魔法戦国群星伝




ふわりと風が吹き、山々に生い茂る木々がざわめく。

そっと手が差し伸べられた。

風はその小さな手を優しく包むと、再び虚空へと舞い立つ。
それを見送った小さな手の主−どこか透き通った風貌を持つ幼い少女は、視線を眼下へと戻した。
彼女が腰を降ろしているのは、周囲の木々を頭一つ上回る高さを誇る巨大な大木…その一番上の大きな枝の上。 少女は、眼下−ものみヶ原で行われている人間の争いを足をブラブラと揺らしながら眺めていた。
彼女にとって、この世に起こる事象全てが目新しい。そう感じるようになった事は悪くない…少女はそう考えていた。
好奇心に満ちたその双眸は何も知らない幼き瞳にも、全てを知る悟った瞳にも見える。

突然、その瞳が揺らいだ。

「あっ」

驚いたような声が漏れる。

少女は自分が声をあげた事に眼をぱちくりさせ、そして嬉しそうに小さく微笑んだ。

いつの間にか、無意識に出来る様になってたみたいだよ、人間みたいな仕草…。

少女は笑みを収めると、たった今感じた違和感を確かめるように、自分の胸をそっと抑える。
今、彼女の瞳は、この世界の何処をも映してはいなかった。

ふと、瞳が閉じられ、少女の口が小さく開く。

「わたしを……理を歪めようとするあなたはだれ?」

問いかけに応える者はいない。

暫し静かに風の吹かれていた少女は瞼を開いた。そしてものみヶ原に集う人々を愛しげに一瞥すると、景色に溶け込む様に姿を消した。


これは未だ起こり得ぬ出来事……その始まりの予兆。


だが今はひとたび…命の火花散るものみヶ原という舞台に眼を戻そう。


舞台で演じられている戦場劇は、今、佳境を迎えていた。





< 第十九話  赤い雨が降っていた >




ものみヶ原 カノン皇国軍総本陣

怒号、悲鳴。時折赤毛熊(レーテスハール・ベーア)の怪力で吹き飛ばされた兵士がゴミのように空中を舞うのが見える。

圧倒的な攻撃力。

カノン近衛騎士団は勇戦した。実力以上の力を発揮したといってもいいだろう。
だが、『真紅の暴風(シャルラッフロート・シュトゥルム)』は容赦なく彼らをなぎ倒していった。




対銃弾防御幕(アンチ・ブリッド・シェル)はかけたな。大将が流れ弾でやられるなんてことになったら目も当てられないからな」

北川の言葉に頷きながら、香里は先程から心に浮いたモヤモヤとした気持ちに意識をやり首を振った。

今は……それどころじゃないしね。

ふと思い出した様に北川の横顔を見ながら問い掛ける。

「随分余裕ね、北川君」

奇跡的に敵兵はまだ本陣にまでたどり着いていないが、現状ではそれも時間の問題だった。
そんな絶望的な状況の中で飄々としている北川を香里は少し意外に感じる。

最初はあんなに焦っていたのにね。

だが、そんな北川の様子が、香里はどこか安心感を与えていたのも事実だった。

死の顎が目の前に迫っている状況で、平然と北川と会話を交わしていられる事がそれを表している。
もっとも、彼女がその事に気が付くことはなかったが。

北川は準備運動でもするかのように肩をグルグル回して見せながら香里に応える。

「ふふん、まあなんだ、さすがにこれだと真面目にやらんと拙いだろ?」

「ほう……今までは真面目にやっていなかったと仰る?」

「イエ……誠心誠意ヤラセテイタダイテイマシタ」

「六時方向、味方突破されました。来ます!!」

いつもどおりのじゃれ合いを遮る様に報告が響いた。

とうとうこの時が来た。香里は覚悟を決め、深く息を吸い込むと敵が来るであろう前方を睨みつけた。

だがその視線が遮られる。

「北川君?」

いきなり目の前に立ちはだかった北川への困惑の問いかけに背中越しに応えが返ってくる。

「美坂はここで魔術の援護頼むな。まあ前から来るヤツは俺が抑えるから周りは気をつけとけよ」

「ちょ、ちょっと!? 一人じゃ無理よっ!!」

「な〜に余裕余裕。天才に不可能はな〜い」

「こんな時になに馬鹿なこと言ってるのよ!」

切羽詰った叫びが悲鳴の様に響いた。

背中を刺す悲痛な視線に、しばらく沈黙した彼は言葉を発した。
今までふざけていた声音がふっと沈む。

「馬鹿なことじゃないぞ、本当のことだからな」

そう言って顔だけ振り向いた北川は、何故か寂しげな笑顔を浮かべていた。

「きた……」

言葉を失う。

まるで目の前の青年が自分の手の届かない、何処か遠くへ行ってしまいそうな気がして…

そんな香里を横目に、彼はふいっと空を見上げると言葉を紡いだ。

「逃げても逃げなくても、どちらの選択もお前を苦しめやがる……。美坂…俺は守るってのはそいつに辛い思いをさせないようにする事だと思うんだ」

「なに…を…」

「言ったろ? なんとかするってな。美坂はここに居ろ、いいな?」

そう言い残すと、ヒラヒラと右手を振りながら戸惑う香里を残して歩き始めた。

前方から3メートル近い赤い巨体が二頭疾走してくる。

真紅の暴風(シャルラッフロート・シュトゥルム)』の代名詞。凶暴なる赤い悪魔―「赤毛熊(レーテスハール・ベーア)
二頭の赤毛熊(レーテスハール・ベーア)は、前に出た北川を手ごろな獲物と見て踊りかかった。

「潤!!」

悲鳴のように思わず滅多に呼ばないファーストネームを叫ぶ。

香里の脳裏には北川が次の瞬間血まみれになって倒れる姿が浮かんだ。

だがその映像が現実となる事はなかった。
その瞬間、香里の瞳には北川の姿が一瞬陽炎のようにユラリと揺らめいたように見えた。

二頭の赤毛熊(レーテスハール・ベーア)がその巨大な前足を振るわんと立ち上がった姿で凝固する。


ズルッ


喧騒渦巻く戦場で、なぜかその音だけがよく聞こえた。

同時に赤毛熊(レーテスハール・ベーア)の胴体に赤い線が走る。と同時に血飛沫を上げながら、二頭の赤毛熊(レーテスハール・ベーア)の上半身が斜めにずり落ちていった。

大地に散らばったのは四つの肉塊。

「……えっ?」

信じられない光景にポカンとする香里。

誰も気付かぬうちに刀を抜き放っていた北川はジロリと本陣を落とすべく次々と現れる『真紅の暴風(シャルラッフロート・シュトゥルム)』の兵士たちに目を向けた。

その表情には普段のおちゃらけた明るい雰囲気は微塵もなく、なんの感情も見受けられない。
普段は軽薄な光を湛えている眼は、少し細められ、それが恐ろしく凄惨な雰囲気を醸し出していた。

北川はこれから行うであろう殺戮に、皮肉げに口元を歪めた。そして、ほんの一瞬だけ、その殺気を露わにする。


ギシィィィ



香里はその時、比喩ではなく空間が軋んだ音を聞いたような気がした。

自分の顔が蒼白になっているのが分かる。

今まさに北川に襲い掛かろうとしていた『真紅の暴風(シャルラッフロート・シュトゥルム)』の兵士たちは凍りついたように固まっている。いやそれどころか、ここ総本陣を巡る戦いそのものが一瞬、停止した。








その瞬間、『真紅の暴風(シャルラッフロート・シュトゥルム)』隊長 神岸あかりは雷に打たれたように本陣の方を振り返った。

冷や汗が滝のように流れていることに気づく。

「なに? 今の……」

周りを見れば両軍の兵士が呆然と立ちすくむか、へたり込んでおり戦闘は一時的に停止していた。

無理もない、とあかりはまだ白く染まっている思考をなんとか働かせて思った。

あの瞬間、まるで心臓そのものを直接握られたような恐怖を感じた。いや、自分は殺されたとすら思った。
それほど明確な死のイメージを与えるほどの濃い殺気を受けたのだ。

これは…まるで耕一さんたち鬼の鬼気…ううん、これは鬼気のような根源的な恐怖を与えるものとは質が違う。死を与えるのに慣れきった者の殺意……いったい、どれだけ殺せばこんな無機質な殺意を…

そこまで考え、あかりはさらに顔面を白くした。

冗談じゃないよ、そんな化け物があそこに!?







「ありゃ」

北川は拍子抜けしたように言葉を漏らした。

脅かせばちょっとは逃げると思ったんだけどなあ。俺も鈍ったか?

彼の眼前には、一時の硬直から立ち直った赤装束の兵士や魔獣がこちらに向けて突進してくる光景があった。精鋭ゆえの不屈の勇猛さだった。

「…あくまで美坂を殺ろうってのかよ」

気だるげに瞼が閉じられる。

心の底から滲み出てくるものに、彼は少し震えた。

それが、紛れもない自分の本性の一つだと知っていたから。

見せたくはなかった。今、自分の背中を見つめている少女には…。

嫌悪の目で見られたくなかった。

だが




もうどうでも良いとでも言うように溜息が吐き出された



「しゃあねえなあ…」



そしてその口元に浮かんでいた歪みが一つの明確な感情を露わにする…



「殺るか…」



悦びを








§









赤い雨が降っていた



赤い霧が漂っていた



空気が……赤かった






赤い装束を纏った兵士が悲鳴のような命令を叫ぶ。

「撃て! ヤツの足を止め―!?」


ガツン


その鈍い音を彼は頭の中で聞いたような気がした。



敵兵士の顔面に突き刺した刀を引き抜いた青年は、振り返りざまに襲い掛かる巨熊の首を刎ね飛ばすと、動きを止めずに次の獲物の肉を斬り裂く。

刀を振るいながら笑みが零れる。それはいつもの軽薄な笑みでも、悪戯っぽさに満ちた笑みでもなく、普段の彼には決して見る事の出来ない無垢で子供のような笑み。

彼は自分のその笑みが嫌いだった。

薄茶色の髪が陽光に輝き、金の色を帯びている…。



金色の悪鬼がそこにいた。








敵も味方もなく、そこにいる全ての者が恐怖を篭もった視線を彼に向けていた中で、香里は魅せられたようにじっとその姿を追っていた。



怖い……




強烈な血臭に視界が歪む。それでも意識を保ちじっと見続ける。



怖い…怖い…




自分の知らない彼の姿。その姿に恐怖を感じ、震える手をギュッと握り締める。


だが……


―死ぬつもりはないわ―


「ああ…」

つい先程、自分がそう彼に向かって言った事が唐突に思い出された。
そして、その言葉がこの光景を造りだしている事を理解する。
震える自分の身体を抱く。


北川君…これは私の望んだモノなのね…?


私のために創り出された殺戮の刻。

……私は守られた者としてこの光景を刻まなければならない。

北川君…私はあなたが遠くに行ってしまうと思った。でも、それは私が離れようとしていたのかもしれない。

潤、私は……。




§




「参ったな…予定外だよ」

目の前の光景を見て、あかりは小さくはき捨てた。
一人で軍勢を止める事が出来る腕の持ち主、つまり相沢祐一と川澄舞がこの場に居ないからこそ、この作戦は立案されたのだ。
なのに今、その存在が知られていなかった彼ら並の強さを持つ人間が立ち塞がっている。
しかも、何の躊躇も無くその力を揮っている。血の雨を降らせている事になんの忌避感も覚えている様子も無い。
そんな相手を前にして、タイムリミットが無いのならともかく、標的である美坂香里を狩るのはどうやら無理のようだった。


悔しいけど、そろそろ引き際ね。あと数分で相沢勢や打撃騎士団(ストライク・ナイツ)が到着する。
最低限の目的は果たした……でも。

あかりは悔しげに唇を噛んだ。

せめてあと十分あれば……。



「全員に通達。攻撃中止、撤収するよ。集結地点は変更なし」

その命令に、近衛鉄熊部隊は潮を引くように攻撃を手を収め、北側の山岳地帯へと走り去っていく。

いきなり、絶望的な戦闘から開放され呆然とするカノン近衛騎士団に、追撃する余力は残っていなかった。



§




「この刀、もう使えないなぁ。まあなまくらだったし、しゃあないか」

血と油に塗れて、ボロボロに刃零れした刀を眺めながら、北川は独りごちる。

部下であるはずの兵士たちが近寄ることを躊躇う中で、独りで佇んでいた北川に香里は一人歩みよった。

「美坂家にはいろいろ秘蔵の一品があるから、気に入ったのをあげるわ」

「そりゃ助かるな」

その言葉を最後に二人は黙り込んだ。

その沈黙を破り、恐る恐る北川が言葉を発する。

「美坂、俺……」

「北川君、バカなこと聞くんじゃないの。変なことを言ったら殴るわよ!」

何かを掻き消すように怒鳴る。

「美坂……」

どこか気弱げな北川の視線を受け止めながら、香里は声を落として

「……北川君のこと、怖いと思った。それは確かよ。でも、これは私が逃げようとせず、そのくせ死にたくないと言った私の現実を無視した傲慢な決意の結果」

すっと顔を寄せると囁いた。

「これであなたのことを嫌いになったら、私は人として不出来じゃないかしら」

「み、美坂〜」

感極まって思いっきり香里を抱き締めた北川は、脇腹に肘で一撃、隙間が開いたところに鳩尾に一発。さらに顎にアッパーを喰らい、大地に沈んだ所で思いっきり顔面を踏みつけられた。

「ちなみに、こんなことをするなら嫌いになってあげるわ」

「ごべんなざい」

「よろしい」

しばらく足の下の感触を楽しんでいた香里はポツリと呟いた。

「……もう、こんなやり方はしないでね。この戦い方は……あまりに異質過ぎるわ。強すぎる力を戦場で振るえばあなたは忌み嫌われる存在になりかねない」

「……俺は必要となったら幾らでもやるぞ」

「北川君!」

「だからな。こんな無茶苦茶やばい状況にならないように美坂が頑張ってくれれば助かるんだけど…」

キョトンとした香里は、やがてクスクスと笑いはじめた。

「……それはキツイわね。でも……努力はするわ」

笑みを浮かべた香里の瞳に血相を変えて駆け寄ってくる祐一と舞の姿が映った。

「ねえ、北川君」

「あん?」



――守るってのはそいつに辛い思いをさせないようにする事だと思うんだ――


私は……誰かを犠牲にする決断をしなくてすんだ。いえ、彼がそれを止めてくれたのよね。

香里はしゃがみ込むと突っ伏している北川の顔を覗き込み、小さく呟いた。

「ありがと、守ってくれて」

「ん………………でわお礼のキスを!」

香里は無言で拳を握り込むと、天高く振りぬいた。

今日も今日とて北川は、拳を推進力に空を飛ぶ。








ものみヶ原  倉田勢

北方へと流れていく赤き軍勢

佐祐理は自分の眼に映る光景を信じられず眼を擦り、それでも現実が変わらない事を知ると思わず口元を押えた。


皇国旗「スノー・クリスタル」は未だ倒れず、風の中にはためいていた。


香里さん…北川さん

溢れ出る感情を押さえつけながら、佐祐理は掌の下で唇を戦慄かせ小さな微笑を作る。

「一弥を説得する手段…一生懸命考えたんですけど、無駄になりましたね」

真紅の暴風(シャルラッフロート・シュトゥルム)』が前線を突破していったあの時、最悪の事態を覚悟した佐祐理は倉田家の後継者である一弥をどうにかして撤退させるつもりだった。
もし、敵が女王戦死を機に総攻撃を仕掛けてきた場合、前線を支える倉田軍や久瀬軍は全滅必至の死戦を戦わなくてはならない。


まず、生き残れないだろう。


その時、一弥まで死なせる訳にはいかなかった。

彼女の目前で、盛んに声を張り上げ兵を叱咤する弟を見つめ、眼を細める。

だが、一弥は抵抗するに違いない。

それに親友である舞も、自分を残して絶対に撤退しないだろう。それは皇都撤退戦の時に思い知らされた。

だが、一弥を舞に預けたら……? 二人とも退かざるをえないだろう。舞は一弥を預かって無茶は出来ないし、一弥も我侭を言って舞を危険に晒す事は出来ないはずだ。

優しい人間だから。あの二人は……



だが、それも必要なくなった。

それを素直に喜びながら前方を…帝国旗「一葉」を見据え、表情を引き締めた。

最大の危機は凌げました。ですが……本当の苦闘はこれからですね。




彼女は間違っていた。何故なら…………







ものみヶ原  保科勢

まさか神岸さんが退けられるとは……洒落ならんで

険しい表情の智子の眼には、味方の動揺は手に取るように見て取れた。

しゃあないわなぁ、絶対魔術(アブソルート・ウェポン)なんか見せ付けられた上にあの『真紅の暴風(シャルラッフロート・シュトゥルム)』突撃させた挙句に本陣落とすのに失敗したんやから。

「でも、悪足掻きもそこまでや。あんたらは予備軍まで動かしてもうた。切札は最後まで残したもんが勝つんやで」

智子はチラリと浩之のいる本陣に視線を向けた。直ぐにでも出陣命令が来るだろう。

カノン軍は『真紅の暴風(シャルラッフロート・シュトゥルム)』の攻撃で相沢勢と打撃騎士団(ストライク・ナイツ)という予備軍が動いてしまい、陣形が無茶苦茶になっている。
今、皇帝直属軍と保科軍が攻撃を繰り出せば、カノン軍は前衛部隊と後方との連携が取れず崩れ去る。


『オペレーション・ヤック』は今だ終わってはいなかった。だが……。





「保科委員長!!」

勝利を確信して険しい顔を緩めていた智子は陣幕に入ってきた男の素性に困惑を浮かべた。

なんや、うちの陣にはまともな使番はこうへんのか?

「あんた、たしか情報局の……。なんでこんなところにおるんや」

通常は戦場にはいるはずのない情報局に所属するその男は智子の問いを無視して逆に問い掛けてきた。

「皇帝陛下は?」

余程慌てていたのか、どうやら場所を間違えたらしい。

「あん? 藤田君やったらあそこの本陣やけど。どないしたん、なんかあったんか」

情報局員は一瞬迷ったが、彼女が軍の最高責任者であることを思い出し、先に情報を伝えることにした。

「実は、本国…長岡情報総監より第一級特別優先情報を携えてきました。内容はこれです」

そういうと智子に一通の封書を差し出す。

「第一級特別優先情報? またえらいごっつい名前やな」

いかぶしげに受け取った智子は書を開いた。

「……………っ!?」

一瞬にして智子の顔が朱に染まり、次の瞬間、潮が引くように血の気が失せる。

あまりの衝撃にフラフラと膝から崩れ落ちそうになったのを、傍らにあった机に手をつく事でなんとか耐える。

「あほな……」

全身を戦慄かせながら呆然と言葉を漏らす智子の手から、封書の内の一枚が零れ落ちた。

ヒラヒラと舞った紙は微風に吹かれながら大地へとその身を置く。

地面に落ちた書にただ一言だけが記されていた。









『御音共和国軍 帝国本土への侵攻を開始す』






    第20話に続く!!






あとがく

セリオ「なるほど」

八岐「な、なんだよ、いきなり」

セリオ「いえ、前回で先代助手氏を抹殺したのも納得の内容でしたので」

八岐「…既に先代扱いですか、相沢君は…」

セリオ「それにしても話もなかなか進みませんね。御音も漸く第19話にして登場ですか」

八岐「いや…ものみヶ原会戦編ももうちょっとあるんで……。しかし確かに進んでないですな。香里と北川の関係も全然出てないし、あゆも…」

セリオ「私は……?」

八岐「もうちょい待って(泣)。では次回は第20話『終わる決戦、始まる苦戦』……御音参戦の報に混沌とする戦況。ものみヶ原会戦はどうなるのか?」

セリオ「どうなるのですか?」

八岐「見てちょ」



SS感想板へ

inserted by FC2 system