抵抗空しく遂に最後の防壁たるタオルを剥ぎ取られ、生まれたままの姿へと剥かれてしまった美坂香里。
 その名も『香里を泡塗れにして綺麗にしてあげ隊』の魔の手が遂に禁断の丘に伸びる。

 嬉し恥ずかし 温泉卓球第4部『泡盛篇』、満を持してスタート♪

(注意事項:このSSはあまりにもバカで倫理的に大変問題があります。何処か頭がおかしいですので充分お気をつけの上で服用ください。良識は大切に♪)















「さて、我らが栄光ある『嫌がる香里ちゃんを無理やり綺麗にしてあげ隊』改め、『遂に抵抗を諦めた香里ちゃんを隅々まで綺麗にしてあげ隊』の諸君、時は来た!!」
「ちょっと待ちなさい! なんなのその変な名前の集団は!? てか、改めってなに!?」

 香里の抗議を無視して、祐一は洗い場に敢然と立ち――注:全裸――万の民衆に聖戦の開幕を告げる聖者のように告げた。

「これより我々は、その全知と全能を掛けて、前人未到の領域を洗浄する! 手を使い、指を使い、場合によってはなっ、なんと舌まで使い、香里の身体を隅々まで綺麗にするのだ!」
「お〜!」
「よっしゃー!」
「そ、そのノリはいやぁーっ!!」

 盛り上がる他三名と違って、現れる本人はいささか不満があるようだが、そんな些細な事に拘泥する『遂に抵(中略)あげ隊』の精鋭たちではなかった。

「よし、同志北川。そなたには上半身を任せる。あとで「ああ、洗われる前よりもバストが大きくなったわ」と喜んでもらえるくらいの意気込みで洗うのだ、よいな」
「くっ、そ、そんな大任をオレ一人に。分かった、オレも男だ、任されるぜ。
 美坂…………オレを信じろ!」

 白い歯をキラリンと輝かせる北川に香里は頭を抱えた。

「なにを信じろってのよぉ!?」
「そして名雪。お前はオレと共同で事に当たる。必要なのは息の合ったコンビネーションだ。ならばコンビネーションの秘訣はなんなのか。敢えて言おう、愛だ! 愛と勇気が成功の鍵なのだ!」
「ゆ、祐一、分かった、分かったよ。大丈夫、安心して。わたしの愛は、祐一のものだよ」
「名雪!」
「祐一とわたしの愛があれば、何処までだっていける、なんだって出来る。愛で繋がった私達に出来ないことなんてない。だから、香里の恥ずかしい部分を洗うのだって、きっと二人でなら大丈夫だよ」
「そうだな、俺とお前なら、大丈夫だよな」

 微かに涙を滲ませながら、じっと熱い眼差しを交わし続ける祐一と名雪――注:全裸――。

「しおり〜、たすけて〜、ここなんか時空が変なのよ〜〜」

 なんかもう泣くしかない香里さん。

「さて、いい加減前振りも長すぎな気もしないでもないので、そろそろはじめようじゃないか、諸君」
「おー!」
「よっしゃー!」
「いや〜〜」

 北川に後ろから抱えられたまま弱々しく抗う香里の膝を、祐一が掴んだ。
 香里が怯んだ隙に、名雪が腰に巻かれていた最後の一枚を引き剥がす。白日の下に、香里の黒々とした翳りが晒される。これで遂に、四人ともが一糸も纏わぬ姿になった。

「おい、香里。膝の力抜いてくれないと、あそこが洗えないだろ」

 香里は両足を閉じたまま、イヤイヤと首を振って嫌がっている。

「うむむ、この期に及んでまだ抵抗するか。しぶといな」

 心なしか楽しそうにそう呟き、祐一は北川に目配せをした。

「おう。じゃあ美坂。胸、洗うぞ」
「―――ッ!!」

 背後から伸びてきた北川の両手が、むんずと香里の双丘を鷲掴みにした。意外と堅く、だが暖かな手は、そのまま桃色に染まった先端部を巧妙に避けて、柔肉に指をめり込ませながら、タプタプと下から持ち上げるように乳房を揺さぶった。

「あ、こら、そんな、や……ああ」

 香里の唇から驚いたような切ないような小声がこぼれる。その拍子に、膝を閉じる力が一瞬緩んだ。その隙を逃さず、祐一は一気に香里の足を開き、身体を捻じ込む。

「あっ!」

 咄嗟に足を閉じようとする香里だったが、既に遅く。名雪と祐一の二人掛かりで香里の足は広げきられ、彼女の下腹部は祐一たちの前にはっきりと晒されてしまった。
 しっとりと濡れた淡いかげりに秘められたまだ誰の侵入も許した事のない儚げな秘唇。

「ちょ、ちょっとやだ」
「ほう、これはこれは」
「香里、濡れてるね」

 香里の秘所をねぶっていた二人の粘り気のある視線が、意味ありげに香里を見上げた。

「う、うそよ。違う」
「嘘なもんかよ、ほら」

 そう言って、祐一は香里の秘裂に指を這わせ、ねっとりとした液体に塗れたそれを良く見えるように掲げてみせた。

「ビショビショだな。もしかして、卓球のときから濡らしてたんじゃないのか?」
「ば、ばか、そんなこと」
「ほら、北川くん、舐めてみる? 香里のえっちな液だよ」
「な、名雪!?」

 名雪が無邪気な表情ですくい取った液体を、香里の乳房を熱心に揉んでいる北川の口許に持っていった。一瞬躊躇した北川だったが、誘われるがまま名雪の中指を口に含んだ。

「やっ、き、北川くん」
「むむむ、これが美坂の……こ、これは、南アルプスの天然水にも勝るまろやかな風味が――」
「いきなり訳の解らん解説を始めるな!!」
「お、怒るなよー。ちゃんと味わうから」
「ば、そういう事を言ってるんじゃ、あ、」

 香里のすぐ顔の前で、一滴も残さないよう執拗に名雪の指をしゃぶる北川。
 思わず瞬きも忘れて、その様子に目を奪われていた香里の全身が、ブルッと震えた。祐一の指が、香里の淡い草叢を掻き分け、丘を二つに割る線をなぞっている。敏感な粘膜を無遠慮に、だが羽毛で擽るように祐一の中指が擦りあげていった。
 ジワジワと官能の波が押し寄せはじめていた。
 胸を蹂躙していた北川の手が、遂にかたくしこった先端へと辿り着き、掌で押し潰して円を描くように捏ね回しはじめた。

「ふぁっ、ああ、やだ、乳首が潰れて、あっ、ああ」

 目の前では名雪の指が北川に蹂躙されている。
 白い指が、執拗に舌でピチャピチャと舐めまわされ、しゃぶられている。自分のあそこから溢れた液体に塗れた指が、美味しそうに吸われている。
 香里は茫然とその様子に見とれ、いつしか誘われるように自分もまた名雪の指に舌を這わせていた。
 やがて、銀色の糸を引きながら、白い指は離れていった。
 物足りない。全然物足りない。
 プチンと、頭の奥の方で辛うじて残っていた何かがピアノ線が切れたみたいな音をさせた。

「う、うー」

 とてつもなく切ない気分が吹き上がり、我慢できなくなった香里はすぐそばにあった北川の唇へとむしゃぶりついていた。

「ん!? ん……んぁ、美坂」
「い、いいから、もうちょっと。んん、舌入れて」

 云った途端、ぬめった舌が口の中に割り込んできた。
 ついでに、下の秘唇にも舌が入り込んでくるものだから、香里は思わず北川の舌を噛みそうになった。
 北川の舌に自分のそれを絡ませ離れられないまま、香里は目線を下に向けた。
 見えるものは、仲良く自分の下腹部に顔を寄せてる二人の頭頂部。

「くくくっ、さすがの香里でも二人いっぺんに舐められたことはあるまい」
「そもそも舐められたこともないはずなんだけど」
「でも、二人一度も初めてだろ? だったら間違ってないぞ」
「まあそれはそうだけど」

 と相変わらずの会話を続けながら、行為の方は手抜きなく、香里の秘裂の隅々まで祐一と名雪は綺麗に舌を這わせていった。陰唇の外周をもったいぶるように何度も往復し、交互に膣穴をつつき、包皮にくるまれたクリトリスを剥き出し、自分達のキスの間に挟み込んで甚振るように吸い上げ、舌で蹂躙した。

「んんーっ! んんっ、んあああ!」

 まさに快感の波状攻撃だった。
 北川との濃厚なキスだけでも、痺れるような快感が頭に突き刺さるというのに、激しく揉みしだかれる胸。指の間に挟まれ、あるいは掌に潰され、また摘み上げられ引っ張られる乳首。優しく摩られる太腿や脇腹。二人掛りで執拗に、でも温かく刺激を与えられる秘所や草叢に覆われた恥丘、そしてクリトリス。

「美坂、どうだ、気持ちいいか?」
「や……、きもちよくなんて、は、ぅぅんああ、いやっ、やだ、違うわ、こんっ、んん。やぁぁっ」

 三人がかりで体中の性感帯を責められるのだ。免疫のない香里には、あまりに強すぎる刺激だった。

「み、みんな、やだ、いや、へんっ、ああ。あたし、へんになっちゃう」
「おー、なれなれ。観念しておちろ。俺たち『隅々まで綺麗に洗い隊』の手に掛かったのだからして、それも仕方ないのだ」
「わたしが許すよ〜。イッちゃえ、香里」
「いやっ、あああああ、そんなのだめっ、は、はずかし、ひぁ」

 イヤイヤと激しく首を振る香里のうなじに顔を埋め、彼女の耳たぶを甘噛みしながら、北川が邪悪に囁いた。

「くくくっ、美坂、可愛い」
「ぁあ」

 必死に堪えていた堰が、それで一気に破れた。
 一度破れれば、もう止めようなどなかった。
 凄まじい痺れが、全身を駆け巡り、正気を押し流す。

「うあ、ひああああああああああっ」

 秘部を祐一と名雪の顔に押し付けるように腰を浮かせ、全身を痙攣させた香里は、ぐったりと崩れ落ち、北川の腕の中にしな垂れ込んだのだった。












「うーー」

 火照った身体を、柔らかな風が包み、通り過ぎていく。
 まだ絶頂の余韻が消えず、ぼんやりと陶酔に浸りながら、香里は風に涼んでいた。
 結局散々イイ様にされてしまい、それが不本意だったのかまだむくれている。

「で、いつまで触ってるの?」

 半眼になりながら、さっきからたぷたぷむにむにと飽きる事なく人のおっぱいを触りまくってる主に文句を言う。

「そう言うなよ。やめられないとまらないんだな、これが」
「えびせんか、あたしの胸は」

 とまあ不平は漏らしつつも、無理にやめさせようとはしない香里であった。
 この後ろから抱き抱えられる体勢はなんだかんだ云いつつ心地よかったし、胸を弄る手付きはいやらしさよりも遊んでいるみたいで、まあもうちょっと触らせてあげててもいいかなあなんて思わなくも無い。それに、子供みたいにうなじやら肩をチュッチュとキスしている北川の様子は、くすぐったいけれど不快ではなかったし。
 おしりに当たっている硬いものは気になるものの、もう少しこのままでいてもいい気分。
 ああ、なんて寛大なあたし。

「どうだ、満足したか、香里」
「…………」
「むむ、おかしいぞ、名雪。気のせいか睨まれてるような気がする」
「気のせいだよ、元々香里の目つきって悪いし」
「名雪、あんた人のことそんな風に見てたわけ?」
「……うにゅ?」

 祐一に寄りかかり、名雪は笑顔でとぼけて見せた。

「ったく」

 いい加減怒る気にならない自分は、もうこの頭のおかしい連中の仲間入りをしてしまったのかもしれない。だいたい今こうしていること自体が狂っている。なにしろ胡座をかいてる北川の膝の上にスッポリと収まっておっぱいを好き勝手に揉ませてやってる自分は一糸纏わぬ素裸で、自分を抱き抱えている北川もまた裸。目の前で足を投げ出し石造りの床に腰を下ろしている祐一は、隆々とおったてている男根を隠そうともしていないし、彼に寄り添って鼻歌なんぞ歌いながら風に涼んでいる名雪も、豊満な乳房や柔らかそうな草叢を晒したままだ。
 みんな裸、ヌード。だというのに、まあ長閑な雰囲気で。

「あんたたち、裸、恥ずかしくないわけ?」
「いや、恥ずかしいぞ、けっこう」
「わたしも〜。香里は?」
「恥ずかしいに決まってるでしょ!」
「オレは恥ずかしいより前に嬉しさ大爆発だな。なにしろ美坂と水瀬の裸、見放題で触り放題なんだし」
「そうだなあ、極楽極楽」

 そう言って、ケラケラと笑う祐一と北川。

「もう、男の子はエッチなんだから」
「……いや、あの名雪。もうそういう段階通り過ぎてるように思うんだけど」

 やれやれ困ったもんだという表情の名雪に、香里は額を押さえた。

「で、これからどうするの? そろそろ身体も冷えてきたし、もう一度温泉浸かりたいんだけど」
「そうだなあ、どうする相沢」
「うむ、ここまで来たからには第二の野望へと突き進むべきなんじゃないだろうかと、愚考するぞ」
「なに? 第二の野望って」
「別に変なことじゃないぞ。男子たるもの、女の子とお風呂に入ったら、背中なんか流してもらいたいなあ、と思うものなのだな、これが」
「……それだけ?」

 ちょっと拍子抜けする香里。それぐらいなら、別にやってあげても構わないのだけれど。

「い、いいのか!」
「え? ええ、いいわよ。ねえ、名雪」
「うん、別に構わないけど」
「おい、やったぞ相沢」
「おお、なんて心が広いんだ、名雪も香里も」

 香里を下ろして立ち上がった北川は、力強く祐一とガシッと腕を組んだ――注:だから全裸です――。
 ポカンとその様子を見つめ、香里と名雪は顔を見合わせる。

「もしかして、また地雷踏んじゃったのかしら」
「……みたいだね」









「ええっと、もう一度言ってくれないかしら?」

 いささか不穏当な発言を聞いてしまった気がして、一応タオルで前を隠しながら香里は笑顔を強張らせて、ウキウキと顔を綻ばせている祐一に訊ねた。

「聞こえなかったか? 二人でこう俺を挟んでだな、身体をスポンジ代わりにして洗って欲しいと言ったんだが」
「身体をスポンジ代わり、と?」
「おう、泡泡にして、こうギュッと抱きついて、上下左右にキュッキュッとだ」

 それはもう嬉しそうに手振り身振りで表現する祐一。
 一方の北川はといえば、打ちひしがれた様子で温泉に沈んでいる。
 さっき何をジャンケンしていたのかと思えば、先攻後攻を決めていたらしい。確かに、女性陣二人にそうやって洗ってもらうには、一人ずつしか無理だろうが。

「それを、あたしたちにしろ、と仰る?」
「良いって言ったぞ、良いって聞いたぞ。だいたい香里、お前これは男の夢だぞ。美人二人にサンドイッチされて身体を洗われまくる。これぞ楽園の極致。だよなあ、北川」
「そうです、最高です、男の夢です。だからさっさと終わって交代しやがれ、この野郎」
「と、北川も首を長くして待っているので、急いで始めてくれるとありがたい」

 へいかもーんと両手を広げる相沢祐一。
 偏頭痛を感じて香里は頭を抱えた。どうやらまだまだ頭のおかしくなりそうな変態時空は続いているらしい。
 そして、顔の前にひょいと差し出されるボディソープのボトル。

「女は度胸、だよ、香里」
「それ、絶対使い方間違ってると思うわ」

 美人といわれたのが嬉しかったのかニコニコと満面の笑顔になってる名雪に、嘆息しながらも、渋々受け取る香里だった。

「で、これってどうすればいいのかしら」
「あはは、香里もなんか開き直っちゃったね」
「もう何もかも今更じゃない。こうなったらこの馬鹿二人、メロメロにしてやるんだから」

 腹立たしげに鼻を鳴らしてグッと拳を握り、香里は軽く祐一を睨みつけた。

「お、お手柔らかにお願いします」
「ふん」
「祐一、気持ちよくさせてあげるね〜」

 香里と名雪、クラスでも有数の美人コンビだった二人の艶姿に、祐一は思わず生唾を飲み込んだ。
 タオル一枚纏わぬ素裸で目の前に立つ二人は、ブツブツと文句を言いながらも、その裸身にボディソープを垂らして行く。

「で、だからどうするのよ」
「あのね、おっぱいを中心に量を多めに泡立てて」

 まず見本を見せるように、名雪が両手一杯に出した液体を、プルプルと揺れる豊満な胸に擦りつける。そのまま円を描くように乳房を揉みながら、全体を泡立てていった。
 それを見て、香里もふむふむと頷き、ボトルから直接液を双丘に垂らし、同じように擦り始める。
 愛撫するように胸を撫でる手の隙間から、徐々に泡が立ち始めた。
 胸の谷間から、溢れた乳白色の液体が流れ落ちていき、二人の柔らかそうなデルタ地帯へしみ込んで行く。

「名雪。相沢くん、凄い目で見てるわよ」
「ちょっと見せ付けてあげよっか」

 二人は色っぽく顔を見合わせると、胸を撫でまわしていた手の片方を股間へと伸ばし、祐一に良く見えるようにソープのしみ込んだ草叢をかき回した。白い泡が、黒々とした繁みを覆っていく。

「き、北川ぁぁ!!」
「なんだよ、いきなり叫びやがって」
「た、戦いは始まる前に既に勝敗が決まってしまっているものなのだ!」
「……はぁ?」
「おまえ、覚悟しておけよ! 凄いぞ、なんかもう凄すぎだぞ」
「……なんでじゃんけん負けるかな、オレ」
「祐一、テンション高すぎ」
「低いのもそれはそれで嫌だけど。ほら、北川くんもメソメソ泣かないの」
「だって〜〜」
「だってじゃない。子供じゃないんだからごねないでよ。あとでちゃんと言う通りしてあげるから」
「ほんとに〜?」
「ふん、散々いたぶってくれたさっきまでの仕返しよ。倍にしてやり返してやらないと気がすまないのっ。今から覚悟しておきなさいよね」

 言ってしまってから、自分の台詞の恥ずかしさに顔を赤らめ、香里はプイとそっぽを向いた。

「香里、可愛い」
「うるさいわよ、名雪」
「お前ら、あんまりお預けしないでくれよぉ」
「はいはい、祐一もあんまりがっつかないの」
「むり、それは無理。はやくはやく!」
「分かったわよ、それで、どういう風にして欲しいの?」
「うむ」

 大仰に頷き、椅子に腰掛けた祐一は自分の太腿をバンバンと叩いて見せた。

「此処に座って、両側から抱きついて擦って欲しいんだ」
「え? 膝に座るの?」
「もちろん跨いでな」
「……ほんと、よくも色々と思いつくわよね、あんたたち」
「うわぁ、それってちょっと凄い格好かも」

 渋々と名雪と香里は大きく脚を開いて腰掛ける祐一の前に立ち、それぞれ祐一の左脚と右脚を跨ごうと足を上げる。

「あっ、ちょっとストップ」
「なによ」

 そのまま腰掛けようとしたところで止められ、香里と名雪は怪訝そうにしながらも動きを止めた。祐一は顎に手を当て、うっとりと目を細めた。

「いや、このアングルだと、脚を開いて見えやすくなったお前らのあそこが下からじっくりと観賞でき、あべしっ!?」

 手のひらで引っ叩かれる。平手じゃなくて張り手だ。
 鼻面を抑えながら、祐一は残念そうに呟いた。

「ううっ、いいじゃないかよ。減るもんじゃなし」
「祐一のえっち」
「褒められちった」
「褒めてないわよ」

 名残惜しそうな視線を振り切り、二人は祐一の太腿を跨いで腰掛けた。
 その途端、二人はピクッと背筋を震わせ、一瞬動きを止める。

「分かってたつもりだけど、これ」
「う、うん」

 戸惑う名雪たちをよそに、祐一は至福に満ちた顔になっている。

「ああ、布一枚隔てずに直接太腿に押し当てられる名雪と香里のえっちなあそこの感触がっ感触が」
「悶えてるわよ?」
「悶えてるね、解説しながら」
「だあああ、羨ましいぞぉぉ!」
「あっちも悶えてるね」
「悶えてるわね、背泳ぎしながら」

 顔を見合わせ、二人は苦笑を交わした。喜ぶ男どもの姿が、まあ言ってしまえば可愛いわけで。同時に、じんわりと下腹の奥から湧き上がる熱が、チロチロと燃え上がる。
 うっすらと微笑む名雪と香里の瞳には、確かに火が灯っていた。

「はい、じゃあ始めるよ。お客様一名ごあんなーい」
「名雪、それ洒落にならない」

 軽口を叩きながら、二人の少女は両側から祐一の首に手を回し、身体を押し付ける。

「うおっ」

 ふにゅ、と脇腹で柔らかな双丘が形を歪める。さらに強く名雪と香里は祐一に抱きつき、間で乳房が押し潰された。

「どうかな、祐一」
「これで満足かしら?」
「うああ、いい。すごくいい」

 恍惚となった祐一の姿に妖艶と微笑み、二人は押しつけた肢体を上下に揺らし出す。その度にタプタプと名雪と香里の乳房は縦横無尽に形を変え、祐一の身体の上を擦っていった。柔らかくも芯に硬さのある膨らみが、神経過敏な脇腹を擽っていく。瑞々しい弾力がダイレクトに伝わってくる。引っかくように擦れていく感触は、乳首のものだろう。

「お前ら、乳首硬くなってるぞ」
「うん、擦れて気持ちよくって」
「あ、ぅん、これ、思ったよりピリピリってくるのよ」

 声を上ずらせて二人は頷いた。胸だけでなく、身体を揺するたびに、祐一の太腿に押し付けられた秘部もまた擦れて徐々に気持ちよくなってくる。

「な、名雪、さっきから腰がすっげー動いてるぜ」

 目聡く名雪が腰を前後に動かしているのを見つけて、祐一が指摘する。

「うぅん、これ、こうすると気持ちいいんだもん」
「うぁ、あそこのビラビラがさっきから擦れて。香里、お前の方もなんかヌルヌルしてきたぞ」
「ば、ばかね、泡よ、泡」
「そ、そうかぁ? そう言い張るんならいいんだけどな。さっきから北川がお前のことじーっと見てるぞ」
「――っ!」

 咄嗟にそちらを見てしまいそうになるのを我慢して、香里は耳まで赤くなって俯いた。開き直って雰囲気に飲まれても、恥ずかしいものは恥ずかしい。

「あはっ、香里今ビクッってなった。見られてるのがイイんだ」
「そ、そんなはずないでしょ。た、ただちょっとあのバカ、見なくても視線が分かるくらいジロジロ見てるから。ふ、んん、やだ、こんなはしたない姿、恥ずかしいのに……んん」
「いいじゃない。ちゃんと見せ付けてあげないと、メロメロにできないよー」
「出来ないぞー」
「……うー」

 反論したくても火のついてしまった身体がそれを許してくれない。
 切なげに目を細めながら、香里は遠目にも分かるように、もう言い訳できないほど熱く熟れた秘所をグイグイと押し付けるようにして腰を前後させた。溢れてきたトロリとした液に、クチュクチュとぬめった水音が聞こえ出す。
 祐一は両手を二人の背後に回し、お尻の柔肉を鷲掴みにした。

「あっ、祐一」
「いやっ、んん」
「ほら、もっと動いていいぜ」

 泡と、秘部から流れ出した液が潤滑油となって、腰の動きを滑らかにしてくれた。
 名雪と香里は縋りつくように上半身を祐一に絡ませ、あそこをなすりつける。

「ゆういちぃ、キス、キスして」

 名雪が上気した顔を寄せ、キスをねだった。断る謂れもない。祐一は貪るように名雪の濡れた唇にむしゃぶりつき、激しく音を立てながら濃厚なキスを交わした。
 ぬらりと割って入ってくる名雪の舌を激しく吸い、己の舌と絡ませる。

「あ、あたしも。おねがい、相沢くん」

 見ているだけで蕩けそうなキスに、我慢できなくなった香里が割り込んでくる。

「ふっ、く、い、いいのか? 北川が見てるぜ」
「い、いいのっ。見せ付けて、焦らしてやるんだから。あとで、百倍にして返して、もら、んん」
「じゃあま、遠慮なく」

 張りのあるお尻の弾力を手で楽しみながら、香里の軽く開いた唇から僅かに伸ばされた舌を大胆に吸い込み、自分の舌を捻り込む。

「んんーーっ、んんんーっ」
「うっうう、香里ズルイぃ」

 祐一とのキスを邪魔された名雪が、恨みがましく喘ぎ、お仕置きとばかりに香里の耳たぶを口に含んで弄ぶ。祐一の巧みな舌使いに陶然となった香里は、その甘い痺れに思わず首に巻きつけた腕に力を込めてしまう。
 その拍子に名雪と香里、二人分の重みが祐一へと一気にずれた。

「ちゅ、くあ、ああった」
「わわっ」
「きゃ」

 背もたれの無い浴場の腰掛けだ。バランスを崩した祐一は、そのまま背後へとひっくり返ってしまった。何とか頭を打たないように庇ったものの、名雪と香里が上に圧し掛かり、「ぐへぇ」と肺の潰れたような呼気が、祐一の喉から漏れる。

「お、重い」
「ゆういちぃ、今言ってはいけないことを言っちゃったねぇ?」
「誰が重いですってぇ?」
「い、いや二人分だから重いに決まってるだろうが」
「問答無用」
「喰らいなさい」
「にゃっ? ふわわわ」

 二本の手にギュッと男根を握られて、祐一はヘナヘナと脱力した。
 二人はしっかりと固くなったそれを握り締めながら、大胆に全身を使って祐一の身体を擦り始めた。さっきまでの体勢では難しかった体重の乗った上下運動。しかも左の名雪、右の香里と交互に入れ替わりながら上下する。
 下敷きになった祐一からは、頤を上ずらせて吐息を漏らす二人の濡れそぼった瞳と、その下で柔らかく潰れる乳房が良く見えた。たわわに実った二人の双丘は、擦りあげられる時には下半身のほうへとたゆたゆと引っ張られお餅のように伸び、戻っていく時には今後は引き摺られてせりあがり、身体と身体の間に隠れていた桜色の先端を覗かせながら、二つの大きなマシュマロとなって戻っていく。

「ふっ、ふっ、うふ、相沢くん、おちんちんが信じられないくらい固くなってる」
「祐一、気持ちいいんだ。ものすごくだらしない顔しちゃって」
「あ、ああ。最高です」

 言葉を繕う余裕も無く、素直に今の気分を吐露してしまう。
 それを見て、上気した顔をにやりと見合わせた名雪と香里は、

「じゃあそろそろ仕上げにかかっちゃおう」
「ん、そうね」

 二人は最後の一回とばかりにぬらりと祐一に押しつけた身体を上下に往復させてから、離れた。そのまま、祐一を仰向けに倒したまま、今度は下半身の方へと移動する。

「お、おい?」
「ちゃんとすっきりさせてあげる」
「出さないとやっぱり悶々としちゃうでしょ」

 妖艶に、というよりもむしろあっけらかんとそう言って、二人は祐一の腰のところで挟むように向かい合うと、隆々とそそり立った男根を、両側から胸で挟み込んだ。

「ううっ」
「あ、すごい」
「祐一の、ものすごく熱くなってる」
「胸が火傷しそう」

 熱に当てられたように呟きながら、裸の少女たちは限界まで固くなったものを胸でしごきだす。

「お、おっぱいがいっぱい」
「祐一、それ寒い」
「うう、済まぬ」

 思わずボケた事をほざいてしまうほど、それは凄い構図であった。ふかふかのクッションのように、四つの球体が腰の上に乗っかっている。祐一のアングルからは、そのド迫力の大きさが良く窺えた。瑞々しい二人の肌は文字通り吸い付くように祐一を挟み込んで、しぼりあげる。艶かしく伸ばされた名雪の舌が、チロチロと鈴口をほじくりかえし、裏筋の部分を香里が自分の乳首で引っ掻くように刺激した。
 段々とせりあがって来る快感が、グニグニとおっぱいでしごきあげられるたびにもどかしい放出の欲求へと変化する。

「うあっ、でるっ」
「いいよ、かけてっ」
「きゃっ」

 祐一の腰がぐっと持ち上がったその途端、ドロリと半分ゼリー状になった白濁液が放たれた。ビュッビュッと吐き出されたものは、当然のように男根の一番近くにあった少女達の顔へと降りかかる。

「ああ、相沢くんの」
「うぅん、あつい」

 最後まで出し切ったのを顔と胸で受け止めた香里と名雪の顔や髪は、祐一のもので白く塗れ、垂れてきたものがまだ押し付けあってる胸の谷間に流れ落ち、溜まっているほどだった。

「うわ、たくさん出たわね」
「ちゅ、んん。さっき一度出したのにね。すっきりした?」

 祐一のものにしゃぶりつき、丹念に舌で舐め、奥に残ったものを吸い出したりして綺麗にしていた名雪が、一仕事終えたような口ぶりで訊ねる。祐一はあまりの快感にぐったりとしながら、

「あー、もうしたした。桃源郷を見た」

 幸せになれたらしい。

 香里はフラフラと立ち上がると、高揚した気分とはまた別に、ちょっとげんなりしながら顔を指でなぞったり、胸元を見やったり。

「ああ、もうドロドロ」
「はい、香里。最後仕上げだよ」

 と、名雪が洗い場からお湯を満たした桶とシャワーを引っ張り出してきた。
 まず、まだ仰向けにへたばってる祐一へとニ、三回上からお湯をぶちまけ、

「はい、祐一の番しゅうりょ〜。ご利用ありがとうございました〜」
「ぶはっ、こ、こら名雪、お前やり方がぞんざ、ふびゃ!? 鼻っ、鼻にお湯がぁぁ」

 もがき苦しむ祐一は捨て置き、名雪はシャワーの水力を全開にして、香里へと浴びせ掛けた。

「ちょ、名雪っ」
「ほら、早く泡とせーえき流しちゃって綺麗にしないと」
「わか、わかってるから、ちょっと勢い緩めて、きゃっ」
「ほんとは髪の毛、ちゃんとシャンプーしたいんだけど、また掛けられちゃうかもしれないしね。後にしよう」
「またかけられるって、貴女ね。はぁ、反論できないのが複雑だわ。ってこの、逆襲!」
「きゃっ」

 そうしてキャキャと歓声をあげながらシャワーを浴びせあう。
 キラキラと飛沫が飛び散り、一糸纏わぬ姿ではしゃぐ女の子たちの裸身が踊った。

「あああ、うううう、美坂ぁ水瀬ぇ、オレまだ? まだまだ?」

 と、ちょっと本気で泣きそうな声が、無邪気に戯れる少女達に届いた。
 見れば湯船の中で、比喩ではなく岩に齧りついて悶々としている馬鹿一人。歯が欠けるぞ?

「ああ、もうそんな顔するんじゃないわよ」
「ほい、北川くん、おいでおいで」
「……いいの? オレの番? やっとオレ? ほんとに?」
「……だいぶテンぱってるわね」
「当然だと思うけど」
「ほら、ゴチャゴチャ言ってないで早く来なさい」
「準備おっけーだよ」

 腰に手を当てほらほらと手招きする香里と、座椅子を置いてポムポムと叩く名雪。シャワーを浴びて瑞々しい水滴がメリハリのあるラインを辿って流れ落ちていく。
 三人の絡み合いをずっと湯船の中からじっと見ていた所為か、立ち上がった北川はなんだか逆上せているようで目も虚ろ、足取りも危なっかしくフラフラと温泉から這い出してきた。
 ただ股間の息子さんだけは、元気一杯なご様子。

「ああ、ちょっとあたし、ヤバいわ」
「どうしたの?」

 もう散々見たくせに、まだ直視するのが恥ずかしいのか思わず片手で顔を覆いながら、掌の下で香里はあきれ果てたように呟いた。

「なんだかすごく、のってるんだけど、気分が」
「あははは、わたしもー」
「あんたは最初からでしょうがっ」


 既に卓球の時からノリノリだった、この女は。

「おーい、ほったらかしにしないでくれぃ」
「それは違うよ北川くん、これはね、焦らしてるんだよー」
「くっ、二人ともいつの間にそんな高等テクを」
「テク言うな! で、北川くんは何がお望みなわけ」
「さんぴ――」

 ――げしっ!

「ぐおおお、膝がっ、膝が眉間にぃぃ!」
「ちょ、ちょ、直接すぎよ、このえろ馬鹿!」
「ふーん、拒絶はしないんだ」
「そっちも黙れっ!」
「うにゅ」

 すごすごと引き下がる名雪。

「あたたた、ひでえよ美坂」
「あんたが悪いんでしょうが。今はどうやって洗って欲しいか聞いてるの。さ、3ごにょごにょとか4ごにょごにょとかは、その、違うでしょう」
「……違うかな、これ?」
「ダメだよ、北川くん。香里は建前に拘るんだから」
「おまえら、喋ってないでさっさとはじめた方がいいぞ。身体が冷えるぞー」

 一人先に湯に戻ってスッキリぬくぬくしている祐一が、煽るように声援を送る。

「ええっと、じゃあ相沢があれだったしな。オレはオーソドックスで」
「……オーソドックスって?」
「前からと後ろからでサンドイッチってことだよ」
「……名雪、なんでそういうの詳しいわけ?」
「女の子のたしなみー」

 それは違うと思う香里であった。
 とりあえず、北川を椅子に座らせて、自分達はまた身体を泡立てるべく、ソープのボトルを傾ける。
 掌にボディソープの液を零した名雪は、視界の端で北川が固唾を飲んで自分達の艶姿を凝視しているのを認めた。思わずほくそえむ。

「かおりぃ」
「なによ」
「あのね、ごにょごにょ」

 耳打ちされる内容に、「えー」と唸って情けない顔になる香里。
 そんな彼女に抗う間を与えず、名雪は香里に正面から抱きついた。そして、二人の隙間にボディーソープをなみなみと垂らしていく。

「おおっ」
「あ、ダメだよ、北川くんはそこでじっとしていてください、うにゅ」

 思わず身を乗り出した北川に釘を刺し、名雪は彼に見せつけるようにして身体を擦りだした。互いに押し付けられてひしゃげた双丘が、窮屈そうにむにゅむにゅと上下左右に蠕動する。

「やっ、ふぅ」
「か、香里、おっぱい弾力あるね」
「名雪も、んん、柔らかい」

 女の子特有の瑞々しい肌が艶かしく絡み合い、泡立ち始めた白い泡がピンク色に上気した二人の裸を覆っていく。ときどき息苦しそうに乳房は脇へとこぼれ出して、北川の前にその桃色に尖った先端を覗かせた。

「おおお、すげえ」

 息を呑んでしまう。名雪と香里は互いの股間に足を割り込ませて無意識に擦らせあっている。チロチロと名雪が伸ばした舌を香里がオズオズと自分の舌で絡ませて吸い込む。そうしてディープキスを交わした。それでいて二人して目線は北川の方へと向いていて、北川を阻害せずに自分達の世界に絡めとって放さないようにしている。
 いい加減北川の我慢が限界を切りそうになった頃を見計らったように、香里と名雪は息を切らせながらひとつに重なっていた肢体を二つに引き離した。

「はい、お待たせ」

 そんな風に明るく言いながら、名雪は素早く北川の後ろ側へと回り込んだ。となると、必然的に香里が前を担当する事になる。
 先ほどの名雪との行為の余韻か、「ふぅ、ふぅ」と息を切らせながら香里はフラフラと座ってる北川の前まで歩いてくる。そのまま泡が滴る裸を隠す風もなく前に立つと、グッと身を乗り出して両手で北川の頬を挟み込んだ。

「わ、わ、み、美坂?」
「うごかないで。うごくと噛むわよ」
「か、噛むってなにさ?」
「ふ――っ」

 間近に近づいた香里の目は完全に欲情していて、怒っているような半分だけ笑っているような複雑怪奇な表情になっている。そして、北川に有無を言わせないまま、ペロリと鼻先に舌を這わせた。
 わっ、と驚く北川の顔を挟んだ両手で固定して、香里はペロペロと北川の顔中をその濡れた舌で舐めまわし始めた。目尻を舌先でツツーとなぞり、額に唇を押し付け、仔犬のように頬っぺたや鼻、そして半開きになった北川の唇を舐めまわす。最後に薄く開いた北川の上唇を自分の唇で柔らかくはむと挟み、上目でからかうように、もしくは切なそうに見上げてきた。
 ボン、と北川の顔が音を立てて上気する。なんというか、もう洒落にならんほど可愛いかった。
 と、前にばかり気を取られているうちに、背後に回った名雪が首に手を回してギューと胸をおしつけてきた。「はうあ!?」とダイレクトなおっぱいの感触に北川が意識を上ずらせるうちに、名雪がサッと何事か香里に囁く。香里はまたぞろ耳まで真っ赤になって、それでも強がるようにフンと鼻を鳴らしながら北川からスッと離れてしまった。
 「あっ」と残念そうな声を漏らすと、香里は北川の視界に全身が映るより前に、素早く右手を胸に、左手を足の付け根に当てて、ゆっくりと北川の足を跨いで彼の正面に立ったのだった。

「み、美坂、それ隠してるの? 見せてるの?」
「……ばか」

 この期に及んでプイと真っ赤な顔を背けてしまうのがまた香里という女であった。
 背後から抱きついている名雪が、肩に顎を乗せながらトロンとした半笑いで囁く。

「ちょっと隠してる方がそそるでしょ」
「お、おー!」

 確かに、その中途半端な隠しようがまた男心を擽った。
 最近85を越えたと噂の豊満な胸も、脚を跨いで大きく広げてしまっている下腹部も、それぞれ片手で隠しきれるものではない。その隠し切れずに見えてしまっているのがまた凄まじくそそる。
 左の乳房は掌で覆い隠しているものの、右の方は腕ではどうにも隠しきれずにツンと尖った先端も綺麗な桃色の乳輪も見えてしまっている。自分でもわかっているので、ソワソワとなんとか腕をずらして隠そうとしているのだが、むにむにと乳房の柔らかさを強調するばかりでどうにもなっていない。対して、左のおっぱいは手を被せているだけなので、これがまたグイと重力に負けずに前に突き出しているロケットおっぱいっぷりが露わな下乳によってそこはかとなく強調されていて、生唾ものであった。
 こうして真正面からじっくり見ると、香里は胸から腰にかけても素晴らしい事が良く分かる。

「香里ってわたしよりウエスト細いんだよねー」

 と、名雪嬢が耳許で羨ましそうにのたまうように、お腹のラインの引き締まり具合と腰のくびれは性的な艶かしさとはまた別に、見惚れるような美しさがある。
 そこからさらに視線を下へと辿っていけば、禁断の領域だ。
 北川の脚を跨いでいるために広げられた股下は、白く小さな手ですべてを覆い隠すには難しい。
 おへその下から下腹部へと至る煽情的なラインはタオルを巻いているときにも見ていたが、あれとはまた別に隠すものが小さな手ひとつというのはまた格別の興奮を呼ぶ。なんというか、ギリギリ見えるか見えないかという瀬戸際感が素晴らしい。
 メロメロにしてやるという開き直りが恥ずかしさを上回っているのか、大事な部分を覆っている手のひらは決してぴったりとは頑なに閉じられておらず、柔らかげに緩められ、僅かに指に隙間が生じていた。じっと目を凝らせば、その隙間から淡い草叢と思しき黒いものが透かして見える。さすがに草叢に覆われた秘めやかな割れ目の奥までは見えないものの、ほんの少し手を退けるだけですべてが露わになるという現実が、北川の鼻息を荒くした。
 そんな細かいところに目をやらずとも、ほんとうに間近で、香里が大きく脚を開いて立っているというその姿そのものがまた心臓を高鳴らせた。脚を大きく開いた所為で、内腿の付け根に出来たくぼみがまたマニアックだが素晴らしい。
 いや、なにより自分がなんつー姿を見せ付けているのかを理解しつつ、真っ赤になりながら恥ずかしいのを我慢している香里の表情が素晴らしい。

「北川くん、よだれよだれ」
「あう」
「メロメロ?」
「メロメロっす」
「うにゅ、じゃあ観賞タイム終了。香里、もういいよ」
「え、あ、お?」

 突然後ろから目を塞がれ、北川は混乱しながら宙を掻いた。

「ちょ、なにすんだよ、水瀬!?」
「だって、此処で見ちゃったらさっきまでの演出が台無しだよ」

 もう既に香里の裸はだいたい見ちゃっているが、それとこれとは別なのである。気分の盛り上がり的に。

 はー、と緊張が解けたみたいな、あたしなにやってんだろ、とふと現実に返ったような吐息が聞こえ、続いて何か気合を入れなおすような、もしくはヤケクソめいた息を吐く音が聞こえるや、北川のさっきからギンギンにそっくり返っているものがギュイっと押し倒された。

「あたっ!?」

 次の瞬間、腰の上にストンと柔らかなお尻が乗っかってきた。そして名雪の目隠しが外された途端、ギュっと前から香里に思いっきり抱きつかれる。
 同時に後ろから名雪にもむぎゅっと抱きつかれ、北川は電気ショックを受けたトカゲみたいな顔をして「あががが」と喘いだ。まあ無理もあるまい。普通に女の子に抱きつかれるだけでも嬉しくて鼻の下を伸ばすような年頃の男の子だ。それが途中を粗方すっ飛ばして、裸で抱きつかれてるのだから、そりゃあもう。しかも、前から後ろから。
 おまけに、これが見知らぬこういうのがお仕事の女の人ではなく、学校で勉強する様子も放課後遊んだりするときの姿など普段の姿を良く知っている仲の良い女の子が相手なのだからたまらない。 たまらないったらたまらない。

「ううっ、これってあれね」
「ん、どうしたの?」
「……なんかね、うん、いいわ、これ」

 そう不本意なのか照れてるんだか分からないような口振りで呟いた香里は、名雪の背中に――北川の背に名雪がへばりついているもんだから――手を回して、ぴったりとさらに密着するように抱き締める力を強めて、気持ちよさそうに目を細めた。

「裸同士で抱き合うのってそれだけでなんか気持ちいいもんね」

 と、ちょっとだけ羨ましそうに名雪。やっぱり背中と胸では同じ抱きつくにしても全然違うものがある。すっぽりと包まれて一つになってしまうみたいな安心感。それは単なるエッチよりも癖になってしまう感覚かもしれない。
 が、北川からすれば女の子達みたいな安らいだ気持ちどころではなかった。それどころじゃない。
 遠慮なく密着してくるものだから、ぷよんぷよんと弾力ある香里のおっぱいが胸元で押し潰されて凄い事になってるし、その柔らかい感触のそれぞれの中心部じゃ、硬い桜の蕾がいじらしく存在を主張している。背中からも同様に名雪のおっぱいがマシュマロみたいな柔らかさを押し付けてきていて、文字通りおっぱいに挟まれている状態だ。名雪の膨らみは、こうして両側から挟まれると分かるのだが内側からの張りがある香里の乳房よりも幾分かしっとりと柔らかく、さらに大きさというか質量が素晴らしい。ダイナミックな巨乳である。
 そして胸の膨らみだけならまだしも――まだしもというか充分だが――背中の一番下のほうからお尻に掛けてのらへんにさっきから名雪のすべすべとした肌の感触とは違う、フワフワというかショリショリというか何とも表現しがたい感触が押し当てられているのだ。むろん、あのデルタ地帯の感触である。意図的にであろう、なんとも擽るような微妙な触れ方で、尾底骨の辺りを擦っている。
 後ろが意図的とすれば、前の方はこれ絶対無意識だろう。抱きつく事そのものに意識がいってしまっているらしい。香里は、どこか無邪気さを感じさせる動きで、自分の淡い草叢で覆われた丘をスリスリと北川の下腹部に押し当てている。無自覚ゆえの無防備な仕草だ。だいたい、大股開きで腰の上に乗ってきているものだから、丘のぷっくりとした柔らかさは遠慮なく北川の付け根らへんでカタチを歪め、本来閉じている筋は左右に押し広げられている。柔らかい感触の奥には恥骨と思しき微かな硬さを感じるような気がした。

「えへへー、サンドイッチ完成だよ。北川くん、美少女二人に挟まれたご感想は〜?」
「…………」
「あれ? 反応ないよ?」
「……あー、魂が抜けてるわ」

 プニプニと強調するように胸を押し付けても何も返ってこない反応に首を傾げる名雪に、呆れた香里の声が返ってきた。

「むー、本番はこれからだっていうのに」
「こら、北川くん、あたしたちがここまでやってあげてるのに、失礼でしょ」
「香里、呼び戻してよ」

 云いながら、ほらこうやってと唇を突き出す名雪。改まってやれと云われると腰の引けてしまう香里なのだが、散々やっておきながら今更だし、もう勢いだ。
 チュッと啄ばむように唇にキスをする。うわー、やっちゃったーと本当に今更なことに真っ赤になりながら、チュッ、チュッと何度かキスを繰り返した。何気に気に入ったらしい。
 すると、フワフワと飛んでしまっていた北川の眼に焦点が戻ってくる。

「ほえー、みしゃかー」
「はいはい、ここにいるわよ、キャッ」

 ギューッと渾身の力で抱き返され、香里は思わず悲鳴をあげた。ついでにグイグイと反り返ろうとする男根の竿の部分が割れ目に分け入ってくる。先端はお尻の方へと抜けているので、なかに入る事はないものの、性器同士が触れ合う感触は衝撃的で先ほど祐一の太腿に擦りつけていた時とはまた桁が違った。違いすぎた。

「や、やぁん」

 ヘナヘナと腰砕けになりながら、香里は必死に北川の首に手を回して縋りついた。忙しない呼吸を北川の首筋に当てながら、香里はこれはちょっと洒落にならないと内心で首を振って意識を保とうとする。ちょっと触れ合っただけでこんなに気持ちいいのなら、これがなかに入ってきたらいったいどうなってしまうのかと考えてしまう。
 それは、とてつもなく魅力的な考えに思えた。

「く、ぅぅん」

 北川くんの、いれてみたい。北川くんのこれ、いれてほしい。ちょっとだけならいいんじゃないだろうか。そうよ、ここまでしちゃってるんだから、いまさら、ねえ。うん、少しだけ。少し腰を浮かして身体をずらしてみればいいだけなんだから。ちょっとだけ……。
 と、フラフラと腰を浮かそうとした香里の考えを見透かしたように、不意に北川の肩越しに名雪から唇を奪われた。ちゅーっと唾液を吸い取られ、眼を白黒させる香里に「ダーメ」と名雪がダメ出しした。

「だめだよ、香里。今いけないこと考えてたでしょ」

 ハッと我に返る。香里は今の自分の思考経過に愕然とした。
 ちょっと待てぇーーー。今何考えてたあたし!?
 幾らノリノリになってるとはいえ、そういうのはアレだ。ちょっといけません。ダメです。はしたない、めっ。

「ち、ちちち違うわよ!」

 慌てて誤魔化す。

「うーん、ならいいんだけどね。あのね、わたしたちは勝負に負けたんだから祐一たちの言うことはなんでも聞かないといけないんだよ。つまりご奉仕する方で、勝手に自分が気持ちよくなっちゃだめでしょ」

「わ、分かってるわよ。っていうかご奉仕って何よ、ご奉仕って」

 口をへの字に曲げる香里に、名雪はにっこりと微笑んで、声を出さずに唇だけを動かしてみせた。

『焦らないでも、二人ともエッチだからあとで絶対やらせろって言ってくるよ』
「ッ――――!!」
『それまで我慢できないなら、この場で押し倒して貰えるぐらいに誘惑してみれば? メロメロにしてやるんでしょ?』

 なな、なにを言ってるんだ、この娘は。ああもううるさい、黙れ!!
 ペチンと右手を名雪の顔面に押し付けて遠くに遠ざけると、香里は赤面した顔を北川の肩に埋めた。
 ケラケラと肩越しに名雪が笑う。

「香里、ほらさぼってないで」
「うるさいってば」

 北川は背中に押し付けられ、上下する柔肉の感触に陶然となっていた。時たま、引っ掻くように擦れていく尖りが擽るような微妙な感覚で痺れるような快感を与えてくれる。たゆんとした重量感のある柔らかいふくらみは、ただ上下するだけではなく円を描くようにこすり付けられ、それがまたたまらなく心地いい。
 後ろがたゆん、だとすれば、前はぷるん、だ。香里のおっぱいはたわわに実っている名雪ほどではないけれど十分に巨乳といってよく、しかも重力に負けずに前方にツンと突き出ていてカタチが崩れない。背中に押し付けられる双丘がしっとりとした柔らかさに包まれているのと比べて、胸に押し付けられて潰れている香里の双丘は瑞々しい弾力に溢れていた。どちらも質は違うが意識が吹っ飛んでしまうくらいに気持ちの良い柔らかさなのは変わらない。その二種類のおっぱいに前から後ろからサンドイッチに挟まれているのだ。

「ガオーーーッ!」

 吠えた。
 吠えでもしなけりゃ理性が吹き飛びそうだった。いや、もう理性なんざ殆ど残ってりゃしないんだけど、そこはそれ、我慢のしどころってやつがある。
 大胆に「どうかな、これなんか気持ちいい?」と屈託無く訊ねながらおっぱいを押し付けてくる名雪と違って、香里は恥じらいを隠し切れずにいるらしい――さっきイケナイことを考えてしまったせいだ――顔を肩に埋めたままあげようとしない。だが、頼まれたとおりに二人の間で押し潰された胸を上下に擦りつけるのは止めようとはしなかった。それどころか、竿の部分を咥え込んでいる花弁を、気持ちいいのか小刻みに前後させたりしだしている。トロトロと中から流れ出してくる愛液が潤滑油になって、粘膜同士が絡みつくその場所からはにちゅ、にちゅ、と泡立ちとは違う粘ついた水音が響き出していた。
 香里の熱い吐息が首筋に絶え間なく吹きかけられ、北川はあうあうと宙を掻いていた両手で香里のお尻を鷲掴みにした。

「あっ!?」

 ビクンと体が震え、思わず首筋に埋もれていた香里の跳ね上がる。

「むむ、美坂ってけっこうお尻締まってるのな」
「も、もう。名雪みたいに無駄にでかくないだけよ」
「むかっ、なにそれ」

 むくれた名雪が、北川越しに手を伸ばしておしおきだーと香里の脇腹を擽り出す。

「きゃっ、コラ名雪、ちょっとやめ、きゃははは」
「この、この、ほらコチョコチョコチョ」
「おお、おお、おお!」

 擽られた香里は笑い転げながら北川に縋りつき、名雪の魔の手から逃れようと身体をクネクネと捩らせる。だもんだから、おしつけられた胸もぐにぐにと撓むわ、プルプルと擦れるわ、上下左右に大暴れ。後ろの名雪もその香里を追いかけてグイグイと身体を押し付けるものだから、さっきまでとはまた別段の奔放なおっぱいの挟まれ具合に北川は声を上ずらせて、香里と名雪のサンドイッチを堪能した。

「はぁはぁはぁ、な、名雪ぃ」
「うふふふ、余計な事をいった罰だよー」
「ううっ、このっ、このっ」

 香里が北川に思いっきり抱きついた体勢のまま両腕を伸ばして掴まえようとするが、北川の首に腕を絡ませ後ろに仰け反って逃げる名雪。

「わっ、ちょっと、押すなー後ろに引っ張るなー」

 まあ二人掛りでしがみ付きながらそんな事をすれば、引っくり返るのは当然だった。さっきの祐一の時にも同じように転倒しておきながら学習能力の無い二人である。

「ぷび!?」

 ただ、今回の場合、下敷きになったのは名雪であったが。
 香里と北川、二人重ねで一気に押し潰され、名雪はつぶれた悲鳴を漏らした。

「わ、わわ、大丈夫か水瀬ー!」
「か、香里、重すぎ」
「な、なんであたし限定なのよ!」
「ぐえっ」

 香里が北川の上から下敷きになってる名雪に掴みかかるものだから、余計重圧がかかって名雪が潰れる。
 それを見て、一人手ぬぐいを頭に乗っけて温泉につかりながら、のんびり見物を決め込んでいた祐一が、したり顔でコメントした。

「うむ、これがほんとのサンドイッチだな」
「……相沢、お前何気に冷たいのな」
「とは言いつつ、前後よりも上下におっぱいに挟まれるのの方が気持ちいいだろ、北川」
「……わははは、いやまったく」
「ぐぐぐ、あの、いい加減どいて、北川くん、苦しい」

 いい加減本気で顔が真っ赤になって苦しそうなので、北川はまだ怒ってる香里を宥めながら名雪の上から降りた。ケホンケホンと苦しそうに咳をする名雪。ただ、手を床について四つん這いになって咳などするものだから、たわわに実った名雪の乳房がものすごい形にボリュームアップして咳き込む度にたぷんたぷんと見事に揺れる。思わず目を見開いて見惚れる北川に、香里はむーと不機嫌になって頬っぺたを引っ張ってやった。

「あたたた、な、なんだよ美坂」
「ふん」
「名雪の乳ばっかみてんじゃないわよ、あたしだって大きいんだからおっぱいならあたしの方を見て♪ ほれほれ」
「頭悪そうな台詞を人の声真似て言うなーーっ!!」

 パコーンと手桶を頭に喰らった祐一がブクブクと湯の中へ沈んでいった。

「ったく、名雪、ちょっとは黙るように躾ておきなさいよ、あんた飼い主でしょ」
「無茶苦茶いうね、香里」

 もう、と腕組みをして嘆息した香里であったが、もう一人ギャーギャーうるさいのの声がしないのに気付いて、はてと首を巡らした。
 はぁはぁ、と犬みたいに舌を出しながら、組んだ腕に持ち上げられて谷間と大きさを強調している香里の胸を、ちゃんと言われた通りに目を爛々と見開いて見てる奴。
 香里は無言で北川の顔に張り手を喰らわせた。

「い、痛いっす、見えないっす」
「見なくていい、すけべ」
「見ろって言ったのは美坂じゃないか」
「云ったのは相沢くんでしょ!」
「……二人とも、なんでこの状況で色っぽい雰囲気にならないかなあ」

 ぺたんと座り込みながら呆れたように云う名雪に、二人はお互いを指差して、

「だって美坂がぁ」
「こいつがバカだからよ!」

 こりゃダメだね、と名雪は首を竦めた。まあ、こんな調子だからみんなで和気藹々としてられるんだけど。

「だいたい、いつまでおったててるのよ、ばか、えっち!」
「あた、痛い、け、蹴るな、あおぅ!?」

 遂にはゲシゲシと北川のモノを蹴り出す香里。座ったままからのキックなのでそんなに威力はないからか、北川の口から微妙な悲鳴が漏れる。

「香里、その言い草は可哀想だよ。北川くん、さっきから出してないんだし。収まらないのも仕方ないよ」
「そ、そうだそうだ。相沢はパイズリでぶっかけてたのに、ずるいぞー」
「ぶっかけとか云うな」
「ぐへっ」

 一発食らわせて黙らし、香里は不本意そうに唇を尖らせながら、名雪と北川を交互に見る。

「じゃあ、どうすればいいのよ」
「うーん、そうだねえ。あ、そうだ、二人で足で踏んづけて――」
「すんません、それはちょっと勘弁して」
「えー、新たな趣味に目覚められるかもしれないよ」
「まだ若いんで、まだいいです」
「あ、あたしも、それはちょっと……」

 相次ぐ不評に折角いい考えだったのに、と不満そうにしながら首を捻っていた名雪だったが、突然ポムと手を合わせた。嫌な予感を感じて、香里のこめかみに汗が伝う。

「あの、名雪さん?」

 グルンと人形のように首が回って、名雪の笑顔が此方を向いた。

「ひっ!?」
「香里ー♪」
「きゃー!!」

 のほほんとしているようで、伊達に陸上部の部長ではない。見た目とは裏腹の猫めいた素早さで香里に飛び掛ると、そのまま香里を組み伏せてしまった。

「な、なななな?」
「んふー」

 満足そうに猫口になった名雪が、組み伏せられて動けない香里の唇にむちゅーと吸い付く。ぎょえーってな感じで目が見開かれ、バタバタと暴れようとするが、両手は床に押し付けられ、足も名雪の足で引っ掛けられて、引っ繰り返された状態になっているので、膝から下をパタパタと振るしか出来ない。

「んーー、んんーー、んーーーー、んっ」

 チュポンと音を立てて唇が離れ、顔を上気させた香里は目を虚ろにしてぐったりと動かなくなった。ノックアウト。
 プーと息を吐き、名雪が首だけ振り向けて、北川に告げた。

「北川くん、セルフサービスだけどいい?」
「せ、セルフサービス?」

 ぼけーと女同士の絡みに魅入っていた北川はアホウのように目を瞬く。セルフサービスといえば、自分で水を入れたり、自分で皿に料理を盛ったりするアレだろうか。
 ……自分で?
 名雪はクイクイと自分達の後ろの方を指差す。

「ま、マジっすか?」
「まじっすー」
「ふぇ? …………や、うそ、な、名雪ー!?」

 ようやく自分の格好に気付いた香里が悲鳴をあげて暴れるが、上からガッチリ名雪がキメられて、まったく身動きが取れない。
 グイッと大きく開脚させられた香里の上に、同じく大きく足を広げた名雪が圧し掛かり、香里の上へと覆い被さっている。ちょうど、香里と名雪の女性器が重なるようにだ。いわゆる貝合わせ。

「わ、うわー」

 北川、思わずマジマジと観察。
 丸みのあるお尻が二つ重なって、むっちりとした女の子特有の質感のある太腿が上下に絡まりあっている。その中央に綺麗な縦の筋が繋がって走っている。勿論、それは香里と名雪の秘裂だ。僅かに開いた裂け目からは、ピンク色の襞が少しだけはみ出ていて、泡とは違うトロトロとした熱い蜜が伝うように流れ出ていた。繋がった割れ目は、二人の呼吸に合わせてヒクヒクと震えており、その丁度合わさった部分には、莟にくるまれた秘芯が互いに擦れあっていて、下の方、香里の方の中の小粒な陰核が少し覗いて見えようとしている。

「こ、このかっこうはちょっと危なすぎるでしょ、な、名雪!?」
「えー、今までも充分危なかったような気もするけど」
「そ、それはそうだけど」

 セルフサービスという事はつまり寝そべってる間に向こうが全部やってくれるのは無理という事で、つまり自分で動かないという事であり……そういう事である。

「セルフ最高!!」
「あんたもちょっとは躊躇しなさいよ!」
「……なんでだ?」
「ごめん、聞いたあたしがバカだったわ」

 がっくりと空を見上げる香里であった。
 文句が収まったところで、でわ、と自分のものを手で持ちながら重なる女陰に擦り寄った。
 良く考えたら、これそのままいれちゃってもいい体勢だよな。
 ふとそんな考えが過ぎり、北川の小鼻が膨らんだ。
 ぴと、と合わさっている部分に先っぽを触れさせる。だが、そのまま二人の隙間に男根を押し込まず、しばらく上から垂れてきた蜜で先っぽを湿らせ、やがてつつーと割れ目に添って下へと動かした。

「え、ええ、ちょっと!?」

 裏返った香里の声が向こうから聞こえる。
 構わず北川は自分の先端で割れ目を擦り、ちょっとだけ分け入ってみる。

「う、うそ!? ちょ、待って!」

 微妙に感じている気配が篭りつつ、慌てふためく香里の声。

「えー、もしかして北川くん、いっちゃうの? わー」

 アンド、無責任に歓声をあげる名雪。
 面白いので指で秘裂を開いてみる。祐一と名雪は散々香里の此処を弄っていたけど、北川はちゃんと見るのも触るのもまだだったので、そこはもうじっくりと。
 陰唇を開くと、その奥から指が入るのかも怪しい小さな、可愛いと言っていいような秘洞が露わとなる。
「う、うわー、これマジ入るのか? ……ちょっと試してみよう」
「あっ、あ、あ、こ、こらーー!!」

 ぴと、と入り口の部分に先端をあてがってみると、香里の身体が激しく戦慄き、ちょっと泣きの入った怒声があがる。
 北川はクイクイと膣口を先っぽでつつきながら、可愛く訊ねた。

「……美坂、ダメ?」
「だめーーっ! 絶対だめーー!!」
「うう、チェリーボーイにさよならしてー!」
「いやーーっ、ここでこんな風にしちゃうのはなんかいやーっ!」

 さっきは自分からいれたいなーとか思っちゃったりした香里であったが、上に名雪に乗っかられたまんまヤられてしまうのはなんかもう嫌でした。この調子だとどうせ碌な処女の散らし方はしなさそうでもうなんだかなーという気分なのだが、せめてこう、あれだ。せめて抱かれる相手の顔を見ながら、ぐらいは願いたい。幾らなんでも名雪の顔を見ながらなんてあんまりだ。

「じゃあさ、北川くん。わたしの方に入れてみる?」
「え? ま、マジ?」
「な、ななななな!?」

 あっけらかんととんでもないコメントをする名雪に、香里から言語機能が吹き飛んだ。

「うん、いいよー。わたし、実は祐一ともう経験済みだし」
「実はって秘密だったのか? いやー、でもその相沢が」
「ななななななななな!?」
「こらーっ、北川てめえ殺すぞー!」
「ほら、祐一もおっけーって言ってるよ」
「……そうかぁ?」
「ななななななななな!?」

 いいのかなーと思いながら、名雪の方へと男根を移動させ、手で持ってグリグリと押し当ててみる。「んんん」と名雪からは擽ったそうな感じた声。
 確かに水瀬名雪は絶世の美少女で体つきだって最高。あそこもキュっと締まっていて、多分入れた感触も素晴らしいものだろう。っていうか、いれてみたい。いいって言うんだからいいような気もする。でもなー。

「あ、北川くんやっぱりだめだ」
「あ、う?」
「ななななななな!?」

 悩んでいるところをふと思い出したように制止され、北川は目を瞬いた。名雪はごめんねーと言いながら、

「ゴムつけてないでしょ。生はやっぱりちょっと北川くんでも、祐一じゃないとやだなーって」
「あー、うん、まー、そりゃそうだな」
「ななな、名雪ーーーっ!!」
「香里もいやみたいだし」

 ガァーーーと下から怪獣みたいな顔をして吼える親友を押さえつけながら、ふにゃーと笑う名雪。

「だから、最初の予定通りにどうぞー」
「んじゃまあ、遠慮なく」

 正直もう辛抱たまらん状態だったので、二人の境目に自分のものをあてがい、名雪の腰を掴むとゆっくりと押し込んでいった。

「わわ、きたっ、きた」
「えっ、なに、ひぁっ、あっあっ」

 ぴったりと合わさった秘裂の隙間に硬い男根がゆっくりと分け入っていく。泡と蜜でぬかるんだ二人のあそこは、当然と言えば当然なのだが大した抵抗も無く北川のものをヌルヌルと飲み込んでいった。とはいえ、上下から重なる女陰は充分密着していて、男根を包み込み、圧迫してくる。

「わ、これけっこう、んっ、くるよ」
「さっきよりも……あっあぅ、ふぁ」

 カリの部分で二人の肉芽を引っ掻いてやると、電気が走ったように名雪が身体を震わせ、香里が声を上ずらせた。

「あ、つう」

 思わず自分のものを押し潰す二人の性器の熱さに零してしまう。
 火傷するかと思うほど熱くなった秘唇は、ゆっくりと前後に動き出す男根に襞を絡ませ、しゃぶっているかのように纏わりついてくる。

「ちょ、いいか、動いて」
「はっ、ふぅうん、うんいいよ」
「あっあぁっ、うっ、うぅ、んっっ」

 もう既に動き始めてしまっていたものの、許しを得て北川は小刻みにだが、激しく腰を突きだした。にちゅにちゅと隠しようの無い淫らな水音が、三つの粘膜が絡まりあう場所で騒ぎ始める。
 遠慮の無いピストン運動は、乱暴に敏感な秘裂を引き摺って擦っていく。

「やっ、やぁ、あっあっああっ、ふあぁっ、っっ」

 二人の矯正は間をおかずにピッチをあげていき、特に快感に慣れていない香里の声はもう本当に切羽詰った途切れ途切れのものになっていった。それでもまだ物足りないのか、名雪は擦りつけるように腰に円を描かせているし、背筋を反らしてよがっている香里も無意識にか求めるように腰を下から突き上げる仕草を見せている。
 包皮が捲れてしまった肉芽を摩擦でさらに熱くなった肉の棒が引っ掻いていくたびに、二人の少女の全身に電気が迸り、意識が爆ぜた。

「あっあっ、ふぁぁああっ、ちょ、ちょ、まっ、た、タンマっ、きたがわく、すとっぷすとっぷ!」

 際限なく高まっていく快感が、遂にギリギリの瀬戸際に達して、香里の頭にヤバいヤバいヤバいとの言葉が埋め尽くされていく。あと少し、チョンと背を指で突付かれただけで崖から転げ落ちそうになってる危ういバランス、なみなみと注がれたコップの水面がドーム状に盛り上がって、あと少しで溢れ出してしまいそうなギリギリの感覚。
 そんな感覚に襲われて、香里は思わず北川に止まるように訴えた。

「はい?」

 そこでほんとに止まってしまうバカ。いや、普通は止まらん止まらん。
 いきなり押し寄せる快感の波が途切れ、香里はぽかんと口をあけた。
 そりゃもう、グラグラよろけて落ちそうになっているところを、ちょんと突付こうとした指が触れる寸前で止められたようなものだ。

「え? あれ? あ、あ」

 一瞬呆然としてしまった香里は、次の瞬間ゾワゾワと背筋の神経を直接羽毛で擽るような感覚に総毛だった。ちょっと洒落にならないくらい凄まじいもどかしさだった。ぶっ飛んでいた意識が、パニックを引き連れて戻ってくる。もどかしさが体中を駆け巡り、涙まであふれてきてしまう。なんてことだ。あとちょっと、あとちょっとでイけるのに。

「やっ、やぁ」
「か、かおりーっ、なんで止めるのー!?」

 同様の状態だった名雪が悲鳴をあげる。

「えーっと、動いていいの? もうちょっとオレ、いきそうなんだけど」
「うんっうんっ、は、はやく北川くん、突いて、はやく突いてっ」
「やっ、やぁん、なんでほんとにとめるのよぉ。焦らさないでよ、ばかえっち変態っ!」
「なっ、なんだよ止めろって言ったのそっちだぜー。なんか理不尽だ。ストライキに突入してやる」
「こらーっ、香里、ばかー、あほー! なんとかしてよーっ!」
「あっあっあっ、お、お願いきたがわくんっ、ごめん、あやまるから、やめないで」
「むー、どうしよっかなー」
「な、なんでも、このあともなんでもするから、なんでも言うこと聞くからっ……名雪も一緒に」
「あーっ、あーっ、香里なにボソッと付け加えてるのーっ!」
「い、いいでしょ、こうなったら一蓮托生よ、一緒にあのバカ二人のメス奴隷よ!」
「か、香里のばかーっ、あほーっ! あ、あ、ああ、ダメっ、もう我慢できない、もうなんでもいいから、北川くん、お願いはやくっ」
「いか、イかせてっ!」
「な、なんか知らんがでかしたぞ北川ーっ!!」
「????」

 ちょっと混乱気味の祐一の歓声が風呂から響く。
 良くわからないうちにまた香里たちへの絶対命令権を入手してしまった北川は、ハテナマークを浮かべながら最後のスパートを再開した。

「ひぁっひぁっ、あっあっ、ふあああああっ!」
「あん、ああんっ、んん、ああああっ!」
「ううっ」

 もう決壊寸前で、直前でお預けを喰らったために本当に限界ギリギリまで切羽詰っていた名雪と香里は激しい挿入の末に最後にグイと二人の間に男根が根元まで突き入れられた瞬間、絶頂に達した。
 いい加減テンパっていた北川も、ビュクビュクと白濁液を香里と名雪のお腹と胸にぶちまける。
 温泉のお湯にも負けない熱いドロドロの液体が掛かるのを感じながら、二人の少女はぐったりと力を失い、重なり合った。

「うにゅー、やっちゃったよー、香里ー」
「あー……あほだ、あたしたち」
「香里、たちってつけないで、たちって」








 五分後、汚れた身体を洗いなおして、名雪と香里は再び温泉へと浸かった。
 湯気の向こうでは祐一と北川が真剣な顔をつき合わせて、この後どうしようかと相談している。どうせろくな内容ではあるまい。
 とりあえず、今は現実から逃避して、目の前に広がる山間の絶景を堪能とかしてみたり。
 と、不意にぼけーっとした半笑いをさっきから浮かべて景色を眺めていた名雪が香里に言った。

「今晩、楽しみだねー」

 ギョッと傍らの親友の顔を振り返る。

「…………ほ、本気?」
「ん? 女将さんが言ってた晩御飯のことだけど?」
「そ、……そうですか」
「…………うにゅ」

 長閑な沈黙が流れる。
 ふと、名雪が思い出したように声をあげた。

「あ、部屋にゴムあったかな」

 香里は思わずお湯を巻き上げながら後退った。

「ご、ごごゴム!? ゴムってなによ!?」
「うん、髪の毛だいぶ濡れちゃったから、括ろうかと思って」
「そ、……そうですか」
「…………うにゅ」

 水瀬名雪はじんわりと肌の奥まで染み込んでくるような温泉のお湯を堪能しながら、隣でそ知らぬ顔をして明後日の方角を眺めている親友にボソリと告げた。

「香里のすけべ」
「…………あうぅ」

 ――――ぶくぶくぶく

 温泉へと沈没していってしまった親友を半眼で見守り、名雪は幸せそうとも投げやりともどっちともとれそうな風に目を細めて、ポツリと独りごちた。

「で、メス奴隷って具体的になにするんだろう」









 温泉卓球――

 泡盛篇→夜祭篇








inserted by FC2 system