魔法戦国群星伝





< 第六十五話 その冷たき眼差しは愚者たる汝を見下すものなり >



御音共和国 山葉



かつて人であった者たちと、かつて化物であったモノたちの肉片と血潮が転がり、染み渡ったその場所には濃厚な死の気配が漂っている。
それは既に死した者達の残り香か、それともこれより死を招く者たちが撒き散らす、邪気の小波か。

それは異界。
戦場という死を贄として栄えたる狂気の庭ですらこれほど凶々しい死気はたゆたわない。
ならば、そこは既に現世ではないのだろう。
ならば、そこを異界と呼ぶしかないのだろう。

異界に佇む二人の人影。
存在の片方は黒衣。痩身にてスラリと佇む青年の纏う黒は、鎧も着込まぬ薄い戦衣。
もう片方は白魔。餓身にてユラリと浮かぶその者の姿は幽鬼とも見間違わんばかりに生気が乏しい。それはその者が死に瀕しているのではなく、死を纏っているが故。
死の従僕とでも云うべき白魔の名をポエニスカと云う。

まるで空間に貼り付けられたように空中に静止しながら、その襤褸のような薄汚れた衣だけを揺ら揺らとたなびかせて、ポエニスカは問うた。

「人の面白き事は、他の種族が個々で戦う術を身に付ける中で、寄り集まっての戦いの術を極めていった所だな。魔導師よ、如何に?」

久瀬の右目が細く窄まる。紡ぐ言葉の調子は素っ気無い。

「問いの意図が解からない」

「簡単な事よ。即ち、役割を分け隔ててしまい、いざ個々の戦いとなってしまったならばその術は無力に近くすらなってしまうという事」

ヌラリとポエニスカの口が笑みに裂ける。
久瀬はピクリとも表情を動かさない。

「重ねて問おう。魔導師よ、ヌシは如何にしてワシと戦うつもりぞ?」

久瀬は答えない。だが、気にする風もなく、ポエニスカは笑みをかたどった口から、その形容とは全く違う淡々とした声音で問い続ける。

「見れば解かる。ヌシは純粋なる魔導師。剣士の如く剣に長けるでもなく、戦士の如く体術に秀でるでもない。頼るべきは魔力。されど、ワシの力はヌシ如きを問題にしない。さて、如何に戦うつもりぞ?」

「それをお前に語れと言うのか?」

その冷たい言葉に、ポエニスカの声に僅かな感情が揺らめいた。

「クククッ、結局ヌシもワシに敵うと勘違いしておる愚か者か。良い良い。ヌシのような面白味の無い輩も遊び様によっては楽しめる。ヌシのような者をいたぶり倒したその時にあげる苦痛の悲鳴、絶望の呻き……それはきっと心地よい奏でとなろう事よ」

細く長い右の手を掲げながら、白の魔は云った。

「世は享楽のたゆたう劇場。ワシを飽きさせぬほどには踊れよ、魔導師」

世界が歪む。
再び、空間の狭間から、あのおぞましき眼球の怪物がわらわらと這い出てくる。

有象無象の湧き出る様は、異界の色を濃くしていく。

細めた眼にも異形の蠢く様子は嫌でも映る。

さて、どうしたものか。

内心の呟きは無意味に木霊した。
漏れ出るのは溜息にも似た小さな吐息。
魔の語りは徒然で嘲りに満ちたものなれど、その内に含まれる真理は揺るがない。
つまり、状況は最悪の一途。
仮にも魔将を名乗る魔族。所詮、一流とは云っても常識で収まる範囲の自分の力量では逆立ちした所で勝てるかどうか疑わしい。

「ヤツの能力を全く知らない以上、そう簡単には倒す手段など思いつく訳もない…か」

思考を纏める微かな呟きは、視界を覆うほどに増えていく凝視の妖物の蠢きに消える。
再び溜息が漏れた。

「まったく…僕はデスクワークが専門で手がけるのは部隊指揮までがいい所だ。実戦派なんて口が裂けても云えないのだがね。倉田さんも無茶を押し付けてくれる」

そう云いながらも彼の声音には焦りの一欠けらも見られない。

「ふん、早めに終わらせるとは云ったが流石にそれは無理か。まあ、じっくり相手をするより他無いな」

尤も、一気に殺されてしまえば、それも意味が無いが。

最後の呟きは声には出さず、口の中に留める。
そうこうしている内に、漸く目玉の召喚が止まったようだ。
現れた数は二十三匹。多いと見るべきか、少ないと見るべきか……。

「まあ、どちらにしろ遊んでいるのだろうな」

久瀬は不愉快そうに呟くと、素早く印を結び、呪を紡ぎ始めた。
それを待っていたかのように、ポエニスカは手首を振る。
目玉どもは鎖から解き放たれたように獲物へと群がった。

ギョロギョロとその巨大な眼球を繰り巡らしながら迫る妖物たち。
グワと待ちかねたように大口を開け、粘り気のある液体がだらだらと零れ落ちる。
殊更、おぞましさだけを具現化したような目玉どもの蠢きは、気の弱いものなら正気を失いかねない狂気をかもし出していた。

それを睨む久瀬の不機嫌そうな面差しに、さらに険が増した。
端正な細面が凶悪さを色濃くする。

「たかが使役妖物ごときにこうやって見下されるのは不愉快だな…しかも目障りだ」

ダッ、と地面を蹴る、と同時に掲げた右手を振り下ろした。
天から見えない糸に引き摺られてきたように、落下してきたのは全周を歪な棘で覆った氷の巨塊。
それは誘い込まれるように、久瀬の振り下ろした先にいた眼球に直撃し、押し潰す。
グチャリ、という音と共に、氷塊の青ざめた表面に苔むした緑色の液体が染めぬかれた。

次に響く音は冷たい青年の言霊。

「散」

言葉が引き金となり、事象が展開する。

爆音、そして間を置き妖物たちの悲鳴が奏でられる。
久瀬の呪に氷塊が四散。四方に発射された氷の棘が宙に漂う眼球たちを次々に穿ち、抉り、叩き落していく。

「おお!」

ポエニスカの口から漏れた感情は悦楽。自身の使役する魔物が討たれる事になんの痛痒も抱いていない。
久瀬は耳に飛び込む異音を無視し、さらに呪を口ずさみながら駆けた。
残る目玉は十と三。

追い縋る一匹を視界の端に認め、彼は振り返る。
目玉はグワと口を開き、止まった獲物を喰らおうとする。
ただ、喰らうモノ。それはそう云う存在だ。
知能の欠片もありはしない。

「連なる地脈に集う赤 其は大地の怒りにして、迸る血潮の儀 滅せよ炎!」

すべてを食い裂く牙の羅列を目前に、空に向かって振り上げられる印を組んだ右手、揺るぎもせず響く起動呪。

「『火線煉地(スタンピード・フレイア)』」

吹き荒れた熱風が、彼の黒髪を乱れさす。
振り上げられた右手に引きずり出されたように地面から噴出した火柱が、突っ込む眼球を瞬時に灰に変えた。
右手の印が胸元に戻され、そのまま新たな形を組み前に突き出す。
同時に火柱は唸るように火勢を上げ、地面を走り出す。
大地に炎の残滓を残しつつ、暴れ狂った炎の柱は残りの目玉に次々と襲い掛かり焼き尽くした。

「余興は終わりか?」

炎の中で、妖奇の燃え往くさまを見つめたまま、久瀬は訊ねた。
そして、ゆっくりと振り返る。
幽玄と浮かぶ白き魔に向かって。

魔は語る。

「ふむ、あまり楽しんではくれなかったようだな。尤も、この程度で終ってしまえば興ざめ故に」

骨ばった手が、面のような顔を覆う。
楽しげに、本当に楽しげに白き魔は笑い声を漏らした。

「クククッ、少々血の匂いに酔うてきた。まこと、人間の血は甘美なるが故、飽きもせん。ククッ、さりとて吸血鬼どものように血を啜る気にはなれんがな。ちと喉越しに問題のあり過ぎる飲み物ぞ」

淡々として抑揚が無く、それでいてドロリと粘りつくような不気味さがその声にはある。
久瀬は張り付くようなその声を聞き流しながら、新たに呪を紡ぐ。

「光あるべき水面の端に 包み奏でる一筋の戦火 我が指先に集いて放たん 紅の矢を」

ピンと伸ばした右の人差し指の先に、仄かな紅い光が灯る。

「『燈炎莱矢(フロラディ・アロウ)』」

起動呪は点火となって弾けた。
指先から放たれた一条の赤矢は、一直線に物語る白魔へと飛翔する。
語り部が止まる。
暗黒の眼窩が鈍く暗色の光を灯した。と、その瞬間赤矢は内から膨れ上がるように弾け散ってしまった。

「これは一つの知らしめなれば。ワシに魔術を当てたいならば、ワシに勝る魔力をば手に入れて見せよ。さりとて短き人の生。現の世にては無理も無理。とても、ここで死ぬるが故、先なぞあらんがの」

チィ、と舌打ちした久瀬は、諦めもせずさらに呪を紡ぎ出す。

「ふむ、意外と物分りの悪い……。このまま殺しても良いが、それでは詰まらん。はて、如何にしたものか…」

完全に此方を無視した態度。所詮はその程度にしか見られていないのだ。
それは侮辱。そして屈辱。
久瀬の心に激情が宿る。だが、彼は構わず術を編み上げていく。
怒りの炎は決して彼の冷静さを犯さない。あらゆる感情の揺らぎを氷下へと押し込める。
それが勝利への道筋を途切れさせない最低限の心得だと知っているからだ。

久瀬の周囲の空間に、指先程の白く輝く光の球が、灯火を灯すように次々に生まれ出た。
そして押し殺したように叫ぶ。

「『光礫弾奏(リアブリッツ・オブ・ダンシングハモニカ)』」

言葉とともに、数十の光の飛礫がポエニスカ目掛けて飛び掛る。
直線に飛ぶもの、螺旋を描きながら舞うもの、大きくカーブの光跡を残すモノ。
それぞれが一様の動きを見せず、思い思いに道筋を描いてポエニスカに襲い掛かった。
先ほどの赤矢を防いだのが魔眼の直視による防御だとしたら、これは防げないはず。

ポエニスカの窪んだ眼窩が再び暗い光を灯した。 パシン、と甲高い音を奏で、光の飛礫たちは弾けとぶ。

それを見て、久瀬は忌々しいげに鼻を鳴らした。
元より確認程度。別にさほど攻撃が効く事を期待していた訳ではなかったが、それでも自分の最大クラスの術がいとも簡単に防がれる様は気分のいいものではない。

久瀬の表情をしばしだけ眺め、白魔は、

「もう良いか? そろそろ次の演出へと入りたいのだが、もう良いか?」

「演出…だと?」

「然り。喜んでもらえると嬉しいのぅ」

暗闇の眼差しだけは酷く虚空で、ニヤニヤと暗黒の口元だけを歪めながらポエニスカは云った。
その歪んだ口元から、呻き声のような呪がこぼれ出す。
完全に彼の知る魔術大系の呪とは違うその怨嗟のような調べに、眉をしかめながらすぐにでも反応できるようポエニスカを注視する。
その視界が一瞬、グラリと揺らいだ。

「なっ!?」

思わず驚きの声をあげてしまう。
刹那、体が浮かび上がるような感覚を覚えたと思えば、直後、宙に投げ出され落下するような感覚が襲い掛かった。
咄嗟に体勢を崩すまいと、地面に膝をついた。
そこで改めて自覚する。自分がまったくその場から動いていない事を…。

なんだ? 今の感覚は…

ポエニスカは先ほどまでと同じように口だけを笑みの形にし、此方を眺めている。醜態を嘲っているのだろうか。
視線は全く外さなかったから、断言できる。ヤツはあの場から動いてはいない。何もしてはいない。自分もこの場から動いていない。
なら、何をした?

久瀬の疑問に答えるように、ポエニスカは云った。

「ククッ、何が起こったのか理解していない表情だの。良く周囲を窺ってみよ」

周りを見ろと云われて、はいそうですかと目前の敵から視線を外す馬鹿はいない。
だが、久瀬は背後から掛けられた声に、思わず振り返ってしまった。

「久瀬さん!?」

「…倉田公子? まさか!!」

振り返った先には、茫然と此方を見つめる倉田一弥の姿と、自分の部下たちの姿。
久瀬は轟然と視線を戻し、ポエニスカを睨みつけると唸るように云った。

「領域空間転移か!?」

「然り」

理解の早い生徒をねめつけるようにポエニスカは答えた。
領域空間転移…文字通り、フィールドごと空間転移させる魔術上の大技である。
通常の個人空間転移ですら、各魔術大系の秘奥義に位置する事を考えれば、その難易度は云われずとも解かるだろう。
自分の力を見せつけるデモンストレーションとしては実に解かりやすい代物だ。
そして…

「何故……わざわざ此処に連れてくる」

「云ったであろう? 世は享楽の劇場と…。ならば、最大限に楽しまねば勿体無い。理由は簡単な事。単純な事。あの子供が信頼するお前を、あの子供の前で弄び、死に逝くお前の目の前で、お前が守ろうとしたあの子供を喰ろうてやろうとそれだけの事よ。なになに、大した事はない。よくある話じゃ」

「ふんっ、なるほど。確かにあまりオリジナリティの無い話だ」

「ふむ、だがよくあると言う事は、それだけよく出来た話とも云える訳だ。飽きられもせずな」

「否定は出来んな」

詰まらなそうに云って返した久瀬の耳に、混乱したような一弥の声が飛び込んでくる。

「久瀬さん、一体…!?」

久瀬は振り返りもせず、うるさそうに手を振った。

「君は指揮に専念していろ。此方は引き受けると云ったはずだ」

そんな無茶な、と一弥は声にならない悲鳴を漏らす。
僅か数十メートルも離れていない場所で死闘が繰り広げられるのをどうやったら気にせずにいられると言うのだ?

だが、思わず口から出そうになった反論を彼は内側に押し込めた。
大体からして何に文句を言ったらいいかさえ思いつかない。先ほど既に、自分がこの魔族を相手にするには役立たずだと当の本人に告げられたところだ。
逆に自分達が此処から離れるわけにもいかない。
自分は倉田・久瀬両軍を統括しているのだ。既に一度、指揮官が倉田の本陣から久瀬の本陣へ移動する事でかなりの大混乱を招いている。もう一度、いきなり本陣を動かせばそれこそ戦線が崩壊しかねない。

一弥は半ば意地になりながら久瀬たちから視線を引き剥がし、銃声唸る戦場へと目を向けた。
意識からも彼らの事を排除する。
自分の戦場は、目の前に広がっているのだから。


「ほうほう、無視されるのは不愉快よのう。さりとて、ワシ自らちょっかいを掛けて振り向いてもらうのも、ちと女々しいし…」

完全に此方を無視し、再び戦闘指揮に取り掛かった一弥たちの方を何やら不満そうに見つめながら、ポエニスカはチクチクと呟く。

「となると…やはりこの方法が一番かのう?」

と云って、ユラリと暗黒の眼窩の中が揺らめいた。
白魔の見えざる視線が自分をねめつけているのを悟り、久瀬の右眉がピクリと跳ね上がる。

その瞬間、久瀬は咄嗟に身体を右横に投げ出した。
ピシリ、と何かがわき腹を掠めて通り過ぎる。

右手を地面につき、腕の力だけで自身の身体をさらに跳ね飛ばす。直後、彼の身体があった空間を、何かが突き抜けた。
久瀬は3メートルほど離れた場所に着地した。

何をした?

久瀬は喉の奥で微かに唸り声をあげた。
今のは完全に勘で避けたようなものだ。運が良かったと云ってもいい。
少なくとも今の攻撃に魔力はまったく感じなかった。

「ほほっ、よく避けた。されど避けてもらっては困るのぉ。ヌシには高々と悲鳴を上げてもらって、あの子供が此方を無視できんようにしてもらわねばならんからな」

ポエニスカはそう云うとヌラリと闇の広がる口を広げて笑った。
久瀬は、一瞬なにを云われたか理解できず目を瞬かせた。

何故?

簡単だ。その言葉は馬鹿げていたからだ。
あまりにも馬鹿げていたからだ。

久瀬の少しだけ開いた唇が、引き攣るように上につり上がった。
見開かれた瞳がゆっくりと細められていく。
そして漏れ出るのは笑い声。
軋むような笑い声。

「ククッ、フフフフフッ……この僕が? この僕が悲鳴をあげるだと? 笑わせてくれる。笑わせてくれるじゃないか」

右手で禍々しいまでに歪んだ顔を覆い、指の狭間から白き魔を限界まで見開いた眼球で睨みつけながら、久瀬は嘲るように押し殺した笑い声を漏らす。

「クッククククッ、やって見せろ! やれるものならな、みすぼらしいボロクズ風情がッ」

「ほざいたな、魔導師。ならばその大言、後悔させてやろうぞ」

返す言葉に怒りは無く、むしろ嗜虐な喜びの混じった響きを込めて、ポエニスカは左手を突き出した。
久瀬の眼差しに疑問が浮かぶ。

これは……違う!

久瀬はグイッと両手を前に突き出し、呪を迸らせた。

「連なる壁となりて弾け! 『高圧呪巌(プレスド・ルーンウォール)』!」

白の光が両手に集い、円形の薄い膜が生じる。
そこに、ポエニスカの左手から放たれた幾つモノ白い塊が襲い掛かった。
久瀬は連ねた両手を引き離す。すると白い光の幕はそれぞれの掌に別たれる。
久瀬は巧みに身体を捻り、両手を動かして、飛んでくる白塊を逸らすように受け流す。
方向を変えられ、地面に払い落とされた白塊は土を溶かしながら消失した。始めに久瀬の外套を溶かした溶解粘塊だ。

「上手いのぉ。魔力を物質化し、高圧縮した純正魔力の楯か。かつて魔人(デビル)と呼ばれた凶魔術士が得意としたと言う光輝装術の劣化簡易型とでも言うべきか、と云っても制御はかなり困難なはず。上手だと云っておいてやろう」

久瀬は喋る白魔から注意を離さず、両手の魔力楯を解いた。
維持は可能だが、酷く集中力を取られるのだ。
それに…と、久瀬は自分のわき腹に空いた穴をチラリとだけ見た。
今の溶解粘塊は魔術の一種。放つ前に起動する魔力波動を感じ取れた。
まだ、相手の手の内が分からない。果たして今の魔力楯で防げるものか解からない以上、それを維持し続けるのは無駄であり危険であった。

後手に回っているな。どうにもそれは拙い……だが、こちらの術は真正面からではまず防がれると考えていい。ならばどうするべきか……。

しばし、ポエニスカの喋る声と、今は別世界である戦場の銃声や吠声だけが響いている。
久瀬はさっと視線だけを動かし、周囲を確認した。
高速回転していた思考がカチリとパズルをはめるように収まった。

久瀬は改めて印を結び始める。
それを見て、ポエニスカは語りを一度止めると、少々呆れたように、

「まだ無駄な足掻きを繰り返すのか? ヌシも所詮は愚か者か。それでは此方の興が冷めてしまう」

「『光礫弾奏(リアブリッツ・オブ・ダンシングハモニカ)』」

再び先ほどと同じ、光の礫の束が生まれ、放たれた。
そして、光礫は先ほどと同じようにポエニスカに弾かれる。
白魔に砕かれた光礫が虚空に弾け散り、標的を外れた光礫たちは地面を抉って力を失う。

「工夫がないの」

詰まらなそうなその声を無視して、新たに呪を編む。

「無駄だというのが解からんのか?」

だが呪は途切れない、止めはしない。
無駄だと言う真の言葉にも犯されず、無駄だという事実にも押し潰されず、淡々と呪が紡がれる。

その様子に白魔の窪んだ眼窩がヌラリと揺れた。

「待つのも飽いた。先ほどの続きと行かせてもらおう」

すう、と人差し指を伸ばした右手が久瀬に向かって上がる。
その指が、ピンと伸ばされる直前、久瀬の呪が一際高く響いた。

「編み上げられる火の粉の帯に 形作るは螺旋の狭間 降り注ぐは閃光の一撃」

パンと上下に合わされた両手の平が磁石を引き離すようにゆっくりと広げられる。
その間には赤い光の帯が引き伸ばされるように伸び上がる。
そして、久瀬は両手をかき混ぜるようにグルリと回す。振り回された赤光帯が8の字を描いた。

「『爆螺火閃(レインズ・オブ・クリムゾン)』」

起動呪と共に術式起動。
8の字を描いた赤光帯の二つの円から、溢れ出すように赤い火閃が放たれる。
火閃は一旦上空へと曲がり上がると、ポエニスカを中心に辺り一帯に降り注いだ。

赤光のシャワーと土煙に覆われる視界。
だが、逆にそれが仇となった。

突然、カッと久瀬の目が見開かれる。
ゆっくりとその目線が下へと降りた。
白く白く長いモノ。
遥か先から伸びたその異物が自分の脇腹を貫いていた。
傷口から真っ赤な鮮血が白い異物を滴り流れる。

「なる…ほどな」

グッと右手で掴み、引き抜く。
滲むような灼熱感を伴いながらあっさりと抜けたそれは、ゆらりと空中を泳ぐように揺れると巻き戻されるように土煙の向こうへと戻っていった。
傷は浅い。いや、向こうが手加減したと言うべきだろう。

次の瞬間、久瀬は右足を蹴飛ばして、横に跳んだ。
今居た場所を、あの白い細槍が五本、凄まじい速さで通り抜けた。
それを視界の端に捕らえた久瀬が舌打ちしながら口にする。

「指かっ」

ギュン、と空気を切り裂き伸びるそれはポエニスカの白い指。
鋭い爪先を切先に、五本の指はまるで宙を泳ぐ毒蛇のごとく伸びていた。

「止まるでないぞ、魔導師。穿たれたくなければな。踊れ、踊れ、疲れ果てるまで、ワシが飽きるまで」

淡々とした声音の中に、明瞭な嗜虐の愉悦が滲み出る。
漏れ出る邪気が一層その濃さを増す。
土煙がようやく吹き流されたその向こう側で、濃密な邪気の渦の中で貼り付けたような笑みを漏らすポエニスカの姿が浮き上がった。

云われたとおり、久瀬は足を止めず走った。否、走らされた。
急カーブを描き、右手の指が次々に襲い掛かっていく。
走るその後の地面に、深々と細い穴が穿たれた。

指は一度、ポエニスカの手元に戻り縮む。
その隙に、久瀬は素早く口ずさんでいた呪を立ち上げた。
握り込んだ両の手にそれぞれ八本の黒き光刃を具現化、それを投擲しようと身体の前で両手を交叉し振りかぶる。
光の刃が黒き羽根の様に広がった。
そして、久瀬の右目が細く歪む。
両手を此方に向ける白魔の姿が映る。
無明の口を嘲りに歪ませた仮面のような面差しが映る。
それを見て、久瀬の唇が釣りあがった。
狂相とも云うべき笑みの発露。
立ち向かう白と黒の悪魔。

そして凝縮した時が弾けた。
十本の白穿指が銃弾の如く伸びる。さらに、後続するように十を越える白い塊が飛来する。
そして、久瀬も避けようともせず16本の黒き光刃を投じた。

白い悪魔と黒衣の青年の中間点で、それぞれの攻撃が交叉する。
甲高い激音、光の弾ける音が響いた。
二本の光刃が白塊を撃ち砕き、一本の光刃が白い指を断ち切り、三本の光刃が一直線に久瀬を狙う穿撃の軌道を逸らした。
残りは十本。
だが……

「無駄だと言うたに」

呟きが漏れる。
ギン――ッ、と空間が軋んだ。途端、今まさに白魔の痩身に突き刺さろうとした五本の光刃が砕け散り、残り五本も元から逸れていたのかポエニスカの周囲に突き刺さるだけで終った。

「さて、悲鳴は上げんのか? 魔導師よ」

視線をゆっくりと指先に向け、ポエニスカは喉を震わせた。

「…ぐっ」

呻き声が漏れる。
ポタリポタリと液体が滴る音が奏でられる。

…無残。
そして凄惨な光景だった。

ギリギリと軋む歯は苦痛に耐えるため。
歪む面差しは苦痛に耐え切れないがため。

左足が熱い。
溶解粘塊が直撃した左の太腿が蒸気を上げながら焼かれている。

右の脇腹が、右の二の足が、左の足の甲が焼けるように熱い。
白く細い指が、彼の脇腹を抉り、右の二の足を貫き、左の足の甲を穿っていた。

喉が痙攣するように震える。
小さな声が漏れ続ける。

「ククッ、それではいかん。悲鳴はもっと高く強く天をも震わすように奏でなければ」

  ドンドンドン

「……ァッ!!」

声無き悲鳴が響いた。
新たに身体に穴が穿たれていた。
左肩、右の二の腕、そして胸部。ただ、胸部だけは致命傷を裂けるように背中にではなく下から右肩口へ抜けるように貫いていた。

あまりにも無残。
さながら生きたまま釘にさされた生体標本とでもいうべきか。

ヌラヌラと身悶えするように、身体を貫く指が蠢く。
そのたびに、久瀬の全身が痙攣した。

それでもなお、彼は悲鳴を上げない。
全身を狂いかねない灼熱の激痛に冒されながら悲鳴をあげようとしない。
歯を食い縛りながら、低く唸るような判別できない咆哮を漏らすのみ。
そして、眼差しだけは爛々とポエニスカを睨みつけていた。

「ふむ」

ポエニスカは瞬き一つしない暗眼を細めた。
伸ばした両手をクイと引く。ブルと手の平が震えた。

「ガッ!!」

堪らず久瀬が大きく呻き声を上げた。
貫かれたその指を支えにして宙に持ち上げられたのだ。無理もない。
そして肉を押し潰すような不気味な音とともに伸びた指が元に戻っていく。
串刺しになっている久瀬俊平ごと。

縮む指は、ポエニスカの眼前で止まった。
愛でるようにポエニスカは目前に浮かぶ青年をねめつける。

「下らぬな。子供への配慮か? それとも意地か? どちらにしてもこの状態では意味はあるまい、ささと悲鳴をあげて見せよ」

久瀬は答えない。ただ、小さくポエニスカにも聞こえぬ何かを呟いた。
そして、その眼光だけが、孤独に、射抜くようにポエニスカを冷たく睨みつけている。
まるで、見下すように。

「その眼、不愉快よのう。まるでワシを侮るようじゃ。愚かよのう、そのような無様な状態で…。愚かよのう、分も弁えぬ者というのは」

云いながら、ゆっくりと余った右の人差し指を立てる。そして、 殊更ゆっくりとそれを久瀬の顔に向けた。

 ザグ―――シュッ

「―――グッ…ガァッ!!」

ビクリビクリと虚空に貼り付けになった体が二度痙攣する。
赤い流れが右の頬を流れ落ちる。その流れは止まらない。流れつづける。
まるで涙のように。

白き魔の手元から伸びる人差し指は――
何の躊躇いも、戸惑いもなく……
久瀬の右目へと突き刺さっていた。

「クッ……クククク……クハハハハハハハ」

耐え切れぬように漏れ出た笑いは、まるで決壊したが如く溢れ出した。
異界と化した二人の戦場に、ただポエニスカの壊れたような笑い声だけが流れる。

高らかに、おぞましい声の震えが世界に木霊する。



だが―――

唐突に――



死に瀕した青年の口から零れた言葉が、狂声の響きを遮った。



「ふ…ん、愚物…め」



ピタリ、と笑い声が止んだ。

「なんじゃと?」

ポエニスカは久瀬に眼を向け…ギョッとした。
彼は笑っていた。残った左眼を蛆虫でも見るかのような侮蔑に満たして。

「愚物と…云ったんだ、愚か者。何か面白い事でも云うのかと、その下らんお喋りを黙って聞いていれば徹頭徹尾…詰らない。これなら相沢と北川のバカな会話でも聞いていた方がよっぽどマシだった」

白魔は混乱した。目の前の青年が理解できなかったのだ。
身体中を蟲の様に串刺しにされ、今まさに死に瀕していながらまるで立場を理解していないような言動をする目の前の青年をまったく理解できなかったのだ。

「……狂ったか? 恐怖に…激痛に狂い果てたか?」

「狂う? 何故僕が狂う必要がある?」

ククッ、と久瀬は喉を震わせて笑った。

「今、この指先をほんの少しだけ伸ばすだけで、お前の右目に刺さった我が指はヌシの脳髄を破壊する。ヌシの命はまさに灯火、ワシが一息吹けば掻き消されてしまう仄かな炎ぞ? そのヌシが何ゆえそのような言葉を吐ける? 何故悲鳴ではなく、そのような言葉を吐ける? やはり狂ったとしか思えん」

久瀬の唇が、残った左眼がさらに侮蔑に陰影を濃くする。
血に濡れた口元を開き、久瀬は言葉を紡いだ。

「やはり貴様は愚か者だ。教えてやろう、貴様は無駄な言葉が多すぎる。意味のない言葉が多すぎる。戦いの駆け引きに必要以上の言葉は不要だ。今もそうだ。一々僕に告げずにその指を伸ばせば良いものを…」

「ならば、今すぐ殺してやろうか」

「無理だな。貴様は困惑している。僕の言葉の意味を理解できずにいる。故に僕を殺す事を躊躇っている。理解できぬままでいるのが不快だからな。貴様はそういう性格だ。故に愚か者だと言っている」


そして――

ポエニスカの視線の先で、青年の口元がヌラリと歪み、その言葉を告げた。

「何故、必要以上の言葉が不要と云った僕がこんな長々と喋っていると思うんだ?」


「…なっ!?」

ポエニスカの白い面のような表情が、初めて明確な驚愕を彩る。
そしてそれが最後。
ポエニスカが久瀬の脳髄を破壊しようとした時は既に全てが終っていた。


 ズッ――――――シャアッ!


「ガァ!? アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」

魂を歪ませかねないおぞましい悲鳴が轟いた。
それは串刺しにされた白魔の絶叫。
ポエニスカの足元からいきなり突き出た黒光りする細長い円錐形の角はその餓身を高々と貫いた。
その勢いで、久瀬の全身を貫いていた指が抜ける。
血まみれのまま、久瀬はひらりと右膝をついて着地。そして不愉快そうに血みどろとなった自分の体を見下ろしながら立ち上がった。
未だ、全身に穿たれた穴より血を流しながら……

久瀬はゆっくりと串刺しとなり血泡を吹いている白魔を見据えて云った。

「つまりは時間稼ぎという訳だ」

ポエニスカは、歪む視界で黒衣の青年を見た。

「馬鹿…な…いったい、いつ術を……魔力も…感じなか…った」

対消滅型魔力迷彩(ブラックホール・オカリナ)…知らないのも無理はないか」

久瀬の苦笑を滲ませたセリフにポエニスカの愕然とした面差しは変わらなかった。
元は魔術を使う暗殺者用に作られたと云う魔力の波動を完全に周囲に伝わらなくするという補助魔術の一種。
これを使えば、まず発動した魔術の魔力を感知される事は無い。
術式自体は上の中と云ったレベルだが、その使用すべき状況が極めて狭いため、自然と廃れていった魔術だ。

ポエニスカはその魔術を知らなかったものの、久瀬の言葉の調子から、魔力が巧妙に隠されていた事を理解する。
そして……漸く自身の周囲の情景に気付いた。

「そう…か…ヌシ…は…初めから……」

茫然と、この魔導師の青年を暗黒の眼差しで見つめる。

そう、ポエニスカを貫くこの黒い錐は一種の召喚術だ。
だが、真っ正直にこんなものを唱えても、ポエニスカには防ぐ術など幾らでもある。

だから、久瀬はすべてを覆い隠していた。

上空から見れば解かるだろう。
ポエニスカの周囲の地面に、いつの間にか魔法陣が描かれている事が…。

先ほどの光礫や、赤光のシャワー。あれらは全て攻撃ではなく、地面に魔法陣を描くためのもの。
そして彼が投げつけた光刃。
外れて地面に突き刺さった五本のそれは、ポエニスカの周囲に五芒星の先端に見立てたように突き立っている。
未だに具現したままという事は、最初から威力を弱め、具現化維持に力を裂いた代物だったのだ。

そして悲鳴の変わりに延々と呪を唱え、魔力迷彩を掛けた上でチャンスを窺うために起動待機状態にしておく。
準備が整うや、言葉を浴びせ掛け、注意を引きながら、照準を合わせる時間を稼ぎ、指先で印を描く事で鍵呪(キーワード)の変わりとし、既に起動し待機状態だった術を発動させたのだ。

ポエニスカに何一つ気付かれぬまま、魔法陣を描き、呪を唱え、外さぬように機を伺い、そして見事仕留めたのだ。
全身を串刺しにされ、想像を絶する苦痛を与えられながら、淡々と罠を仕立て上げていったのだ。
この久瀬という青年は。


「マトモにやりあえば、僕にはまったく勝機はなかった。貴様のいった通り、全てをお前が上回っていたからな。ただ一つ…」

久瀬はトントンと自分の頭を指先で叩いた。

「ココ以外はな……いや、むしろ貴様が愚かすぎたと言ってもいい」


「ハッ…ハハ……ハハハハ!? …人間風情にこのワシが…ワシが? バカ…なぁ」

グボッ、と血塊が何もないかと思われた暗黒の口から飛び出す。
ギョロリ、と極大までむき出された暗瞳が遥か後方を望んだ。

「おの…れっ…おのれぇぇぇぇ! ヌ…シは殺せず…とも………せめてあの子供だけでもぉぉぉ!!」

血反吐を撒き散らしながら白魔は咆哮。
途端、あの人差し指が、数十メートル離れた向こうで指揮を取る一弥目掛けて撃ち出された。

だが――

「だから、貴様は言葉が多すぎると云っただろう。やるなら黙ってやれ、愚か者め」

穿撃は呆れた声と共に射線上に伸ばされた久瀬の左の手の平を穿つ。
久瀬はそれでも伸びようとする指を乱暴に握り締めて止めた。

「キサマキサマキサマァァァァァァァ」

狂ったような咆哮が喚き散らされる。
その無様な姿を冷たい眼差しで見据えると、青年は詰まらなそうに言い放った。

「貴様のその下らんお喋りをこれ以上耳に入れるのは苦痛だな。いい加減目障りだ―――そろそろ消えろ」

  グシャ―――――ッン!

その言葉とともに―――
白魔を貫く黒い錐の表面中からさらに細い錐が生える。

そして、ポエニスカの痩身は―――
断末魔の声を上げる暇もなくバラバラに引き裂かれ、地面へと散らばった。


悪臭を放つそれを見下ろし、左手を貫く指の残骸を引き抜きながら久瀬は呟く。

「まったく、愚か者はどれだけ年を経ようが愚か者か、詰らんな。これでは魔族も程度が知れる。右目を犠牲にするまでもなかったかもな」


「久瀬さ……ん」

背後から突然息を吸うのを忘れたような言葉が掛かる。
久瀬は振り返りながら云った。

「指揮から離れるなと云ってあっただろう」

振り向けばそこにいるのは顔を真っ青に青ざめさせた一弥の姿。
指揮を下しながらも此方を気に掛けていたのだろう。戦闘が終ったと解かるや駆け寄ってきたらしい。

「そんな!! そんな事より……久瀬さ…ん…眼が…」

血みどろの姿は見るからに痛々しい。だが、特にその右目の様子は凄惨だった。
もはや、二度のその瞳が光を映す事はないだろう。

だが、久瀬は何を詰らない事をとでも云いたげに

「大したことはない。片方は見える。それで十分だろう」

それよりも、と言いながら久瀬は両足に凄まじい深手を負っているのをまったく感じさせない足取りで、本陣の方へ歩き始めた。
ただ、その足跡の変わりに溜まる血溜りが壮絶なまでの凄惨さをかもし出している。

「指揮に戻るぞ。一弥君、何をしてる? 早く来たまえ」

「無茶苦茶言わないで下さい!! 死んじゃいますよぉっ」

錯乱したように追い縋る一弥を前に、歩を緩めず久瀬は胸に収めた眼鏡を取り出し…無残に壊れたそれを無造作に放り捨てた。
傍らで一弥が何か喚いているが、うるさいので無視する。
うざったいほどに全身を駆け巡る激痛と、思うように動かない身体に苛立ちながら、左手で汗と血に張り付いている前髪を掻きあげようとして、手の平に穴が空いているのを思い出して不機嫌そうに舌打ち。
まだ何か叫んでる一弥から無理やり清潔そうな布の類を分捕り、自分の右目を覆うように巻きつけながら久瀬は本陣へと帰還した。

恐るべきことに、久瀬俊平はそのまま戦闘指揮へと復帰する。
その異常なまでに冷静な指揮は、普段とまったく変わる事無く押し寄せるラルヴァたちを圧倒した。

久瀬俊平が失血と激痛のために意識を失ったのは、実に合戦の終る間際だったという。





    続く





  あとがき


八岐「つーわけで今回はコメントなし」

あゆ「え? なんで?」

八岐「何を言えと云うのだ? これ」

あゆ「うぐぅ……」

八岐「まあそう云う事だ。そうだな、「良く頑張った 感動した」とでも言い残そう」

あゆ「感動?」

八岐「深くは突っ込むな。収拾がつかなくなる。で、次回だ」

あゆ「うん、次回予告だね」

八岐「実はまだ書け終えてない。だから予告はムリなのだ。だからサラバなのだ」

あゆ「うん…って、え? え? なに? なにそれ?」

八岐「次回までの間隔がまた延びるのです。ハイ。ではさようなら」

あゆ「わっわっ、無責任だよって行っちゃった。逃げた〜〜」


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