魔法戦国群星伝





< 第三十五話 転章 >






― 転章  戦 ―


〜それは始まりに過ぎなかったのだ〜



東鳩帝国 帝都郊外 来栖川家別邸


キィィィィ

軋みを上げながら開いていくドアを潜りぬけた美坂香里は部屋をゆっくりと見渡した。
長大なテーブルに幾つもの椅子が置かれている。
そのテーブルの一番奥に彼は座っていた。

十代にしてこの巨大帝国の皇帝へと上り詰めた英雄 藤田浩之

これまでの最大の敵…そしてこれから最大の味方としなければならない男であった。

……目つきの悪い男ね。

往々にして誰もが抱く浩之の第一印象は、美坂香里も変わらなかった。
彼の傍らには赤い髪の幼げな少女と柔らかい表情の青年、そして耳に変なカバーをしたメイドさんが控えていた。
浩之の腹心である神岸あかりと佐藤雅史、そしてマルチである。

「はじめまして…だな、美坂香里陛下」

浩之は立ち上がると、香里に座るように促す。だが香里はそれを無視してつかつかと突き進むと、間近で彼を睨みつけた。
その凄まじい眼光をものともせずに浩之はニヤリと笑う。

「正直、ここまで来れるとは思ってもいなかった」

「みんなはまだ戦ってるわ。私をここまで来させるためにね。カノン皇国の代表並びに御音共和国の全権を代理するものとして話をさせてもらうわ、いい?」

「ああ」

「ズバリ聞くけど…あんた、戦争止める気はあるの?」

「ガディムが現れた以上、人間同士で戦ってる場合じゃないだろう」

「…なら、さっさとこっちの出した停戦条件を飲めばよかったじゃない!」

怒りの篭もった声に浩之は視線を鋭くした。

「確かに先に攻撃したのはこっちだ。あえて善悪で言及するなら悪いのは此方だろう。だがな、現実としてこのまま戦争を続ければ負けるのはそっちだぞ。体力ならこっちが上だからな、いくら援助しているからといって御音はそう持たないだろう?」

「人間同士の戦争が続けられればの話でしょう」

「そう、仮定の話だ。だがな、だからこそ譲れないともいえるんだぜ」

「…………」

「あの、どうぞお掛けください」

無言で睨みつける香里に、マルチは近くの椅子を引いて着席を促した。
返答はしない。だが特に逆らうでもなくその椅子に座る。
浩之も椅子に掛けながら話を続ける。

「だが実際問題戦争を止めないといけないのは分かってる。外交交渉をチンタラやってる時間がないのもな。だからこそ、このゲームの乗ったんだ」

「それで…停戦を受けるつもりはあるの?」

「さっきも言っただろう。ここまで来るとは思わなかったってな。停戦は受けよう」

「なら!」

「カノンには補償を払う、御音には復興名目の援助を出そう。対魔王戦の最中に息切れされちゃ堪らんからな。詳しくはもう一度交渉の場を持つとする事でどうだ? 御音の小坂由起子も含めてな」

「…いいわ」

「それと……東鳩帝国・カノン皇国・御音共和国の三華による対外敵同盟の締結を提案する」

「対ガディム用の同盟ね」

「ん? ああ、まあそうだな」

対ガディムという言葉に浩之は内心肩を竦めた。
浩之はこの同盟をガディム相手のものに限定するつもりはなかったからだ。
外敵は魔王だけではない。豊かなグエンディーナ大陸を虎視眈々と狙う外国も多いのだ。海外進出を目論む浩之にとって、大陸統一が不可能になった以上、カノン・御音の協力は不可欠だった。
とはいえ全ては目の前の危機を回避してからの問題だ。

「詳しい内容は後日決めるってことでいいな」

「ええ」

頷いた香里は椅子から立ち上がった。

「決着はついたと考えていいわね。外の戦いを止めてくるわ」

「そうだな、あかり、雅史。一緒に行って止めてきてくれ」

「わかったよ、浩之ちゃん」

「了解」

出て行く三人を見送った浩之は疲れきったような溜息を吐いた。

これで大陸統一も本当の夢物語になっちまったな。まあ、それも悪くはないか。

ふと傍らのマルチを見る。

「…嬉しそうだな、マルチ」

「はい、戦争が終わったんだから、それは嬉しいですよぅ」

「そうか。でもまだ、魔王との戦いがあるんだぜ」

「はぅぅ、そうでした」

表情を沈ませるマルチが可笑しくて、その素直さが嬉しくて、浩之は苦笑しながら彼女の頭を撫でた。







「ハアハアハア」

荒れる息が彼女の状態を現していた。
乱れた髪を鬱陶しげに払いながら、手にした薙刀『白鷹斬魔』を構え直す。
吹き出る汗が不快感を与える。その何割かが冷や汗だからであろうか。

七体いた北斗七星将の内、五体が既に消滅させられている。
残るは破軍・貪狼の二将のみ。

「太上玄霊七元解厄 《北斗招雷》」

破軍・貪狼の無機質な声が唱和すると同時に、彼らの前に青白く発光する稲妻の柱がそそり立つ。
だが、果たしてどこまで通じるか…



「天野さん、そこまでよ!!」

攻撃を仕掛ける寸前降ってきた聞き覚えのある声に、美汐は振り返り、吐息をついた。

「香里さん」

「藤田浩之は停戦に合意したわ。もう戦いは終わりよ」

「そういうことだよ、琴音ちゃん」

香里の横にいた佐藤雅史が屈託なく語りかける。
その言葉に琴音はスッと肩の力を抜いた。

「どうやら、私達の決着はつけられなかったようですね」

言葉の内容とは裏腹にどこか嬉しそうにそう言うと、琴音はフラリと崩れ落ちた。
慌てて雅史がその身体を抱き止める。
琴音は穏やかな表情で眠っていた。
それを見ていた美汐はポツリと呟いた。

「いえ、そんな事はありませんよ……まだまだ未熟です私も」





「さてと、どうするセリオ。そろそろ痺れも取れてきたし…チャージしてみよっか!」

「いえ、どうやらその必要もなくなったようです」

「WHY?」

訊き返したレミィだったが、すぐさまその理由を知る。

「宮内さん! セリオちゃん!」

階段の上から声を張り上げる赤毛の少女。レミィは少しガッカリしながらも、笑顔を浮かべて手を振って合図を返した。



「どうやら、済んだみたいだな」

「お姉ちゃん!」

あかりや香里たちの姿は祐一たちからも窺えた。
やれやれ、疲れたなぁ、と呟き、傷の具合を確かめながら立ち上がる。

「さて、俺も他の連中を呼びに行くか」





「ななななな、何よこれーー!!」

「…………」

「…………」

壁に穴の開きまくった屋敷の無残な姿に、綾香の悲痛なわめき声が響く。
ポムポムと慰めるように綾香の肩を叩く舞と、呆れるしかない柳川。

「これは…建て直した方が早いんじゃないか?」

「…ば、場所なんか貸すんじゃなかった〜」

「……後の祭り」





§



― 転章  殺戮者 ―



少年の魂がかの男の手に握られたその時から、
彼らが再び逢いまみえる事は定められた運命だった。

それは一つの物語。

幕開けは絶望…悲劇。

第二章は知らざる再会…約束

そして今、物語の終章が幕を開ける。

その行方は未だ誰も知らず……



〜運命の邂逅は為され〜


「みぃぃさかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ」

絶叫が木霊するも、返事は返ってこない。
北川潤は案の定このとにかく広い屋敷に迷っていた。
とにかく叫びながら走る走る。
だが行けども行けども同じ様な造りの廊下ばかりで自分が今どこにいるのかさっぱり分からなくなっていた。

彼は知らないが、美坂香里と藤田浩之の会談は既に終っている。

「はぁはぁはぁ、畜生。ここはどこだ? 美坂ぁぁ」

さすがに疲れたのかトボトボと速度を緩めて歩きながら、情けない呼び声をあげて屋敷内を彷徨う。

「ったく、みんなどこ行っちまったんだ…潤君寂しいっす」

どこかへ行ってしまったのは自分であって、香里や祐一が探している事をまだ彼は知らなかったりする。


そのまま北川は誰にも巡り会わず屋敷の外周、夜風が吹き込む回廊へと迷い込んでいた。

月明かりに照らされた屋敷の庭園を眺めながら、ハイテンションの反動か、どこか呆けながら歩く。

「少し寒いな」

吹き込む風に思わず呟いたその時、彼の足音が止まった。



それは予感だった


それは悪寒だった


自分という存在の奥底から震えが来る。
ガタガタと震えながら、錆びついたように動かない首を軋ませながら、伏せ気味だった面持ちをあげる。


月下の庭園の中空。夜の帳の中、男は浮かんでいた。


嗤っている。

なんという…禍々しい嗤いだろう

男の瞼は閉じられていた。だが、どこかを一心に見ている雰囲気を漂わせている。
実際、男は瞼の裏に浮かんだ映像を見て嗤っていた。

ドクン、と心臓が…いや、魂が慄いた。

「ククク、見ぃつけた」

男が呟く。

言葉が耳朶を震わせ体内へと侵入する。
ドクン、とまた魂が慄く。
体内で何かがゾロリと蠢いた。






まったく、無駄に広いよな

先程と違ってゆっくりと、落ち着いて歩く来栖川屋敷の中はやはり広いという印象しか浮かばない。
元々彼、相沢祐一の相沢家邸宅が他の諸侯の屋敷と比べてもこじんまりしたものだという事を考えれば、彼の感想もにべなるかな。

そんな事を考えながら庭の見える回廊へと差し掛かった祐一は、その向こうに佇む薄茶の髪の毛を見つけた。

「おーい、きた……っ!?」

声をかけようとして、祐一は言葉を飲んだ。
立ち尽くしている北川の、その異様な気配に一瞬戸惑って彼の視線の先を追う。
次の瞬間、祐一は腰の剣に手をかけながら走り出した。
虚空で嗤う男を見つけて


男はゆっくりと粘つく視線を落とした。
祐一の声が聞こえたのだろう。
男の目は、こちらをボウと見つめる薄茶色の髪の少年と彼に走り寄るもう一人を見つけた。

「お前たち、見かけたような覚えがあるな。あの女の関係者か?」

「あの女、誰の事だ!」

立ち尽くす北川の傍らに滑り込んだ祐一が訊き返す。北川は祐一が横に来たのにも気が付かないように無反応のまま男を見つめている。

「くくく、美坂香里と言ったか。偶然か知らんが名前が一緒だな。しかしよりにもよって女王陛下だと? ひゃはははは、大げさな話だなぁ、オイ。くだらねえ、笑っちまうぜ」

「何だよ? 何を言ってる!? 香里が何だっていうんだよ、おっさん!」

目の前の男が何を言いたいのかが分からず、祐一は混乱しながら怒鳴った。

「貴様らクズには関係ないな! しかし…やはり関係者のようだな。それもその様子ではなかなか親しい間柄のようだな。ひゃはは、こりゃ楽しめそうだ」

こいつは…何を言っているんだ?

訳のわからないという戸惑いと、男から感じる強烈な不快感に苛立ちが募る。
ふと、祐一は奇妙な違和感を感じて無意識に隣を見た。

北川が黙ったままボウと熱の浮いた視線で男を見つめている。

何かが…違う。その状態は勿論だが、それだけではない何かがいつもの北川と違った。

「ん? そう言えば、貴様、どこかで会ったか?」

男が祐一の視線に誘われるように北川の方に向き、眉がピクリと動く。
一瞬、戸惑った様に見つめるが、またすぐに顔を歪めた。

「いや、そんなはずはないか、人間などに知り合いなどいないしな」

「貴様…やはり人間じゃないのか」

祐一が唸るように言う。この禍々しい気配。人間にしては異質過ぎるその気配。

「当たり前だ、馬鹿。貴様らのような下等な生物と一緒にするな」




「お前は…誰だ?」



「え?」

唐突に横から発せられた呟きに祐一は振り向いた。
問いかけにならない幽かな呟き。
心ここにあらずといった状態の北川のその呟きを祐一は辛うじて耳にした。
いや、男にも聞こえたのか、実に楽しそうに顔を歪め、言い放った。

「俺様の名は高槻だ。覚えておくんだな、いずれまた会うだろうよ。お前らがあの女を守る以上、イヤでもな、ヒャハハハハハ」

イヤらしい甲高い笑い声が鳴り響く。

「さあ、心しろクズども、刻は来た!」

高槻と名乗った男はそう言い残すと虚空に姿を消した。


「たか……つき…?」

「チィ! おい、北川。どうしたんだよ、お…!?」

あのいやらしい笑い方をする男も気にはなったのだが、とにかく様子が変な北川を心配して肩を揺さぶりながらその顔を覗き込んだ祐一は絶句した。


薄く開いた口元に浮かんでいたのは、酷く凄惨な笑み。
そこに在ったのは奈落の如く深い憎悪と、焼けつくような憤怒。そして何故か歓喜。
ぬらりと…視線が交わった。
肌が総毛立つ。

その瞳は…血に濡れたように澱んでいた。






視線の先、夜の闇の中に一人の男が浮かんでいた

知らない男、見たこともない顔

何かを言っている…

虫唾の走る声で何かを言っている

見つけた?

何を見つけたんだ?


男がゆっくりとこちらに向く

ドクン、と魂が慄いた

脳天を貫く頭痛が走る

わからない…わからない…知らない…わからない


だが…一つだけわかる
これ以上に無い程の確信



こいつは…敵だ!



血が煮えたぎる。全身が震える

全身を蟲が這いずるような不快感

魂から込み上げてくる激烈な敵意


耐えがたい何かが渦巻く

男が…嗤った

体内でゾロリと何かが蠢いた

それは衝動

馴れ親しんだ衝動

生まれたその時から共にあった衝動

あの男が何かを言っている

香里…香里…カオリ…カオリ…かおり…かおり…かおり…?

ピシリ、と何かにひびが入った


― だいたいあんたはねぇ ―


― プレゼントの一つも渡せないわけ? ―



それは晴れやかな向日葵のような笑顔で



あ…あああああ


― ありがとう、大好きよ でも…ごめんね ―


― さようなら…ジュン ―



それは透き通った雪のような笑顔で



ああああああっ! やめろ、その名前を口にするな!

お前が…貴様がその汚らわしい口で呼んでいい名前じゃない!

貴様がその名を口にするのだけは絶対に許さない!

殺してやる!!







でも…俺はお前なんて知らない







「お前は…誰だ?」




血液が煮えたぎる 脳髄が沸きあがる 視界が濡れていく

衝動が抑えられない 抑えるつもりもない

魂が吼える

殺せ、殺し尽くせ、根絶やしにしろ、殺戮し尽くせと

完膚なきまでに殺せと


そして…男は名乗った




「たか……つき…?」




知らない

聞いたことがない



それなのに…俺は知っている。

俺が…未来永劫貴様を絶対に許さないという事を


だが…


わからない


誰だ…?

貴様は誰だ…?


俺は………誰なんだ?


わからない

だが内なる声が叫ぶ

魂が絶叫する


殺してやると


あの男はまだ生きている

死んだのにまだ生きている

殺したのにまだ生きている

まだ生きている

だから…まだ終っていない

復讐は終っていない

あいつを殺し終わるまで殺し続けろ!

殺戮は終っていない! 終らない!

あいつの存在を抹消するまで、お前の…俺の殺戮は決して終らない!

例え…死が俺を終らせても…殺戮は…終らない





殺せ







その時、祐一は心底恐怖した。
いきなり間近から凄まじい殺気を浴びせられ、身体が仰け反る。
これほどの深い殺意をまともに受けたことは彼をして初めてだった。

だが、飛び退ろうとする身体を意思で捻じ伏せ、祐一は友の肩を強く掴み叫んだ。

「バカ野郎! 何トチ狂ってやがるんだ北川ぁっ!!」

「…っ!!」

その言霊の篭った一喝に、ハッと澱んだ北川の瞳に光が戻る。
そして我を取り戻した北川は、自分が何をしようとしていたかを悟り、祐一を振り解いて後ろへと飛び退いた。

俺は…俺は…

刀の柄を右手が張り付いてしまったかのように離さない。
あの一瞬、もし正気に戻るのが遅かったら、自分は相沢を斬っていた事を確信していた。(もっとも祐一が黙って斬られることなど絶対にありえないが)
いや、それどころか今この時ですら、自分が殺戮の衝動に染め上げられそうなのだ。

相沢が見たこともない恐ろしく真剣な顔で此方を睨んでいる。

湧き上がってくる衝動を必死に殺しながら、北川は自分を嘲笑った。

畜生、何も変わってないじゃないか、俺は…
こんなんじゃ、俺は…あいつに…


「ちょっと! 何遊んでるのよっ!!」


それはあまりに唐突で、なんの深い意図もない声だった。
普段となんら変わらない、いつも彼らのバカを怒鳴りつける声。それは緊張感に固まった空間を、あっさりと洗い流してしまった。

思わずぽけーっと声の飛んできた方に振り向く祐一と北川。
そこには不機嫌そうな美坂香里の姿があった。

「まったく、どこにいったかと思ったら二人揃ってこんなところで何してるのよ! 大体相沢君も、このバカ探しにいって喧嘩なんかしてるんじゃないわよ」

「いや、別に喧嘩してた訳じゃあ…」

「こっちは後始末で忙しいのよ! まったく、全然姿見せないからって心配して損したわ」

全然聞く耳持たず、言うだけ言うと香里は振り返りもせずプンスカと怒り心頭のまま立ち去っていった。

「何しに来たんだ? あいつ」

思わず祐一が零す。
そのまま気を抜かれたように思わず顔を見合わせる二人。


北川は自分の衝動がいつの間にか霧散していることに気がつき、力無く壁にもたれて蹲った。
なんだかなぁ、と呆れていた祐一は、その様子を見ながら思う。

やっぱり、こいつにとって香里は……

「なあ北川…お前、今の…」

思考を中断し、戸惑いながらも問いかけようとして祐一は口篭もった。
はっきりと言葉にならない。

だが北川はその曖昧な問いにあっさりと答えた。

「あれが俺の本性だよ…わかったか? 相沢。あれが…俺だ」

「そいつは…知らなかったな」

祐一の言葉に自嘲の笑い声を漏らしながら北川は続けた。

「あれほど、殺したいって衝動を抑えられなくなったのは初めてだったけどな。でも、昔から…いや生まれた時からそうだったんだ。危ないヤツだろ? 本当はのうのうとこんなところに…アイツの側にいるべきじゃないのかもな」

「さあな、そんなことはわからんけど…でもな、お前はあいつの…香里の側にいるかぎり大丈夫な気がするぞ」

香里の声が聞こえた途端消えてしまった北川の殺意。
結局、昔の北川の事など何も知らないが、なんとなく祐一は美坂香里がその殺意の源泉を蓋しているような気がした。

「それにしてもお前、なんであんないきなり…」

言いながらも祐一は確信していた。あの男を見てから北川は変だった。原因は間違いないだろう。

「北川…お前、あの男。高槻とかいう男を知ってるのか?」

無言のまま項垂れた薄茶色の頭が横に振られる。

「だが……」

「知らない。本当だ。顔も声も名前も記憶にない」

「記憶を…無くした覚えは?」

自分の喪失を思いながら祐一は言った。

「無いな。なあ、違うんだ相沢。俺はあいつを知らない。でもな、でも一つだけわかった事がある」

言いながら顔をあげた彼の顔を見て、祐一は言葉を失った。
そのあまりの生気の無い笑みに…いや、命の無い人形のような笑顔に



―あの男を殺す。俺はそのために生まれてきたんだ―



言葉が夜に溶けていく。
それきり二人はもう何も言おうとはせず、その場を動こうとはしなかった。
魔剣『ロストメモリー』がほのかな白光をまとっている。
相沢祐一は其の事に気が付いていない。










「邂逅は為された…か」

「…?」

ヴォルフは感慨深げに呟いた。
屋敷に仕掛けた遠視の魔術で、水晶玉から屋敷の様子を窺っていた来栖川芹香は、その言葉に小首を傾げる。

「いや、こちらの話だ。それよりも主よ、ヤツが来た様だな」

「(ヤツとは…まさか)」

「そうだ。混沌の王が来た」






§




― 転章  世界 ―




その時、二人の少年が抱いたものは無明なる絶望だった
彼らは無力なる自らを…世界を拒絶した

その時、二人の少女が抱いたものは戸惑いと愛しさだった
彼女たちは消えゆこうとする少年たちを抱きとめた


隠者は思う。

ただ見守るだけの苦痛を

世界は願う。

彼らの行く道が自らと共にある事を


彼は心に触れる事を恐れ、彼女は力及ぼせぬ事に涙する



今、彼らに在るのは限りない今と限りない虚ろ。

かつて交わった彼らの道は、今、陽の光の下と凍れる闇の中にわかたれてしまった。

彼らの行く道が再び交わるのか

それは世界にもわからない。





〜遂に世界は穿たれ〜


「うがぁぁぁぁ、放せ葵ぃぃぃ、ヤツラを殺ぉぉぉす!!」

「ダメです先輩、もう戦っちゃダメなんですぅぅ!!」

「知るかぁぁぁぁ!!」

葵に羽交い絞めされながら暴れる坂下好恵を横目に、柚木詩子は乱れる息を整えながらやれやれと安堵の吐息をついた。
彼らの横では、先ほどまで戦っていたセバスと澪が、今は仲良く会話している。どうもセバスはあの年頃というか、見た目の子供には弱いらしい。腕を誉められ、お寿司をご馳走すると言われてはしゃぐ澪に、孫娘に対したような優しい視線を向けている。

「はぁ、ヤバかったなあ、もうちょっと香里ちゃん達が来るのが遅れてたら、あの怖い女の人にボコボコだったよ、ねえ折原君…………あれ、折原君?」

自分と同じく、逃げ回った挙句に息も荒く座り込んでいたはずの折原浩平。その彼からの返事が返ってこないことを不信に思った詩子が、横に振り向く。
そこには胸を押えて蒼白となった浩平がいた。

「ちょ、ちょっと折原君? どうしたの? どっかやられた?」

ハッとした面持ちで顔を上げた浩平は、慌てる詩子に手を翳し、大丈夫だと苦笑いを浮かべた。

「本当? 今の君、明らかに変だったよ」

「大丈夫、別に何もないって」


何も無いはずなかった。

突然襲ってきたそれは、まるで身体に穴でも開けられたような感覚だった。
それは来た時と同様、唐突に消え去ってしまった。

もう一度胸を触って確かめてみる。当たり前だ、穴など開いてはいない。

浩平は訳の分からない現象に低くうめいた。

いや、訳がわからないでもない。彼はそれが何を意味するかを無意識に悟っていた。

そう、たった今、世界が穿たれたのだ。



御音・東鳩国境戦線


「瑞佳ちゃん!?」

深山雪見は、隣を歩いていた瑞佳が突如、倒れ込むように蹲ってしまった事に気がつき、慌てて駆け寄った。そして彼女の呆然とした呟きを聞いた。

「なに? 今の…」

吃驚した。それが最初に浮かんだ思いだった。
最初は痛いのかと思ったのだけれど、それはすぐに間違いだと気がつく。
それは重なる感覚。だれかが受けた痛みを、何故か自分が重なって感じたのだ。

何故そんな事がわかるのか…

ただ、重なる感覚。それが懐かしいものだったから
かつて感じたものだったから。

それは、わたしの勇気をそっと後押ししてくれた、その想い。

長森瑞佳は、その形にならない何かを確かめるように、そっと自分の身体を抱き締めた。
その想いの主が今、傷つけられたのを感じた。


御音共和国大統領府


「くぁっっ」

廊下を歩いていた里村茜は、突如襲った痛みに似た、だが決して痛みではない異様な感覚に、声にならない悲鳴を上げて、よろめく体を壁に手をついて支えた。
壁にもたれかかりながら一瞬で乱れた息を整える。そうする内に、いつの間にかその感覚は消え去っていた。
思わず手を胸に当てる。

「何かが…起こった? でも…何故私がこんな事を感じるのです?」

それは困惑と、郷愁。

その身体を貫かれたような衝撃とは別に、茜は懐かしい自分と再会したような不思議な感覚を覚えた

凍ってしまったと思っていた心が、少し震えた。

茜は自分の頬を涙がつたっていることを知らない。



御音共和国大統領府地下階


「……先生」

僕はあの人の事を忘れていたのだろうか…

そう自らに問い掛けて彼は首を振った。

そんなはずは無い。僕にとってもはや彼女だけが在るべき存在なのだから。…でも

浩平、瑞佳、茜と同様の現象はこの部屋の主たる彼にも起こった。
それは大いなる存在の痛みの共感。だが、それとともに懐かしい何かを思い出させた。

先生…僕の大切な先生。もういなくなってしまったあの人の存在がリアルに感じられ…いや、違う。違う気がする。

彼は心細げに瞼を震わせた。

僕は、大切な何かを忘れている気がする。



思いに沈むその彼を闇の中からじっと見つめる眼があった。
その存在は闇を通り抜け、部屋の外に姿を現す。

氷上シュンだった。

ただいつもと違う点は、その左眼から一滴の赤い血が流れ落ちていたということだ。

「彼が、いや多分彼だけじゃない。折原君たちも今の事象を感じたはずだ。さっき、君は彼らと深く…心を繋げたね。君が受けた傷故か…」

氷上は傍らの空間に、彼女がいることを察知し、語りかける。

「それにしても彼らがこれほど君と同調してるとは思っても見なかった。君はそれほど彼らに肩入れしていたのかい? みずか」

名前が呼ばれるとともに、ぼんやりと少女が姿を現した。
虚空に浮かんだ少女――みずかの左眼からもまた、氷上と同様に血涙が一筋の赤き流れを彩っていた。

「あの子たちが、わたしと波長が凄く合う体質なんだよ。でなきゃ、最初からわたしと関わることなんてできないもん。絶望は今この時でも世界中のどこでも誰かが抱いてる。それなのにあの子たちだけがわたしを喚べたのは、わたしと同調する才能を持っていたからだよ、それも二人同士でね」

なるほどね、と呟き、氷上は瞳から落ちた一滴の血を指先で拭い、その紅をじっと見ながら問う。

「じゃあ、何故僕は彼らより君と同調しているんだい?」

「わたしがわたしであることを知ったのは、貴方達のせい。貴方達のお陰。だから貴方達がもっともわたしと結びついてるんだよ」

「それは今まで知らなかったよ」

肩を竦める氷上にみずかはクスリと笑い、天井を、いや空を見上げた。
その表情に既に笑みはなかった。
氷上はみずかの頬を流れる赤い涙を暫し見つめて言った。

「やはり、それは……」

みずかは頷く。

「穴が開いちゃった。混沌が来るよ」






§




― 転章  翼 ―




少女は夢を見た

朗らかに笑う母の夢

力強く抱き締めてくれた父の夢

そして、自分をからかって喜ぶ少年の夢


目が覚めた後、その想いは泡の様に手のひらからすり抜けていく

それは、単なる夢だったのかわからないけど、哀しくて泣いた

泣いているとあの人が現れて、何も言わずにそっと抱き締めてくれた

嬉しくて、暖かくて、本当のお母さんみたいで、やっぱり泣いた


抱き締められながら左肩が疼いた

まるで、翼が切り取られたみたいに






〜そして巫女の一翼は羽ばたいた〜


カノン皇国 水瀬城中庭


未だ春とは言えない季節とはいえ、本格的な冬の寒さは去って久しい。
だが夜ともなれば寒さはまだ色濃く残っている。
妖術の実演を見せてやるというぴろの言葉に乗せられて月光浴気分で中庭へと出た真琴は、いつの間にか延々と魔術について講義を始めたぴろに恨めしげな感想を抱きながら、寒さに震えていた。
ふと講釈を垂れていたぴろの声が途絶えた事に、いつの間にか閉じていた重い瞼を開け、飛び上がった。

「ぴ、ぴろ!?」

ヨロヨロと蹲ってしまっているぴろを、慌てて覗き込んだ真琴は、さらに動転して目を白黒させながら叫んだ。

「ぴ、ぴろ!? 眼から血が出てるよ!?」

くっ、これは…遂に

真琴の悲鳴のような声を聞きながら、ぴろは何が起こったのかはっきりと理解した。だが今はそれよりも…

「騒ぐでない、大方瞼でも何処かで切ったのだろう。それよりもあゆ殿を」

そんな無茶苦茶なと思いつつ、隣で一緒に講義を受けていたはずのあゆを振り返り、彼女が虚ろな眼で宙をボンヤリと眺めていることにようやく気が付いた。

「へ? あ、あゆ、どうしたの?」

眼から流れ落ちる血を拭おうともせず、ぴろは真琴の頭に飛び乗り、あゆに呼びかける。

「あゆ殿、一体どうなされた!?」

「ボク…ボク、翼を…、あの子に…イヤ! ヤダ! ここから…」

「何言ってるの? あゆ!?」

訳の分からない事を口走るあゆの正気を取り戻そうと、真琴はあゆを揺さぶる。だがあゆは光を失った眼をしたまま、再び口を開いた。

「ボクたちの間違いの結晶、混沌を以って秩序をもたらすために創られた浄化の王。ボクは……」

「あゆ! あゆ〜!? ちょっとぴろ! あゆ、どうしちゃったのよぅ」

何かに憑かれた様に意味不明な言葉を紡ぐあゆ。
泣きそうになりながら彼女を揺さぶっていた真琴は、その事に気を取られ差し迫った危険に気が付かなかった。

「しまっ!? 真琴!!」

頭の上からかけられた切羽詰った声に真琴が反射的に空を振り仰ぐ。
その眼に映ったのは紅蓮の火球だった。
爆風が水瀬城の中庭に吹き荒れる。
まだ放心状態のあゆを抱き締め転がる真琴。

二人とは別の方角に吹き飛ばされたぴろは、敵に気がつかなかった自分を呪う様に呻いた。
そして敵を睨みつける。

「ラルヴァだと? まさかこんな所まで!」

黒翼の悪魔―ラルヴァが7体、虚空にその姿を現していた。
その内3体が今だ倒れ伏す真琴とあゆに迫る。

「くっ!!」

慌てて駆け寄ろうとするぴろの前に一体のラルヴァが立ち塞がる。

「キシャアアア!!」

眼を剥き、毛を逆立てたぴろが凄まじい鳴声を発したその瞬間、幾筋ものイカヅチが眼前のラルヴァに降り注いだ。
黒い炭に成り果てたラルヴァを飛び越え真琴たちに駆け寄ろうとするぴろだったが、残りのラルヴァが再び立ち塞がる。

「おのれ! どけぇ木偶がぁ! ……真琴、逃げろぉ!」



「ううっ」

聞いた声が響き、真琴は薄っすらと眼を開けた。
今だ虚ろな眼をしたあゆが視界に映る。
ボンヤリとした意識のまま振り返った真琴は、そこに異形の怪物の姿を目の当たりにし眼を見開いた。
咄嗟にあゆを抱えて跳ぶ。その背後を炎が舐めた。

「あうっ!?」

そのまま駆け出そうとした真琴は、右足に走った激痛につんのめって転倒した。

吹き飛ばされた時に捻った?
これじゃああゆを抱えて逃げ切れないじゃない

その思考を巡らす暇もなく、ラルヴァたちが放った炎が迫る。
真琴は成す術無くあゆを庇う様に抱き締めギュッと眼を瞑った。
その時、迫り来る炎をボンヤリと映していたあゆの瞳が突然光を取り戻す。

「だめ……ダメェェェェーーー!!!」

絶叫

その声に吹き散らされる様に炎が消える。

「あ、あゆ?」

呆然と真琴が見詰める中、あゆの身体が燐光を放ちながら浮き上がる。
その背には輝かんばかりの光を発した翼があった。
だが、その翼は右側だけであり、左の翼は見当たらない。

それは一翼の天使。

その姿に圧倒されるようにラルヴァたちの動きが止まる。


刹那、微風が吹いた。


一拍の間を置き、真琴とあゆを囲んでいたラルヴァの首が元から外れていたようにコロリと落ち、その黒き巨体が支えを失った様に倒れた。

「お見事です、上泉先生」

今しがた3体のラルヴァを一瞬にして葬った白髪の女、上泉伊世は、塵となって消えていくラルヴァを見下ろしつつ刀を納めた。

「大した斬り心地じゃないね」

声をかけた秋子の方を見もせず、伊世は城下の方に目を向けた。

「ふむ、どうやら街の方にも何匹かおるようだね。ちと片付けてくる」

「お手数をお掛けします」

「なに、もののついでだよ」

そういうと伊世はスタスタとその場から去っていった。
その後姿に普段と変わらぬ微笑みを浮かべながら、水瀬秋子は再び気を失って倒れたあゆを抱き上げた。

「秋子さん、あゆは…?」

心配そうに見上げる真琴を安心させる様に頷いた秋子は、残りのラルヴァをあっさりと片付けたぴろの方に顔を向けた。

「このような所までラルヴァが現れるとはな。我ながら油断だった」

そして秋子の足元まで来ると彼女が抱く少女を見上げた。

「秋子殿、どうやら最初から知っておったようだな? この少女の事を…」

突然、翼を現したにも関わらず、驚いた風もないこの女性

「ええ…以前、姉から…。まさか会う事になるとは思いも寄りませんでしたけど」

そう呟くと秋子は優しく少女の頬を撫でた。
その様子を優しげな眼差しで見ていたぴろは、

「歪みは大盟約世界を完全に穿った。とうとうガディムが現れたようだな、秋子殿」

「そのようですね。それにこのあゆちゃんの反応」

「タイミングが良すぎる。月の宮の巫女。浄化の王。かつて聞いたあの話はどうやら紛れもない事実だったようだ」

「そういえば、貴方の仲間には翼の民もいたのでしたね<アポステル>」

「古い話だ。仲間か…かつてそう呼んだ者たちも残り少なくなったものだ」

キョトンとしている真琴の頭に飛び乗りながら、ぴろは少し寂しげな顔を見せた。

「さあ、ここからが正念場だ。我々大陸に住む者にとっても、あゆ殿にとってもな」

「ええ」

「貴女が自重してくれる事を願うよ、<ロード>」

「大丈夫ですよ、子供たちがいるかぎり」





§





― 転章  混沌 ―



その存在の使命は再生のための破壊

その存在の使命は汚れた者たちの浄化

されどその存在の意思は暗闇に塗れ、姿を見せない

幾多の無垢なる魂を喰らいし異形の神よ

汝の果てはいずこにぞありや




〜さあ、心せよ彷徨いし者たちよ 全ての終焉の刻は来た〜



失われた聖地  旧大聖堂


虚空に穿たれた闇色の輪は、安定した状態でその輪郭を浮かび上がらせている。
先ほどまで、来栖川の別邸に姿を見せていた男―高槻が、主たる存在の降臨を迎えるためにその場に跪いていた。
やがて安定した状態であるはずの闇色の輪が悲鳴をあげるように軋みをあげはじめた。
空間が帯電し、周囲に紫電が走る。

闇輪の表面に波紋が流れ、それは現れた。

莫大な力…それは精神の弱い者なら視認しただけで気死しかねない恐怖の具現。
神々しき力…それはあらゆる存在を跪かせる聖なる魔性。

それはまったき暗色、黒き極光、深遠に凍る闇。
それは死と始を司る者。

禍々しき漆黒の翼を打ち開き、真紅の眼を瞬かせる神魔。

魔界の者たちは其の存在を混沌の王と呼ぶ…

カオス・ロード ガディム。




――……力は失われずに此処にある。今こそ、我が使命果たさん――

音もなく世界に降り立った魔王に、高槻は爬虫類の笑みを貼り付けながら問うた。

「して、主よ。俺に命ずるは如何に?」

――我が贄がこの地にあるをみた。これも天命。汝に差配を命ず、手に入れよ――

「ほぅ、真に僥倖。承知いたしました。然らば…?」

――宴の支度を――

「ふふ、御意のままに」









時は盟約暦1096年 未だ桜の花も芽吹かぬ晩冬。
大陸全土にラルヴァの大軍が出現。各地の都市・集落への襲撃を開始し、グエンディーナ大陸が混乱と恐慌に覆われた。



後の世に第二次魔王大乱と呼ばれることになる争乱の幕開けである。




    続く





  あとがき

八岐「まずは謝罪。ガディムとラルヴァですが、LF97の設定から大きくはずれそうです。もはや名前が一緒なだけの別キャラかもしれません」

栞「原作を無視しまくったアニメみたいですね」

八岐「…ぐはっ! ま、まあとりあえずそういう事でご了承いただけると嬉しいです。
さて、もし第一部という言い方をするなら当話で第一部終了です」

栞「これでもかってぐらいに詰め込んでますね」

八岐「うん、人間同士の戦争―三華大戦編の決着と第二次魔王大乱への導入が今回のお話だったわけで色々な人のエピソードの本格的なターニングポイントを書きたかったのです」

栞「色々な人というと?」

八岐「見ての通り、間三つの転章。この三つのエピソードを軸として第二次魔王大乱は進みます」

栞「…ややこしいですけどちゃんと出来るんですか?」

八岐「……はっはっはっは…マジヤバです(汗)」

栞「じとー…まあいいです。ところで、高槻さん出しちゃって良かったんですか?」

八岐「MOONキャラはこいつだけなんで勘弁してください。いや、見渡すと心底から悪逆非道ってこいつぐらいだったんで」

栞「あんまり設定変更したらダメですよ」

八岐「いや、本当は最初から出す予定だったんですよ。登場ゲームにMOONを入れなかったのは名前を出したくなかっただけなのです」

栞「それを小賢しいというんです」

八岐「きっついなぁ。さて次回ですが」

栞「まだ全然出来てないんですよね」

八岐「はい、すみません。ということで次回予告は不可能なのです!」

栞「その時点で続きが書かれるのか危ないと言う印象ですね」

八岐「あはは(汗) 第36話ですがしばらく期間が空くかもしれません。でも全然空かないかもしれません。という訳で次回までさようなら」

栞「訳わかりませんね。それでは私も、さようならです〜」


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