魔法戦国群星伝





< 第六話 鬼の宿にて >




東鳩帝国 帝城


会議を終え、自らの出陣の準備に取り掛かるために会議室を出た藤田浩之は、ふと耳に響く可愛い足音に歩みを緩めた

パタパタと近づいてくる足音。

そろそろかな?と足を止める。

ベタン! という派手な激突音に「やっぱり…」と呆れたようにボヤキながら、しかし自然と込み上げてくる笑みに表情を任せながら、ゆっくりと振り返った。

案の定、彼の予想通り、一人の少女が顔面から床に突っ伏してる。

「はうう、痛いですぅ」

「相変わらず、よくもまあそんな、なんもないところで引っくり返れるな、マルチ」

半分泣きかけの小さな少女、マルチ。

彼女こそ帝国開発工房長 長瀬源五郎が生み出した、人にもっとも近い人形「自動人形」HMX-12 マルチであった。

現在は一応ながら宮廷式務長官の座に就いている。

ちなみに宮廷式務長官とは元来は宮廷の庶務一般を取り仕切る役職なのだが、勿論マルチに「取り仕切る」などということが出来るはずもなく、本人自らが掃除など、実務に奔走していた。

今見たように、ドジで泣き虫な人形という他に類を見ないタイプであるが、その愛らしさから帝国全土に熱狂的なファンが多数存在し、国民から『愛しき愛娘(リーベン・トホター)』と呼ばれている東鳩帝国のマスコット的存在になっていた。

「あのぅ、浩之さん?」

「ん? なんだ?」

浩之になでなでされ気持ち良さげに浸っていたマルチは、その表情をどこか不安そうなものに変え、上目づかいに浩之を見上げる。

「戦いに行かれるんですか?」

「まあな」

「危なくないですかぁ?」

「まあ…そりゃ危なくなることもあるかもな」

答えた浩之はマルチがまた泣きそうになっているのに気付き苦笑した。

「大丈夫だって、みんなが守ってくれるからな。だから心配しないで待ってろ。後のことは任せたからな」

そして優しく最後に頭をポンポンと二度叩くと、自分の出陣の準備に向かった。

歩いていく優しい主の背中を見送っていたマルチだったが、そっと胸に手を当て、自分の不安は消えていないことを確認した。

彼女にとって主である浩之は元より、彼の周囲にいる人々はとても大切な友人であったから、大好きな人達だからこそ、彼女の不安は消えなかった。

情報の収集分析に追われて会議に出席していなかった『千里耳(ヘルゼーエン)』こと情報総監―長岡志保が、ふと通りかかった会議場の前に、マルチがボォーと佇んでいるのを見つけたのはそんな時であった。

「マ・ル・チちゃーん!!どーしたのよぼーーーーっとしちゃってさー」

「あっ、志保さん」

いつもながらの変わらないハイテンションにもマルチは動じず挨拶する。
そして言葉足らずながらも自分の不安を志保に吐露した。

「うーん、でもねぇ、ヒロの奴も好きでやってるわけだし、やらせとけばいいんじゃないの?」

「でもでも、浩之さんだけでなくってみんなが危ないのが心配なんですぅ」

傍若無人で知られる志保であったが、バタバタと手を振り回し一生懸命想いを伝えるマルチをさすがに邪険には出来なかった。

「まぁねぇ、この志保ちゃんにかかれば策の一つや二つあるんだけど、でもヒロの奴絶対怒るだろうし……あーーわかった、この志保ちゃんにまかせなさい」

根拠無しの自信に満ち溢れた志保をマルチは尊敬に満ち溢れた目で見とれていた。

「はううう、志保さん尊敬しますぅ」



「とはいったもののどうしようかしらねぇ……」

勢いでマルチに啖呵を切った志保であったが、「う〜ん」と先ほどの自身満々の態度とは逆に、唸りながら城下町を歩いていた。
周囲は普段に比べてどこか慌しい。帝国全土が総力侵攻の準備に入ったためだろう。

そんな騒がしい街中を腕を組みながらテクテク歩いていた志保は突然立ち止まった。

「よし!この作戦でいっちゃおう。っとそれならまたあそこに依頼しないとねー」

志保は周囲を見渡し貸し馬屋を見つけると、扉を蹴破らんばかりの勢いで飛び込んだ。

「おっちゃん、馬一頭貸して! え? 代金? ああっそれなら浩之に付けといて。
なに? 浩之って誰だって? おっちゃん自分とこの皇帝の名前も知らないの? ちょっとわたしがなんでバカなのよーー。
……なによーこのわたしのいうことが信用できないわけ? これでも情報総監よ情報総監! えらいんだから。
ええそうよ、皇帝の藤田浩之につけときゃいいの、多少多めにふんだくっといて構わないから」

大騒動の挙句に馬を借り出し郊外に向かって走り出すこと数刻。ついた場所は鶴来屋と看板が掛かった巨大な旅籠であった。




帝都郊外 降山鶴来屋本店


志保が入り口を潜ると奥からパタパタと一人の少女が現われる。

「はぁーい、いらっしゃいませ……ああー志保さん! いらっしゃい、どうしたんですかいきなり」

アンテナのような触覚を立てた少女は志保の顔を見ると満面の笑みを浮かべて喜んでいた。
行く先々で大騒ぎするためあまり人にいい顔をされない志保であるがこの少女には迷惑という感情はないらしい。

「う〜ん初音ちゃんこんにちは、相変わらず可愛いわよ〜。ええっと今日はお仕事の話できたんだけと千鶴さんはいるかしら」

可愛いと言われて頬を染めて照れていた柏木初音だったが、仕事と聞くとコクコクと頷き、慌ててパタパタと一番上の姉であり鶴来屋の女将である柏木千鶴を探しに旅籠の奥に消えていった。


店前で待つのもなんなので、店内に入ろうとした志保に突然触れるだけで切れそうな鋭い声が浴びせられた。

「貴様、こんなところでなにをしている」

表から聞こえてきたその冷たい声に聞き覚えのあった志保は驚いて振り返った。

そこには鋭い目つきの割に覇気のない雰囲気、無愛想な表情の男、『羅刹伯爵(グラーフ・トイフェル)』柳川裕也が鶴来屋の前に超然と佇んでいた。

「ちょっと、あんたこそなんでここにいるわけ? 準備の方はどうしたのよ?」

志保は顔をしかめて強い口調で逆に問い返した。

確かに彼がここにいるのは不自然だった。
カノン北部領域への侵攻を命ぜられた柳川は今は侵攻の準備に追われているはずで、間違ってもこんなところでブラブラしているはずもないのだが。

「ふん、葵と貴之に任せている」

「やる気ないわねー」

呆れる志保に柳川は下らないとばかりに鼻を鳴らす。

「俺にあてがわれた相手は雑魚ばかりなんでな。やる気にならん」

元々戦闘狂(バトルマニア)戦争狂い(ウォーモンガー)という好戦的な人物なのだが、戦闘でも戦争でも相手に歯ごたえがないと全くやる気になれないタイプでもあった。

「で? なんでこんなところまで来てるのよ」

聞かれたくないことを聞かれたように目元をひくつかせ、言葉を詰まらせた柳川は、いろいろと言い訳を巡らすが結局白状する。

「……まあ、他に飯の美味いところがなかったんでな。それにサボってるとあの娘がごちゃごちゃとうるさいんだ」

「ぷぷっ、それでここまで逃げてきたんだ、まあ葵ちゃんは真面目だからねぇ」

からかいながら爆笑する志保に、こいついつか狩る、と心の中の獲物リストに何十度目かの志保の名前を書き込む柳川。

「それで? 貴様は柏木になんの用だ?」

「うん、ちょっと仕事を依頼しようと思ったのよ」

「……ほぅ、仕事だと?」

柳川の瞳が興味深く細まった時、奥より初音が戻ってきた。

「志保さん! 千鶴姉さんの所に案内します……あっ、柳川さん、また来てくれたんだ」

「ん? ああ……まあな」

「…また?」

初音のセリフの一部を思わず呟いた志保は、柳川に殺気すら込められた視線を向けられ、首を竦めながらも密かにほくそえんだ。

柳川って葵ちゃんだけじゃなくって初音ちゃんにも弱いのねぇ! それに『また』って結構よく来てるみたいだし。柏木四姉妹と葵ちゃんの六角関係……あっ耕一さんがいるから争奪戦になるわね。いやいや貴之君とのホ○疑惑もあるわけだし、くぅーナイス複雑関係よ。


柳川と柏木姉妹が叔父と姪という関係であることを完全に無視して、いいネタを仕入れたと内心狂喜乱舞する志保。
ちなみに彼女は帝国機関紙の編集長も兼任しており、機関紙「志保ちゃんタイムズ」はほとんど本当のことが書いていない新聞として有名なのだが、何故か巷では結構人気がある。


新聞のネタを仕入れてご機嫌な志保は初音の背中をバンバン叩いて言った。

「じゃあいこうか初音ちゃん。それじゃあね柳川さん」

しかし柳川は二人を引きとめて言った。

「いや……俺も行こう。面白そうだ」



鶴来屋の奥、二人が案内された会長室には妙齢の女性と静けさを纏った少女、そして一人の青年が待っていた。
鶴来屋の会長である柏木千鶴とその妹である楓、そして彼女らの従兄弟であり鶴来屋の幹部である柏木耕一であった。
ちなみに仲居役の初音ちゃんは自分の仕事に戻っており、梓は鶴来屋料理長として厨房で奮闘中である。

「よくいらっしゃいました、志保さん」

入ってきた志保に丁寧に挨拶した千鶴は、後ろに柳川が続いて現れたのを見て少し微笑んだ。

「あら……柳川さん」

「なんだ、また逃げてきたのか?」

どこかからかいを含んだ耕一の口調に柳川は露骨に目を逸らす。

楓は従兄弟と叔父のやり取りにクスっと笑いを漏らした。

初めて出会ったころの柳川がどこか殺伐とした雰囲気と虚無感を漂わせていた事を考えれば今の彼は別人だ。
楓はふとそんな思いを抱いた。
最も、彼の狩猟者としての、ある種の狂気は喪われていなかったが。

「それで志保さん……依頼の内容とはなんでしょう。我々に依頼するからには危ない仕事なんでしょうけど」

「うーんそうなのよ。はっきし言ってうちの工作員じゃ全然無理だと思うのよねぇ」

あんたたちでないと無理というリアクションに千鶴たちは顔を見合わせた。

「実はさぁ、マルチちゃんに泣きつかれちゃってね、みんなが危ないのが不安で堪らないって言うのよ」

「戦争ですか……」

呟く千鶴にそうそうと同意を示し志保は続けた。

「それでその戦争をさっさと終わらせちゃう方法をこの志保ちゃんが考えたわけよ」

「敵の頭を取る…ということですか?」

いままで一言も発さずに静かに話を聞いていた楓の言葉に、志保はビシィと楓を指差し

「そうよ、そのとおり楓ちゃん」と叫んだ。

「でもカノンの女王さまを暗殺っていうのは後々政治的にヤバイじゃない? それで誘拐してきて、人質にして、カノンに降伏を迫るっていうのが志保ちゃんミッションなのよ」

「なるほどな、暗殺だけでも大変なのに生かしたまま連れてくるというのは生半可な実力じゃあできないな」

「そういうこと、ウチの 非公式工作部隊(イリーガル・チーム) じゃ、ちょっと難しいわ。こんな無茶な作戦は貴方たち柏木家でないと成功させられないのよ」


柏木家――呪われし血の一族とも呼ばれる彼ら一族はただの人間ではない。
遠い過去に異界より降り立った戦闘生物が、人との間になした子の末裔であり、いわゆる鬼と呼ばれる存在である。
その力は並みの人間が束になっても傷一つ付けられないという大陸最強の生物でもある。

先年大陸で発生した魔王動乱においては藤田浩之に味方し、最後の魔王討伐戦では主戦力として活躍した。

戦後、浩之に重臣にと誘われたが彼らはそれを断わり、家業である鶴来屋に戻る。

現在では政府の優遇を受け、帝国全土への店舗拡大を始めているが、裏では今回のようにいろいろ厄介ごとの依頼を受けていた。

しばらく考えていた千鶴は耕一の顔を見て、そこに同意を見て取り依頼を受けることを決めた。

「わかりました。この依頼は受けさせてもらいます」

「ほんと? 助かるわぁ」

「じゃあ俺と梓で行ってくる。それでいいね千鶴さん?」

「えっ? 耕一さん……あのぉ私は?」

当然自分も参加するつもりだった千鶴は不思議そうに耕一に訊ねた。

「千鶴さんはダメ。鶴来屋を楓ちゃんと初音ちゃんだけに任せられないでしょ? 今足立さんが出張でいないんだから」

ちなみに足立という人物は鶴来屋を実質切り盛りしている人で、近年の鶴来屋グループの拡大はこの人物の手腕による。
一時期、政府より政務官にと非常に強い勧誘が続いたが、先代の頃より仕えた鶴来屋を捨てるつもりはないとキッパリ断ったという逸話を持つ。

「耕一さん……ダメ?」

眼をキラキラ潤ませながら上目づかいで頼み込む千鶴に、耕一はクラクラと同意しそうになる。

「え? いや、そのえへへ……はっ、ダメダメ千鶴さんかわいこぶってもダメだよ」

また一回り…大きくなりましたね、耕一さん。
と、千鶴の年齢を無視したブリッコ攻撃に耐え切った耕一に、楓は賞賛(?)の視線を送りながら口を挟んだ。

「でも耕一さん。梓姉さんと二人だけでは少し危なくはありませんか?」
とさり気無く自分を売り込む楓。

「そうですよ、やっぱり私もいっしょに……」
と楓の発言を巧みに利用して、再び攻勢を開始する千鶴。

突如、予期せぬ二面作戦を余儀なくされ、危機に陥りかけた耕一に意外なところから救いの手が差し伸べられた。

「俺が行こう」

「柳川!」
「柳川さん?」
「………チィ」

助かった、といった感じの耕一はともかく、恨めしそうな千鶴と密かに舌打ちする楓に少々ビビりながらも、志保は柳川に質問した。

「ちょっと、侵攻作戦の方はどうするわけ?」

「くくっ、あんなつまらん戦よりこっちのほうがよっぽど楽しい狩りになりそうだからな。長岡、お前帰ったら貴之に勝手にやれとでも言っておいてくれ」

呆れたといわんばかりに右手で顔を押さえ天井を見上げた志保は、あることないこと葵に吹き込んでやることにした。



    第七話に続く!!






   あとがき…(ほんと?)


八岐「ではあとがきを始めましょう。前回の続きー(ドンドン・パチパチィ)」

祐一「もはやこれは『あとがき』とは言わないのでは?」

八岐「言っちゃあいけない事を言う人は放っておいて、前回は魔法の種類というか種別みたいなのを軽く紹介しましたので、今回はまた違ったアプローチをば」

祐一「いいかげんな紹介と言った方が良かったような。まあいい、言ってみぃ」

八岐「戦国というからには合戦!」

祐一「題名が魔法戦国云々…だからな。しっかし、何で戦国なんだ? あんまり戦国っぽくないような」

八岐「いや、一応時代のレベルを日本の戦国ぐらいにして書こうと思ってつけたんだが……確かに魔法が使えるんじゃあ戦国とはいえないような。
むう、じゃあ今度戦国時代についてはまたいつか解説をやるとして、今回のテーマは合戦での魔法だ。
では今回も先生に登場してもらいましょう。せんせ〜」

佐祐理「あははー、呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーんですよーっ。倉田佐祐理参上ですーっ。よろしくお願いしますねー」

祐一「あれ? 今回は天野じゃないのか」

佐祐理「うう、祐一さん。佐祐理というものがありながら、他の女の人にうつつを抜かすなんて…」

祐一「ふふ、佐祐理さん。アイツは所詮、遊びですよ、あ・そ・び」

八岐「はいはい、寸劇はいいですから始めてください。相沢君も、そんな事言ってると美汐さんが怒るよ」

祐一「ぬう、怒ると怖いからな、天野は」

佐祐理「あははー、八岐さん、面白いのが浮かばないからって勝手に切らないで下さいねー」

八岐「ぐはぁ! き、肝に命じて置きますので今回はどうか……」

佐祐理「えっと、先生でしたね、分かりました―。
では軍務宰相の佐祐理がちょっとお話させてもらいます。
この大盟約世界には当たり前ですけど『魔導術』などの魔術を使う人がそれなりに沢山存在します。が、実際、魔術師で編成された部隊はほとんどありません」

祐一「え? どうしてだ? 魔術でドカ〜ンと吹き飛ばすとか活躍しそうだけど…」

佐祐理「そのドカ〜ンを使える人がいないんですよ。
登場人物の皆さんは当たり前のように強力な魔法を使いますが、一般の方々は単なる初歩的な攻撃魔法でも使うことは難しいんです」

祐一「なるほど、攻撃魔法そのものが普通で言えば超高難度の魔法なのか」

佐祐理「でも難しいとはいえ、攻撃魔法を使える人は魔導師の養成機関(帝国でいえば魔導師団『深き蒼の十字(ティーフブラウ・クロイツ)』ですー)などで数は集める事が出きるんですよーっ」

祐一「?? ならなんで?」

八岐「色々と問題があるんだよ」

佐祐理「例えば魔法の射程距離です。
これは現在、爆発的に普及しているマスケット銃(火縄銃の事です)には敵いません。とはいえ接近戦では味方を巻き込んでしまうので有効とは言えないんです(魔術の細かい制御が出来る人は非常に限られていますから)。
さらに言えば、呪文を詠唱している間に突撃を受けたら簡単に蹴散らされてしまいます。
攻撃魔術は防御魔術で防げるという事実も影響しているでしょう。完全な物理効果である銃撃は、魔術で防ぐのは難易度が高いですし」

祐一「戦場では銃の方が有効ってことなのか?」

佐祐理「そう言いきっても構わないでしょう。でも使い方次第とも言えます。
帝国では魔導師団『深き蒼の十字(ティーフブラウ・クロイツ)』の人員を個別に各部隊に派遣していますし、私達のカノン皇国では名雪さんが率いている独立魔導銃兵隊という魔導師を集中配備させた部隊があります」

祐一「なんだ、魔術師の部隊、あるじゃないか」

佐祐理「でもこの部隊の魔導師の役割は銃兵隊のサポート的なものを重視されたものですよ、あくまでサブです。
とはいえ銃と魔法の混成部隊は戦術的柔軟性が高いので、魔導師を主とした戦法も使う事が出てくるでしょうね」

祐一「御音にはそういう部隊はないんですか?」

佐祐理「御音は先の内戦で、魔導術を始めとした魔術の教育機関が殆ど機能していなかったために、魔術師の絶対数が足りないんですよ。
そのため、カノンや帝国に比べて魔術師の軍への配備率は少ないですよーっ」

祐一「へぇー」

八岐「前回の講師、天野美汐さんの率いる符法院戦法師団『鈴音』はどうなんですか?」

佐祐理「はぇ〜、あれは例外中の例外ですよーっ。構成員の全員が超一流の魔術と戦闘術を修めていますから、ベラボーに強いです」

祐一「ねえねえ、佐祐理さん。こうもっと、まとめて敵の軍勢を吹き飛ばしちゃうような凄い魔法とかないの? あったら簡単に勝てるじゃないか」

八岐「……禁断の質問だな」

祐一「え? 拙かったか?」

八岐「だって、それやり始めたら、わざわざ合戦に人数集めても、ドカンとやって終わりじゃん。まともな戦争になんないよ」

祐一「…確かに。じゃあそんな魔法はないんだな」

佐祐理「……いえ、実はあるんですよ。そういう魔法は確かに存在します」

祐一「え? でもまともな戦争にならないんだろ?」

佐祐理「そのまともじゃない戦争が行われた時代があったんです。それがこの物語の序章でもチラリと触れた盟約暦前の大破壊戦争時代です。
その時代では、『絶対魔術(アブソルート・マジック)』と総称された戦略級破壊魔術が使用されました……。
それも見境無く…。
それは世界そのものを破壊しかねない時代を招き…そして『大盟約』が…『永遠の盟約』が交される原因となったのです」

八岐「はーい、そこまで!! ストップストップ!」

祐一「えー、なんだよそれ」

八岐「これ以上はまだ早いので、また本編で出てきた時に説明しきれなかったら補足という形で紹介しますんで、今は勘弁してください」

祐一「ネタの出し具合が分からないんだな」

佐祐理「未熟ですねぇ」

八岐「うう、ごもっとも」

佐祐理「ああ! そうなるともう佐祐理の出番、終わりなんですね。ふぇー、寂しいですよーっ」

八岐「いや、佐祐理さん、そんな悲しい顔しなくても」

舞「佐祐理を悲しませるのは許さない(チャキ)」

八岐「げげ!? 何時の間に!? ちょ、ちょっと剣は危ないって(ザシュッ!)ギャッ!?」

祐一「つらつらと無意味に長い駄文でしたが、どうかご勘弁ください。ありがとうございました。次回も次回も次回も是非是非よろしくお願いします」

佐祐理「あははーっ、お願いしますー(祐一さん、随分と丁寧(?)な挨拶ですね)」

祐一(ふっふっふ、次回とうとう…とうとう本編初登場らしいんですよ、気合も入りますよ)

佐祐理(ふぇ、そうなんですか、おめでとうございますーっ。そのまま最後の出演にならないことを祈ってますよーっ)

祐一「…………ぐは」



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