝わってこない。
 あの突然ぶった切ったような終わり方も如何なものか。あそこまでエズオルに攻め込まれた状態で、旧式の銃しか持たない軍隊が応援に来たからといって、そう簡単に撃退できるものなのだろうか。
 続刊では、主人公たちが連発銃を世に出してしまった事を悩むような展開がありそうですけど、この作家の場合結局周囲が主人公たちを全肯定してはいお終い、というのがパターンだから、主人公たちの人間描写を深めるような描写の期待はあまり出来ないです。
 世論や群衆というものは、まるで一個の生き物のようだというのはまったく同意なのですけれど、それでも本当に一個の生物じゃなくそこには独り独りの人間が、それぞれの意思を持って存在しているんですよ、という視点がどうしてもこの人の作品からは欠けてる気がする。
 以前はそこまでひどく思わなかったのに。
 本当に好きな作家の一人だっただけに、この体たらくはあまりにも哀しい。




3月17日

 七姫物語の短編が載っているというので電撃hpスペシャルを購入。冒頭から延々と続くドクロちゃんは退き置いて、七姫物語短編を読了。
 わはー、こりゃ読んでおいてよかったですわ。本編でも何処か特異な位置にいたあの人、薄々そうじゃないかなあとは想像していたのですが。なるほど、お祭を中から見るのと、舞台から降りて傍から眺めているのでは、印象がまた少し違うのでしょう。故に、別の視点から彼女に言葉を投げかけられる。ただ、それが問いかけに終始しているのは、カラが祭から降りるときは、自分の意思で、と思ってるんでしょうか。
 うーん、やはり心が透くような、優しい物語です。


【学校を出よう! 4.Final Destination】 谷川流  電撃文庫

 やっぱりこの谷川氏は、仕掛けの人だなあと再認識。
 
前巻の感想でも似たような事を書いていますけど。この人の特徴は物語やキャラクターじゃなく、作品に仕込まれた仕掛けそのものだと思うのです。それが顕著に出てるのが、この学校を出ようシリーズであり、デビュー作の『涼宮ハルヒの憂鬱』。電撃から出た『先輩とボク』が良くハルヒと似ていると言いますけど、この二作品、よって立つものが全然違うと思います。軽妙なキャラ描写の『先輩とボク』に対して『涼宮ハルヒの憂鬱』はあくまで作品全体の仕掛け。だからこそ、仕掛けが用を成さなくなったハルヒの続刊は、面白さを半減させてしまったと言えるのでは。
 ハルヒに対して此方の『学校を出よう!』では、毎巻違う舞台設定を仕掛けることで、面白さが落ちずに保たれてる。はっきり言って主役を張ってる宮野や茉衣子、高崎兄妹や真琴なんかのキャラ造形は労力が裂かれていないように思う。だけど、この作品の場合はきっとこれでいいんでしょう。魅力を見出す所が違うんですから。むしろ、このぐらいのキャラクターでいいのかもしれない。
 しかし、いつの間にか茉衣子がメインになっちゃったなあ。登場人物を見渡してみると、彼女が一番適任であろうことは良く分かるのですが。一巻の主人公だった高崎兄は、根暗で覇気もなくお人好しでもなく自分から動こうとはしないタイプだから、もう一度主役にするのは難しそうだし。妹はあまりに天真爛漫で、何考えてるか丸分かり、もしくはさっぱり分からないタイプですし。必然か。




3月16日

 ……自動車って高いなあ(当たり前)
 中古車をあたってもらっているのですが、うむむむ。




3月15日

 帰りに『ロードオブザリング 王の帰還』見に行こうと思ったんですが。
 上映時間に遅れました。ちくしょう。
 全部逃さず見たかったので、また後日。


【アリソンV(上) ルトニを車窓から】  時雨沢恵一  電撃文庫

 男が鈍感で、女の子がヤキモキって話は掃いて捨てるほどありますけど、この主人公(ヒロイン?)のヴィルほど気持ちのいい鈍感ぶりはちょっと記憶にありません。他の追随を許しません。気づいてやれよ、と思うよりも。気づいてるだろお前、と考えるよりも。もっとやれ、と思ってしまいました(w
 時雨沢さん独特の作品の雰囲気もあるんでしょうけれど、ヴィルのアリソンのアプローチへの気づかなさっぷりがいっそ清々しいくらいで、嫌味が全然ないんですよね。はっはっはっ、めげるなアリソン、とまるっきり他人事の気分で笑えます。
 さて、そんなアリソンのから回りっぷりに声援を送るばかりの本編ですが、実のところそうそう気分は穏やかではなく。あの凶悪な序文のツカミは、一抹の不安を読者の心臓に突き刺してくれてまあ。大丈夫と信じながらも、もしかしてという疑いがどうしても晴れず、読み進めている間も何となく落ち着かず、上巻を読み終えてしまいました。これ、上下巻編成というのがまた凶悪だよなあ。次巻は五月だそうですが、もうヤキモキしっぱなしです。
 アリソンは次で終わりだそうで、実際その模様で話も進んでおりますが、非常に楽しい作品でした(まだ終わってないよ)
 時雨沢さんにはキノの旅ばかりじゃなく、もっと色々長編を書いてほしいなあ。



3月14日

 今年も遂に始まりました。花粉症。
 死亡確定。
 明日、薬貰ってこないと。


 サッカー負けちゃいましたねー。
 なんかもうどうでもいい、と思ってしまいます。
 つまんないんだよなあ、見てても。ハラハラもドキドキもしないのが哀しい。




3月13日

 文字通りに走り回って、体力の劣化を痛感しました。
 あの程度でヒーヒー言ってたらダメだ。これで昔は運動部だったなんて言っても信じて貰えないな。
 まあ在籍時から体力はあんまなかったんですが。
 ひー。


【クレギオン 1.ヴェイスの盲点】  著:野尻抱介  ハヤカワ文庫JA

 元は富士見ファンタジーで出版された良質のSF作品。今年に入って、ハヤカワから復刊とあいなりました。パチパチパチ。
 これが出版されたのが1992年。もう十年以上前になりますか。実はこのシリーズ、この第一巻だけは持ってるんですよね。今も確か書箱の何処かにあるはず。懐かしいなあ。
 この頃は私もまだ中学か高校くらいで、アルバイト出来ない学校だったから少ない小遣いを遣り繰りして、書籍を購入していました。文庫だけならまだしも、あろう事か新書ばっか買ってたから、いつもお金が足りなくて、皆が定食食ってジュース飲んでパン買ってるのを横目に、うどんばっかり食べてたのも懐かしい(涙)
 二言目には奢ってくれ、だったから、友人の間では凄まじいケチとして通ってました。
 アルバイトを始めてある程度お金に余裕が出来るようになってからの、あの見る目の変わりっぷりは今思い出しても笑えます。奢るよーって言ったら、例外なくギョッとされたのには参った(苦笑)
 単にほんとにお金がなかったんだよぅ。運動部だからお腹減ってたんだよぅ。って、てめえらあんだけ頼んでも奢ってくれなかったじゃんかよ!! 良く考えたら、出費の方が多い、というか桁が違うじゃないか!!
 話を戻すと、まあそれくらいお金がなかった時期なので、このクレギオンもシリーズを追って買い続ける事が叶わず、泣く泣くスルーしてたんですよね。で、買い逃したまま今に至っていたのですが、この度ハヤカワから再出版。ありがたい限りです。お金もありますよー。文庫を買えるくらいには。
 内容の方は、もう見事な質の高いSF。それでいて、SF初心者でも気軽に手に取れて、内容もスッと理解できる優しさ。
 中年社長ロイドと女性パイロットのマージ二人だけの零細企業ミリガン運送。その二人が訪れた惑星ヴェイスは大昔の大戦の際に、今では失われた技術で作られた機雷で封鎖されており、ここに降下するためには詰め将棋のように機雷の動きを何十手先まで読めるナビゲーターを必要としていた。二人はこれがナビとして初仕事という16歳の少女メイと、ヴェイスへの降下を開始するが…………という粗筋。
 変にキャラやストーリーを捏ね繰り回さず、質実に描かれるクレギオン世界は、昔の派手ではないけれど丁寧な作りだった富士見を思い出させてくれて、懐かしさを覚えます。
 良作です。




3月11日

 庄司薫の『赤ずきんちゃん気をつけて』って、芥川賞受賞作だったのね。
 知らずに読んでました。
 はっはっはっ、エロいんすよ、これ〜。


【ネオクーロンB】  著:鷹見一幸  スニーカー文庫

 最近、自分の中の鷹見株が大暴落中。うーん、こんな作家さんだったかなあ。
 なんか舞台設定から登場人物の心情、考え方まで全部チャチな印象が否めない。
 舞台が無法地帯というわりには、全然そういう危険な雰囲気が匂ってこないし、その場に残された連中の恐怖感が伝わってこない。本来なら心震えるはずの警察官の譲れない信念に、はぁそうですかふーん、としか思えないのはなんでなのでしょうかね。登場人物たちが危険地帯の中から身体張って叫んでるはずのそれが、安全な所から無責任に放言してるだけの建前論や偽善にしか聞こえないのがなんともはや。
 相手の悪い連中はといえば、世間様がイメージする悪、もしくは悪ぶった馬鹿、の記号でしかないし。
 作品を使って何かを訴えたいのであれば、伝わるだけの作者の強い叫びが欲しい。
『亡国のイージス』を読んで痛いほど感じた作者の絶叫と比べると、なんと貧相なことか。
 でなければ、もっと作品自体のカルタシスを追求すべきだと思う。その点、小川一水氏は『ハイウイング・ストローク』のあとがきでも語っているように、ちゃんとしてる。説教臭いだけの話なんて読みたくならないし、買う気にもならないんですよ。
『でたまか』好きなんです。カルタシスのある作品を書けることを知っている。だから、まだ買います。でも、そろそろ見切り時かな、と思わないでもなくなってきました。




3月10日

 Fateの短編SSを書いてみたんですけれど、あーなんか楽しかったっす。
 途中から筆が乗ってきて、グイグイと書けてしまいました。なんかSSをはじめて書き始めた頃のような書き応えで、純粋に楽しかったです。
 筆が乗ってくると話がギャグ方面に逝ってしまう体質は毎度ながらどうかと思うのですが。

 今後もちょくちょく書いて行きたいですね。


【シンシアマシン ミッションちょーポッシブル】  吉祥寺住人  ファミ通文庫

 あっはっはっはっ

核地雷

 金返せ。

 突然もてない主人公の前に女の子たちが現れて、という古式奥ゆかしい王道パターンの筋なのですが。主人公がイタすぎる。おまけに特徴も無く面白くもなんともない文章で延々と読者置いてけぼりのギャグらしき展開がダラダラと続いていくだけの、昨今珍しいぐらいのキッパリとした駄作。
 此処まで完膚なきまでに見るべきところが皆無の小説は珍しいです。ただ文章が下手くそだったり、尖がり過ぎてて如何なものか、という作品だったなら救いはあったのでしょうが。
 私、それなりにどんな作品にも面白味を見出せるという本読みとしては実にお買い得な性質の持ち主との自負があり、本の購入代金を勿体無かったと落ち込むなんて年に数えるぐらいしかないのですが、ちょいとあまりに酷すぎました。まだ以前酷評した『オラが村ぁ平和』の方が数段マシです。



3月7日

 昨日今日と吹雪かれましたさ。
 雪が降らない年の方が多いのではという地域の癖に、三月になってから、しかも外に出なきゃいけないときに限って降るっていうのはどういうつもりだー。
 最近ほんとに疲れ気味なので、風邪ひかないように気をつけないと、と自戒。


※鋼の錬金術師

 圧巻。圧巻の一言。
 うーむ、原作のテーマに沿いながら、なおも貪欲にその奥へと踏み込もうとするスタッフの意欲には感服するしかありません。原作付きのアニメでこういうアプローチってなかなか見ないんだよなあ。
 おまけにエッ!? という要素を放り込んでくるあの凶悪なタイミングは見事。ロス中尉のあの行動とエドのうわ言、その直後にあれを持ってきたのはやっぱり計算のうちなんでしょうか。
 しかし、ロス姉さんの扱いがいいなあ(笑)
 某シーンで独りだけ表情が違った中佐が酷く印象的でした。


※トラトラ

 試合見たかったんだけど、まあしゃあなし。
 岡田監督、マジ藤本と鳥谷どうするんですかね? 現状では貫禄実力ともに藤本に旗があがるわけですが、鳥谷あれやはり使いたくなります。評論家の目は厳しいようですが、オープン戦とはいえスタンドに放り込める新人など阪神では久しく、というか私の覚えている限りいなかったものですから。
 とはいえ、藤本のあの堂々とした出で立ちたるや、去年からさらに見違えているだけに、彼を外してしまうのは余りにも勿体無い。野球10人制にしませんか?(苦笑)
 キンケードは、例によって新外国人ですし、本番が始まって見ないことには幾ら本塁打を重ねようが信用できず。これが本物だったら打線も凄いんでしょうけどねえ。おまけに、アリアスとともに守備もこなせるわけですから、外国人=守備ベタ=ペタ、な論法から脱却できる分、某球団と違って安心が効きます(笑)
 入団当初から何かと有名だった桜井も、これまでベールを脱がぬまま去っていった大砲候補と違って、ちゃんとベールを脱ごうとしていますし、この時期だからこそでしょうが、若い連中が見ていて本当に楽しいです。喜田とか下に落ちちゃったけど。
 まじもう世代交代の時代なんでしょうか。
 打者陣と違って投手陣がもうメロメロなのが大変心配ですが、なんか投手陣に関しては他の球団もメロメロなので、気にしても仕方ない。
 広島の野戦病院振りには、他所ごとながらかなり心配です。幾らなんでも怪我人が多すぎる。元々多い球団ですけど、こりゃたまらんなあ。
 ヤクルトも大概ですけど。いや、ヤクルトってギリギリの状況下での団結力に定評がある球団ですけど、ここ数年、毎年のようにギリギリというのはどうなんでしょう(汗)
 パリーグはなんか楽しそうだなあ。ロッテの溌剌振りが眩しいです。
 っていうかね、小宮山と黒木が投げてるの見たら泣けてきますがな。


【流血女王伝 女神の花嫁(下)】  須賀しのぶ  コバルト文庫

 容赦がないのでも冷徹なのでも厳しい訳でもなく、ただ単純に甘えがない。そういう印象なんですよね。
 この流血女王伝という小説の登場人物たちは、本当に須賀さんから甘えを許して貰えません。
 前回、ラクリゼとサルバーンの双方が放浪と懊悩の末に勝ち取ったあれほど深い愛情と信頼が、この巻ですれ違っていくとともに薄れていくさまは、酷く無常に感じられました。キツいのは、そのすれ違いようが互いの齟齬や誤解によるものとは云い難いということです。読んでいて、ああこれはもう仕方ないのだなあ、という哀しいばかりの崩れよう。前回の最後の展開さえなければ、二人はこんな事にならずに幸せになれたのだという確固とした未来像があっただけに、余計に辛い。
 また、前編中編と読んでいて、このラクリゼがいったいどうなったら本編のようなラクリゼになるのかと思っていたのですが、この後編で彼女が徐々に本編のような硬質さを纏っていくのがなんともはや。切ないです。ルトヴィア編ではその不気味な完璧具合に異様さすらあったラクリゼという女性、エティカヤ編でその素顔が垣間見えて、いったいどういう人なのかと惹かれると共に余計分からなくなっていたのですが、この『女神の花嫁』でもうイヤというほど見せ付けられました。あのサルベーンも。
 一応外伝という扱いの『女神の花嫁』編ですが、本編では過去の出来事で、現在を生きる人々の隙間から垣間見えるだけの不鮮明だった様々な情景が描かれると共に、驚かされるような事実も明らかにされ、ちょっと流血女王伝、最初から読み返したくなりました。この外伝を読んだことで、多分初めて読んだときとはまるで違う印象を本編に抱くでしょう。一面からしか見えなかった情景が、この外伝を読んだことでまるで別の表情を見せる。巧いなあ、と感嘆するしかないです。
 それにしても、アダルカの生き様には泣けた。莫迦だ。莫迦すぎる。それでも憧憬を禁じえない。
 また、最後のページの某海賊のあの一言を見て、あの時サルベーンが彼を助けたのは、決して打算じゃなかったのだと……。
 しかし、アダルカの生き様を見てしまうと、何となく本編でのあの人物も同じような結末を選んでしまうのかと想像してしまい……キツいなあ。
 とりあえず、エディアルドがその他大勢のままフェイドアウトしなさそうな事に安心しつつ、ザカール編を待ちわびます。
 カリエ、やっぱりバルアンに嫁いでエンドじゃなかったのね。信じてて良かったさ。



【封殺鬼シリーズ 27.終の神話・地号の章】  霜島ケイ  キャンパス文庫

 このシリーズもついに次で完結か。
 分かっちゃいたんですがね、まさかそういう決着のつけ方を選ぶとは。そこに至る彼の想いが、なんとも形容しがたく、ぽっかりと胸に穴が穿たれた気分です。小説読んでたら、登場人物が死ぬなんて事は珍しくもないのですが、なんかショックでしたわ。末路がもう随分と前からありありと想像できていたにも関わらず、こうも衝撃を受けるとは。滅多あることではなく、未だいささか余韻に打ちひしがれております。
 こうして読んでいると、本作は何となく京極夏彦の小説とアプローチが似ている気がします。似て非なるものですが。妖怪という伝承を解体することで、事件の真相を探り当てる京極本。対して、これは日本神話の解体なのでしょう。
 災厄の前兆に、その災厄の正体を、そして抗う方法を探るために、日本神話を解体し、神話という伝承にかつての古き日本人たちが秘めた真実を徐々に解き明かしていく。
 暗躍する天狗の思惑。謎の鬼の正体。災厄の真名。当初は何もかもが不透明で、何が起こりつつあるのかわからないという不気味な蠕動でした。それが神話や伝説に込められた意図を一枚一枚解き明かすことでベールを脱ぎ始め、だが明らかになるごとにさらに不安を増幅させていく。うーむ。エセ歴史・伝承好きとしては、羅喉編に入ってからの展開はもう生唾呑みっぱなしでした。
 次で完結。主だった登場人物たちは、迷い懊悩し彷徨った末に自分の生き方を決めました。未熟だった者が成長した、という表現は使いません。それは妥当ではないでしょう。ただ彼らは今後、その生き方を貫くのでしょう。それが良いか悪いかは別として。本人たちにとって良いことなのかもまた別として。
 後悔は、もうないのでしょう。
 このシリーズ、結局28巻にもなりました。でも、登場人物たちが彼らなりの生き方を決めるまでに、この28という積み重ねは絶対に必要だったのだと思います。決して長すぎたとは思いません。
 残るは鬼二人。彼らは、どういう生き方を選ぶのでしょうか。




3月3日

 お雛様の日です。
 小さい頃は婆ちゃん家で雛壇飾るのを手伝ったものです。なかなか立派なもので、子供心にも綺麗だなあと思ってました。
 あられはチョコのばっかり食べてたなあ。

 ふと、ツタヤの無料券の期限が三月だったのを思い出して取り出して見る。
 ……昨日までですか。そうですか。HERO借りようと取っておいたのに(涙)
 映画見てる暇ないっすよ。ああ、王の帰還、何時見に行こう。


このライトノベルがすごい

 わはー。
 これはちょいと楽しみな企画。
 2chのライトノベル大賞とどういう差異が出てくるのかも興味深いけれど。
 兎にも角にも、様々な方のいろんな作品に対するコメントを一同に見れるというのは実に面白そう。


※アカデミー

 映画全然見てないのよね。なので、ノミネート作品はおろか11部門を独占した『王の帰還』もまだ未見。
 見てないのに論評なんて出来ないのですけど、渡辺謙さんは好きな役者さんだけに、残念だったなあ、と。
 まあ今回はダメだろうという話だったので、ガッカリということもなかったですけれど。ガッカリしようにもラストサムライも見てないから出来ないのは当然なのですが。
 それにしても渡辺謙、この人がギラギラした役者としての凄いオーラのようなものを発するようになったのは病気から復帰してからじゃないかなあ。それまではけっこう巧いなと思う程度で役者にはあまり詳しくない私でも知っているうちの一人、という認識だったのが、『鍵師』というドラマだったか、あれで復帰して以来最近ではもう凄い凄いと思う役者に。
 今、放映中の『砂の器』でも、見ていてビリビリ来るようなオーラが出まくってます。
 しかし『砂の器』も面白い。これ、連ドラとしては今まで見たことのないくらい映像にこだわってるような気がします。カメラワークや照明。音響は良く分からないですけど、音楽の質や使い方も試行錯誤してるようだし、画面の色合いや明度もまた非常に凝ってて画面に引き込まれてしまいます。
 いやいや、いいなあ。

 先週の渡辺謙が映画館に駆け込むまでの疾走シーンはちょっと仰け反ってしまいました(笑)


※相棒

 先週の話は……あれ、一体なんだったんだ?(苦笑)
 良く見たら監察のピルイーター、あれって仮面ライダー龍騎の教授じゃないですかね、違う?
 まともな役は来ないのか、あの人は。いや、非常に味のある役者さんなんですよ、ほんとに。
 しかし、最後のネタは笑った。だから、一体なんだったんだ?

 今週分は録画してまた後日、視聴。



【灼眼のシャナ Y】  著:高橋弥七郎  電撃文庫

 日常と別れ、遠く流浪の旅にでる。
 このフレーズは私の世代だとどうしても『3×3EYES』を懐かしさと共に思い出してしまいます。ああ、懐かしい。
 萌えだ萌えだと云われつつ、その実、燃えとしつこいほどの心理描写で勝負しているのがこの『灼眼のシャナ』だと思っているのですが、今回は戦闘シーンを完全に排して、メンバー全員の心理面の動きにスポットを当ててきました。おまけに、いずれ来るはずだった日常の終わりをドンと一気に目の前に持ってきて。
 わりと登場人物たちの心の動かし方が根底で著者の脳内に繋がっているという括りから逃れられていない印象があり、あざといと云うかオーソドックス(画一的?)なようにも思えるのですが、私は気にならないのでそこらへんはOK。と云うより、だいたいこう考えるだろうな、と分かってはいても立ち止まらせない追い詰め方は、やはり読んでいても歯応えがあっていいですね。
 既に主人公が厳密な意味でまともに生きていない以上、一番いい形でのハッピーエンドがないであろう本作。どうやら次回が勝負どころみたいです。



【ドミノ】  著:恩田陸  角川文庫

 恩田陸という作家のイメージを根底からひっくり返してくれた好作でした。いやー、参った。こんな楽しい話も書けるのか。
 27人と1匹の、性別も年齢も立場も違う人たちが東京駅とその周辺を舞台にそれぞれ勝手に動き回ることで騒動が巻き起こり、事態が混迷から一点に終息していくコメディ調のドタバタ劇。
 ぶっちゃけ27人も登場人物を出して大丈夫なのかと誰しもが思うところなのだけれど、これはもう色んな人が書いているだろうけれど、恐るべき事にまったく登場人物は混同しませんでした。
 これは誰だったっけと思うことが全然ない。漫画みたいなふざけた性格の人はおらず、名前も普通といえば普通の人たち。それが殆ど数行、人物描写と喋ってるシーンを読むだけで、スゥと頭に名前とイメージが入ってくる。
 これははっきり云って凄いです。
 この後、もうシーンはクルクルとあっちへ行ったりこっちへ行ったり、登場人物たちもそれこそ登場人物の数だけそれぞれ色んな行動を取っている。もう何から何まで転がりまくるわけですが、全然混乱しないのですよね、これが。
 惜しむらくは複雑に絡み合った事態が最後に収斂し、見事に万事解決するわけですが、その収斂ぐあいがいささか甘かったと申しますが、少々物足りなかったです。
 しかし、それでも読んでてもう面白くて面白くて。電車の中で読んでたんですが、顔が笑ってしまうのが堪えられなくてちょっと大変でした。
 いやー、面白かった。

 お気に入りは、OL加藤エリ子とミステリー研究会の幹事長候補の二人。いや、子役の二人も良かったなあ。と、あげていくと切りがない(笑)


【R.O.D 第9巻】 著:倉田英之  スーパーダッシュ文庫

 アニメの方では完全にダーティーキャラになってしまったウェンディ・イアハートと、ドスのきいた女親分となってしまった菫川ねねねなのですが、小説の方では相変わらず真っ直ぐな心根のドジっ娘と、ワイルドワイルド女子高生小説家。いやー、この差はなんなのでしょうねえ。なんか泣けてくる次第。
 アニメと小説がまったく別の世界というのは分かっちゃいるのですけど、ねねねとウェンディの堅い友情で結ばれた関係を見てしまうと、あっちの単なる敵同士でしかない関係が悲しくなってしまいます。
 二人ともスレちゃってるしなあ(苦笑)
 ジョーカーも、小説では色々と裏で抱えるものもあり、大胆な野心と巨大な存在への恐れや嫌悪など人間的な感情が読者の前に開示されているからか、非常に味のある人物に仕上がってますね。それに、ドニーの日記――昔の彼を見るに、けっこう友達甲斐のある男でもあったりして、本作でもかなり好きだったりします、ジョーカーさん。
 どちらでも変わってないのはドレイクだけか。あの男は実にいい男です。
 さて、内容の方なんですが……あんまり言及する所ないなあ(苦笑)
 どうしてもキャラの方に目が言ってしまうのは、実にライトノベルらしいというべきか。
 昔の読子さん、ほんとに別人ですな。



【ぺとぺとさん】  著:木村航  エンターブレイン

 うーん、真ん中らへんまではゲラゲラ笑いながら読んでたんだけどなあ。単に読み始めの新鮮感が薄れて飽きてしまっただけなのかもしれませんが。ちなみにあの絵は、ちょっと私はダメだ。肌に合わない。
 最近増えてきたほのぼの学園コメディ。妖怪さんが普通に暮らしていて学校にも通っている世界。んで、クラスも半分以上が妖怪さん。そのまま愉快な日常生活を描写してればよかったのに、なんで妖怪が人間から差別視されてるみたいな深刻な話を組み込む必要があったんだろう。『吉永さんちのガーゴイル』みたく、まったく当然のような顔をしてガー君が街に馴染んでるみたいに、もう突き抜けてしまえばよかったのに、と思ってしまいました。その所為で冷めたか。
 ヒロインのぺと子さん、あのはんなりとした関西弁は『あずまんが大王』の大坂みたいで和んだ(笑)
 ぬりかべ姉妹の、あの額に文字を浮かべて会話するワザは笑った笑った。あれは見事。



【ハイウイング・ストロール】  著:小川一水  ソノラマ文庫

 『群青神殿』でもそうだったんだけど、小川さんの作品はナチュラルにえっちしてるなあ(苦笑)
 まあ人間の営みとして普通に組み込まれるべき男女間のコミュニケーション手段なのは分かるんだけど、ナチュラルすぎてなんか赤面してしまいます。参った。
 舞台は未来。重水素の雲に大地が沈んでしまった世界で、食料や燃料となる「浮獣」という存在を戦闘機で狩る空の狩人ショーカのお話。何となく読んでいてアニメの『ラスト・エグザイル』を思い浮かべました。基本的にこれに出てくる飛行機は複座ですし。
 この作家の思想というか考え方は、どの作品にも油膜みたいに浮き出てるんですが、今回も同様でした。これ、気に入らない人はすっごく癇に障るのかも。ただ、好感が持てるのは主張はあくまで主張であって作品そのものではないこと。勝負はあくまで物語の面白さでつけようとしているところです。『メデューシン』の上巻では、その主張の部分が前に出過ぎていたため鼻についてしまったのですが、押し並べて小川さんの作品はそこらへんの兼ね合いは上手く処理してる気がします。まあ、私の好みでの話ですけどね。
 今回も大空を駆け巡る話らしく、爽快感溢れた良い話でした。今流行の主人公年下でヒロイン年上なのも良し!(笑)



【神様家族】
【神様家族 2.発育少女】
【神様家族 3.桃色貯金】
【神様家族 4.シャボン玉ホリデー】  著:桑島由一  MF文庫J

 将来良い神様になるために、人間に混じって生活しましょう。家族で。
 パパが神様、ママが女神さま。女神候補の姉と妹が居て、天使の幼馴染が居る、神様候補の高校生が主人公。そんなお話。
 三巻までは、あまりにもパパとママ以下、どいつもこいつもアホ過ぎて、ついていけんなあとちょっとうんざり感が否めないまま読んでたんですが、なんか四巻の短編集でガキンと歯車が合ってしまいました。
 橘愛、はっちゃけ過ぎ(笑)
 眉をひそめてしまうあほっぷりだったキャラたちも地の文も、四巻ではなんかこうすっきりと笑える感じになった気がします。キャラクターもなんか一皮剥けて化けた。ママなんかうざったいだけだったのに。
 ていうか愛さん、あんた直前の巻までそんなキャラちゃうかったやんか(笑)
 グレたからって長ランにリーゼントする女の子はありえねえ(w
 元々病弱少女だったのはもう遠い過去の話のようです。




3月2日

 
QUARTETT!体験版

 白詰草話から引き続いて吹き出しで台詞が出てくるLittlewitch以外では見ない形式なんですけど、相変わらず良いですね。
 というより、前作の停滞した退廃感とはまたイメージチェンジして、えらくプレイしていて楽しかったです。冒頭から何度も腹を抱えて笑い転げました。
 うーん、これは買いかなあ。前作もOPムービーに騙されたわりに面白かったんで、ハズレはなさそうな雰囲気。



2月27日

 し、しまった。ぴろってオスだったのか。普通にメスだと思い込んでました。




2月23日

 もう随分と以前から自覚しているんだけど、なかなか自由にならないのが動的描写。
 私の場合、どうにも戦闘シーンや激しい動きをみせるシーンを書くとき、一挙手一投足まで余す事無く全部描写しないと気がすまないのだ、これが。
 それが悪いつもりもないのだけれど、描写の作法がワンパターンなのはやはり宜しくない。
 もっと文章表現というものを有効に使って読者の方にイメージを預ける書き方にも挑戦したいのだが。いざ書く段となると……難しい。幸い連載の方が、この手の動的描写を多く必要とする展開に入ってきたので、これを期に色々試したいところ。




2月20日

 一度後回しにしだすと放置という結果になってしまうのが雑記ということで。
 なんとなくテンションのバロメーターでもあるんだなあ、と言い訳してみる。
 十日空いてしまいましたがな。


 連載中のSSですけど、執筆テンションの方は何とか安定しているようなので、調子を維持してコンスタントにHP上にあげれるように幕間と第八幕は並行する事にしたんで、宜しくお願いします。


 ゲームの方はファントムブレイブ一色です。
 クリア後も引き続きイベントがあるので、それをチマチマと進行中。
 前作のキャラクターである超魔王ラハール、魔王の部下エトナ、堕天使フロン、おまけにビューディー男爵中ボスを仲間にしました。おまえら、今作の連中とテンション違いすぎ(笑)
 こいつらのノリに全然付いていけてないアッシュとマローネが非常に大変そうで可哀想というかお前らももっとはっちゃけろというか。いや、ミャオとのイベントではマローネさん充分はっちゃけまくってましたが。
 フロンちゃんはもう堕天使が板に付いちゃってるし(w
 しかし、ディスガイアのキャラはやはり愛着があります。自然とこれまで使っていたキャラは控えに回ってしまいました。
 尚もランダムダンジョンを深く深く潜っている最中です。平均レベルはおよそ300前後。最高はボトルシップのスコッチ君Lv420です(w
 マローネもレベルの高いトロッコを装備してるので、独りレベルが低いこともなく、Lv300に到達してます。


 ドラマが面白いなあ、と思う今日この頃。
 ごめんなさい、流行に乗って「白の巨塔」見ちゃってますがな。だって面白いんだもん。
 相変わらず恋愛メインのドラマはつまらないと思ってしまうんだけど、ここ数年コンスタントに見てて面白いなあと思えるドラマが出てる気がします。タイトルも内容も区別の付かない同じようなものばかりだった時期はもう随分と昔になるんですね。
 江口洋介、そこに愛はあるのかい? とかほざいてた頃と違って大変好きな役者さんになりました。髪切ってからかなあ。
 砂の器の中居は、あれは喋るシーンが少なくて得してると思います(笑) いや、予想以上にいい感じなんですけどね。
 プライドは二話見てやめました。前のTBSのパイロットものは途中から急に面白くなったんで油断出来ないんですけど(今回は脚本があれだし)
 ファイヤーボーイの山田くん。あの子は前のウォーターボーイからそうですけど、顔がいい。表情がほんとにいい。泣きそうな顔とか悔しそうな顔、必死な顔、歓喜を爆発させる顔。ちょっと惚れそうです。
 相棒はもう毎回毎回手を変え品を変え、全然飽きないですね、これ。最初の二時間サスペンスドラマだった頃から見てるんですけど、元から良かったのが回を重ねるごとにさらに作品として熟成して行った上に、大胆に手を広げてそれが更に成功してる感じです。刑事ものとしては歴代でも有数の出来じゃないでしょうか。
 これも水谷豊や寺脇さんなどの役者さんみんな好きなんだけど、岸部一徳のあの怪しさが一番たまりません(笑)




2月10日

 Fate終了。
 いつまでも浸っていたい気分です。終わるのが惜しい作品というのは久しぶり。
 少数派かもしらんが、言峰神父が好きだ(マテ



 いや、実際最後の桜ルートで明らかになった言峰神父の生き様には打たれました。
 説明するのは難しいのですが、士郎の生き方より好きかも。
 娯楽のためだと言いつつ、あれって実は意地だと思うんですよね。楽に逃げたんじゃなくて、仕方なく受け入れたのでもなく、自分はそういうものなんだと敢然と認めたのだと。
 愛した女の死は無意味だったとしても、無価値にはしたくない。
 そんな考え方をする男を、嫌いになれますかってんだ。そのやり口は外道でさすがに気分悪いですけど、でも私はこの哀しい男が好きです。
「認めたくないが。
 どうも俺は、言峰綺礼という男が好きだったらしい」
 桜ルートで最後に言峰と対峙する士郎の台詞ですけど、この瞬間は主人公と気持ちがシンクロしましたね。


 それにしても、この作品はあらゆる面から見ても、主人公の物語でしたね。凛ルートだけでなく、セイバールートから桜ルートに至る流れや、登場人物たちの配置や背景も。
 実のところ、私は士郎ってあんまり好きじゃないんですよね。奇麗事云々がどうとかじゃなくて、これまた説明しにくいんですけど。セイバールートの結末なんか、あれしか仕方がないと分かってても、そこまで悟りきれない。もっと苦しみ悶えて欲しかったかな、と(w
 ただね、あそこまで頑張られると、もう認めるしかないんですよ。頑張れって応援したくなっちゃいますよ。棒高跳びのシーンでも分かるように、ダメと分かっててもやり続ける姿。凛ルートでのアーチャーとの戦いは、もう駄々を捏ねているようにしか見えないんだけど、なんだか泣けてきて泣けてきて。
 ああもう、色々文句はあるわけですが、結局なんだかんだ言いつつ、私は士郎のことが好きなんでしょ。降参します。士郎、好きです。


 あと、食事シーンの多さと懲りようは好きだったなあ。
 ものを食べてるシーンって、キャラの素の顔が実によく伝わると思うんですよね。食事シーンをうまく使えている作品というのは、どの分野においてもイイ感じに出来上がっていると思います。その点でも、このFateは二重丸。


 藤ねえエンドがないのを知った時は、本気で落ち込みました(w
 プレイ前からなかなか良さそうなキャラだとは思ってたのですが、実際プレイしてみたら予想を遙か斜め上にぶッ千切った凄まじいキャラだったものですから、もう初っ端は藤ねえルートと思しき選択肢ばっかり選んじゃって(笑)
 全ルートをクリアしたらば、藤ねえのシナリオは入る余地なさそうだなあ、というのはもう嫌というほど実感できたんですけど、それでも欲しかったなあ。
 ハロワの純子さんルートがなかったのと同じぐらい哀しかったさ。


 私がTYPEMOONの作品に此処まで嵌ってしまうのには、きのこ氏の文章や世界観とはまた別に武内氏の絵があるようです。
 端的に言って立ち絵。月姫からそうなんですけど、あのキャラの立ち絵の表情がもうたまらん。
 照れたり、怒ったり、拗ねたり、惚けたり、呆れたり、笑ったり。
 その表情に思わず引き込まれました。
 殆ど立ち絵には見向きしない性質なんで、余計に。
 今回は立ち絵にも様々な動きが加わり、しかも喋ってる後ろで百面相していたりと、本当に表情豊かで。もうみんな惚れたさ!


 アーチャー。実は途中まで正体は「切嗣」? と疑ってました。
 いや、どうも違うっぽいのはアーチャーの言動やらから分かってはいたんですが、他に士郎縁の人物が思い至らなかったものですから。
 まさか本人とは(w
 分かったときの衝撃たるや、殊能氏の「ハサミ男」のラストでハサミ男の正体を知った時くらいに「やられた!」と思わされましたね(どれくらいの衝撃かこれじゃあ伝わらん伝わらん)

 体験版をプレイした際に、アーチャーと凛との関係を此処までステキに描いてしまって、これ絶対士郎と凛がくっ付くのは嫌だと思う人が出てくるだろうな、あとどうするんだろうと心配したんですが。
 お見事。
 正体を知ってからプロローグを見ると、アーチャーの言動の端々に感慨を覚えます。


 予想外だったといえば、皆様仰っていますが、サーバントの扱い方。
 まさか此処まで徹頭徹尾、単なる物語上の駒としてではなく一個のキャラクターとして扱われるとは思っても見ませんでした。英雄という存在であるためか、誰もが誰も、凄く人間的な色気と魅力があるんですよね。卑小さが全然なくて清々しい。
 絶対バーサーカー、暴走すると思ってたんだけどなあ(笑)
 なんか一番漢っぷりが良かったし。


 エンディング、やはり一番好きなのは凛グッドエンドです。仕方ないじゃないですか。セイバー残ってくれないんだもん。月姫のシエルグッドエンドもそうでしたけど、こういう逃げ道を用意してくれているのは正直ありがたいです。士郎の台詞じゃないですけど、みんな幸せになって欲しいと思うのがぬるいファンの心理ですから。
 でも、凛ルートだとイリヤは早々に退場しちゃってるんですよねえ。本当の意味で全員がハッピーというルートはないわけで。桜だって自分のルート以外では今後どうなるか怪しいところですし。
 実のところ、イリヤに関しては凛や桜が相手なのより、セイバールートでのセイバーとのコンビが好きな身としては、二人が両立し得ないというのは哀しいです。
 セイバーといえば、桜ルートのあれ、ルールブレイカー使えば解放できたんじゃないのか?
 投影には回数制限があるからダメと云われるかもしれないですけど、投影したまま桜の許まで持ってけば持ち越しで使えたんじゃないかなあ、と。
 未練です。

 未練といえば、セイバーの胸が小さかったのは無念ですた(w

 対してライダーの胸は大きかったなあ(マテ
 とは云いつつ、ライダーさん、ああいう扇情的な格好より、エンドの落ち着いた私服姿の方が大変似合っていたと思います。てか格好よさに惚れたさ。

 もう1人の女性サーヴァント、キャスターさん。これ、フード被りっぱなしだったのは本当に勿体無く。資料集みたら、ずば抜けて美人さんじゃなかとですか。彼女の最後の一枚絵は横顔だったので良く分からなかったのですが、清楚で儚げな美人さん。フード脱いで現れてくれてたら、速攻で騎士ルートに突入でしたよ。私が守ってやる!
 何気に一番女性的なキャラだったように思います。

 ……こうして振り返ってみると、セイバーってちっちゃいな(w
 密かにロリっ子だったのか!?


 なんかまだまだ浸っていたい気分です。ファンディスク出るのかしら。タイガー道場の掛け軸にそれらしき言は書いてあったので、期待しているのですが。

 いや、それにしても楽しかった。
 積もり積もった期待に、ちゃんと応えてるだけのものを作り上げてくれました。
 ごっつぁんです。





 ファントム・ブレイブにて、原子力ナイフなるアイテム発見。
 わはははは。いったいどういうナイフだよ。
 称号システム、何気に愉快です。





【先輩とぼく】 著:沖田雅

 個性的、もしくは変人な女の先輩に恋焦がれ、子犬のように付き従うショタ系少年。
 最近この構図は流行なんでしょうか。この数ヶ月だけでも電撃文庫の『護くんに女神の祝福を』や富士見ミステリーの『黒と白のデュエット』が思い浮かびます。
 で、本作、第10回電撃小説大賞の銀賞作品。
 お姉さま系が好きな私としては、上記二作品は少々物足りなかったので、全然関係ないにも関わらず、あんまり期待出来ずにページを開いたんですが。

 わはははははははっ。

 やべえ、面白かった。
 系統としては上記に加えて『涼宮ハルヒ』シリーズと同じ宇宙人や超能力やらのごった煮ドタバタ風なんですが、割と構成に拘りを見せてる谷川流と違って、こっちはシンプルにキャラのノリと勢いに任せたような感じがします。
 衝撃度では『涼宮ハルヒの憂鬱』の方が断然上でしたが、以後のハルヒシリーズがテンション落ちてきたのがキャラクターや作品独特の雰囲気作りを二の次にしていた所為だと考えると、こっちの方が続きを出しても安定しているかも。まあ、これで終わりにして、この作者の新しい作品を読んでみたいとも思うのですが。
 コメディってのは文章のテンポや登場人物への好感が重要だと思うんですよね。後はネタへの嵌り具合。その点において、本作は実に良質のコメディだと思います。使ってるネタは珍しいものじゃないんですけど、調理の仕方がイイ感じですわ。
 今回の電撃大賞の中ではこれが一番好きですね。


【我が家のお稲荷さま】  著:柴村仁

 此方は電撃小説大賞の金賞受賞作。
 ああ、これ微妙だなあ(苦笑)
 おにぎり煎餅ってありますよね。実は私、あれ湿ってた方が好きなんです。おにぎり煎餅に限らず、煎餅は湿気てても好きです。
 他にもパサパサに乾いて硬くなったパンとかも好きだったりして。
 何が云いたいかというと、本作ってパサパサなんですよね。人によっては味気なく感じてしまい、何これと思ってしまいそうな作品。文章のリズムや話の進め方、心理面の動かし方なんかがあっさりし過ぎているような。
 私としては、こういうあっさり風味の文章や話の流れってけっこう好きなので、割り合い楽しめたんですが、世間的にはどうなんだろう。まあ、関係ないけれど。
 あと、何となくですが、地の文の使い方や会話文なんかが四コマ的なテンポやノリのように感じましたね。例えば、あずまんが大王みたいな。
 うまくテンポに乗れたら、楽しめるタイプの話なんじゃないでしょうか。


【空ノ鐘の響く惑星で 2】  著:渡瀬草一郎

 きたきたきたきたキタァァ!
 戦記風の物語の醍醐味はいったい何処にあるのか。それは勿論、政治闘争です(笑)
 というわけで、前作ラストの展開により大混乱に陥ったアルセイフ王国。前回読んだときはこのままSF的展開に移行するのかと思っていたのですが、大胆にそれは置いておき、王国の政治的混乱と各王子たちの立ち位置、各派閥の動向など、政治闘争へと舞台展開。王国内だけでなく、諸外国の不穏な動きなども見せ始め、どうやら話は王国内だけに留まらずにもっと大きなフィールドへと広げていくような雰囲気も感じられます。
 渡瀬氏の描く各キャラもまたいい感じなんですよ。若者たちだけじゃなくて、親父キャラが親父キャラがたくさんたくさん(w
 やっぱり好きだ、渡瀬草一郎。
 ちょっと途中の展開にヘコんでたんですが、ラストでそれ吹き飛ばされました。我ながら、この件でヘコんだり喜んだりしてしまうのはヌルいなあと思うんですが、まあヌルいのは好きなんで、はい。
 二巻にして一気に面白さが加速してきた本作、既に第三巻は脱稿している様子。電撃は狂ったような刊行ペースの作家が何人もいるので目立たないんですが、この人もけっこう早い方ですよね。このレベルで安定してあの速さで出すんだからすごいよなあ。









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