生を刻むリズムが徐々にその強さを緩めていく。
終わり無き鼓動がその役目を終えようとしていた。
やがて、その心臓は疲れ果てたように最期に身震いし、そして停止した。
その秀麗な顔の半面を、溢れ出た血に濡らした女性が、倒れる男の胸から顔を上げため息を落とした。
眩暈にも似た憂鬱な感情に眉を寄せながら、彼女は懐から携帯電話を取り出しボタンを押す。
血に濡れた髪の毛が纏わりつき、ひどく不快だ。
無造作に髪をかきあげながら、携帯を耳に当てる。
今はただ、飛び出していった彼の身だけが心配だった。
ざわめく人ごみの間を縫うように駆ける先。目的の場所、当麻ビルが眼前に見えてくる。
だが相沢祐一は走りながら逡巡した。
果たして、このままビルの中に入ってみるか、それともこの辺りを探索するべきか……。
この場所に来たのは、元々、自分の確信だけが根拠なだけに、いざこの場に来てしまうと論理的な決断が下し難い。時間的にも微妙だった。もし狙撃地点がこのビルだったとしても、犯人がまだビルの中にいるかどうか。
いずれにしても選択肢が多すぎる。
そして、迷う時間もなかった。迷うほどに、さらに選択肢は倍化していくからだ。
携帯電話が鳴ったのはちょうどその時。
祐一は、足を止めもせず黒い携帯を取り出すと、耳に当てた。
『祐一!?』
耳元で、名雪の大声が張り裂ける。
思わず、一度携帯を離してしまった祐一の耳に、一転して沈痛な彼女の声が届いた。
『ごめん、ダメだった。今、対象者は息を引き取ったよ』
「…そうか」
『…うん、心臓は僅かに外れてたんだけど』
彼女の声に、此方への気遣いの感情が込められている事に気がつき、祐一は微かに微笑んだ。
護衛責任者として対象者をむざむざと死なせてしまった責任への痛感。それを慮ってくれた彼女の想いに感謝する。同時に、そんな気遣いをさせてしまった自分の不甲斐無さに祐一は唇を噛み締めた。
『ねぇ! 祐一! 今どこにいるの!?』
「今、当麻ビルにつくところだ」
『当麻ビル!? そんな所から狙撃されたの? ……まさか、そんな』
「いや、俺の勘だ。まだそうと決まった訳じゃ―――待て!」
脚が自然と止まり、視線が流れる。
何故、それが目に止まったのだろう。
後になってその時の事を振り返ったとき、祐一はどうしてもそれが不思議だった。
車道を隔てた遥か向こうの歩道。行き交う人の流れの中を歩く一人の男。疾駆する視界の端に微かに映っただけの、その何の変哲もない男に、祐一は意識を奪われた。
「見つけた」
思わず囁く。
痺れのような感覚が心臓を駆け抜けた。その男を見た瞬間、それが“捜し求めていた相手”だと何故か確信した。
何が、あの男を狙撃手と断じたのだろう。
その理由を、祐一は自問しなかった。疑問にも思わなかった。
もはや祐一にとって、それは狙撃犯に疑うようもなかった。
漏れでた声が、電波を介して名雪にも伝わったのだろう。
彼女の切迫した声が携帯から聞こえてくる。
『祐一! 祐一!? ちょっと待って!! 今、そっちに向かうから! 一人で先走っ――』
祐一は無言で携帯を切った。
一瞬、自分の手の中にある携帯を見つめる。
何故、切ってしまったのか自身の行動が理解できなかったのだ。
だが、祐一は無言のまま携帯を仕舞うと、黒いコートの男の姿を追い始めた。信号が変わるのを幸いに、横断歩道を足早に突っ切り、男の背後に位置を取る。
そして徐々に間を狭めながら、焦点を合わせず相手を観察した。
身長は170前後。黒のコートを纏った体型は思いのほか華奢。左肩から大きなチェロケースを背負っている。
背まで伸ばした赤毛を無造作に束ねており、その双眸はミラーシェイドに覆われ窺えない。
人種、年齢はこの距離では判別がつかない。
だが、祐一は疑いもしなかった。
彼こそが、暗殺者【サラーム】なのだと。
もう、それが自明であるかのようにして。
――国際犯罪者認定SSS級暗殺者≪サラーム≫
アラビア語で平和を意味する名を持つこの殺し屋は、2年前、ニューヨークのマンハッタンで、中華系マフィアのボスを白昼堂々射殺した事件で、その名を初めて裏社会に知らしめた。
存在すらも定かではない国際犯罪組織に所属するというその暗殺者は、年齢・人種は勿論、容貌・体型・経歴等のプロフィールを完全に闇の中に置いていた。性別ですらも、各国の当局が未だ男だと断定できずにいた程だ。
そう…この二年で、すでに九人を越える被害者が出ていたにも関わらずである。
犠牲者はマフィア関係者のような犯罪者に限らず、各国の要人クラス、財界関係者、軍関係者ですら対象となっていた。
そして、九人目は欧州の某有名都市の知事……これほどの大物を手がけながらその容姿すらも全く知られていない事実は脅威としか言い様がない。
いや、たった今、十人目の犠牲者が出た訳だ。
その正体秘匿性と厳重な警備を掻い潜っての浸透能力、何より手掛けた仕事の百パーセントの達成率により世界に十人と居ないSSS級に緊急認定される事となった謎の殺し屋。
それが今、目の前にいる。
歩幅にわざとばらつきを見せながら、スタスタと喧騒の人ごみの中を縫う。尾行は元々得意な方ではないが、致命的な隙を見せるほど間抜けでもない。少なくとも、大概の奴には悟られない自信があった。
尤も、このまま後をつけてどうするべきか……
名雪に連絡して人員を集めればそれで済む。それなのに……
祐一はギリと奥歯を噛み締めた。
何をやってるんだ? 俺は……。
自分が理解できない行動を取っている現状に、祐一は苛立ちを覚えた。
そうこうしている間に、男の姿が視界から消えた。
慌てず、ゆっくりと視線を動かす。
居た。
脇の路地へと入っていく。
気がつかれたのだろうか……。
だが、祐一は構わず後をつけることにした。
このまま後をつけても埒が空かない。ならば、ここで虎穴に飛び込んでみるのも一策だろう。
祐一は、人の流れから外れると、男の後を追い、路地へと入った。
やがて、疎らだった人影も絶え、路地は路地裏とも云うべき薄汚い所へと入る。
ビルとビルの狭間。陽が届かぬ灰色の空間。打ち捨てられたガラクタが転がり、新聞紙の切れ端がカサカサと音を立てて彼らの間を転がっていった。
そして、男の足が止まった。
祐一もまた、足を止める。
同時に視界を覆ったサングラスを外し、右の人差し指と中指の間に挟んでそのまま右手をぶら下げる。
……静寂。
……沈黙。
ただ、街特有の生温い風だけが、二人の間を駆け抜けていった。
スルリ、と祐一の持つサングラスが手から離れた。
滑り落ちる黒が、地面に落ち、軽く音を響かせる。
動いたのは全くの同時。
男は右手を懐に差込みながら振り返る。
祐一もスーツを跳ね上げ、ホルスターの自動拳銃『Cz75』に手を伸ばす。
だが、振り返った瞬間、男の動きが硬直した。祐一は躊躇せず、銃を抜き放ち男に向ける。
男は右手を懐に差し入れたまま、筋肉が石化したように停止していた。
微かに手と唇が震えている。
まるで動揺しているとでも云うように。
ミラーシェイドの奥に隠れた眼差しが驚愕に見開かれているような錯覚を覚え、祐一は幽かに右目を細めた。
困惑を抱きながらも、祐一はゆっくりと口を開いた。
「動くな」
いわれるまでも無く男は動かない。
銃口は正確に男の胸を指向している。微動だにしない。
「お前が……サラームだな」
その言葉を聞いた瞬間、祐一には男が驚愕から覚めたように思えた。
男の口元が酷く自嘲したように釣りあがったように見える。
男が小さく頷く。
そして、サラームもまた小さく口を開いた。
くぐもった日本語が漏れ出す。
「GB…ガーディアン・ビーストのエージェント……≪フォックス≫か」
ピクリ、と祐一の眉が跳ね上がった。
その仕草を見て、サラームは微かに納得したように頷く。
「十年前、僅か十を幾つか越える程度の少年がイレイザー・エージェントとして活躍した。少年のコードは≪フォックス≫…そしてその後五年に渡って敵対する勢力を震撼させ続けた天才特戦技能者。
五年前にこの世界から姿を消したと聞いたが…三年前にGBに復帰したという話、どうやら本当だったようだな。
今回の仕事、≪フォックス≫が関わっているという不確定情報は事前に聞いていたが…」
「貴様のせいで、見事に任務は失敗だよ」
「それはお前のせいではない。車から降りた所であの男が馬鹿なマネをしなければ、あそこで狙撃を成功させる事が出来たかどうか、五分五分だっただろうな。正直、今回のミッションほど成功が覚束なかったのは初めてだ」
淡々と紡がれるサラームの言葉は紛れもない賛辞。この護衛計画を立案した<GB>と、実際に護衛作戦を指揮していた祐一への、嘘偽りのない称賛だった。
だが、サラームの次の一言は、彼の言葉を聞く祐一の余裕を完全に消し飛ばした。
サラームは言葉を紡ぐ。それまでの硬質の口調を変えて、聞けば親しげと云いたくなるほどの口振りで、口許を緩めた。
「ましてや、オレを≪サラーム≫と見破り、追い詰めたヤツはお前が初めてだよ……相沢祐一」
眼が剥かれる。
銃口が乱れ、唇が震えた。
完全に動揺した。
本名は決して明かされない。常に彼らはコードで知られる。同僚同士ですら、互いの素性本名を知る者は少ない。
彼と名雪はその貴重な例外の関係。
顔やコードネームは兎も角、絶対に組織の外には伏せられていたはずのその名を口に出された事は、祐一に銃口を僅かにぶれさせる隙を作った。
コンマ数秒の微かな集中の乱れ。
それが戻った時、既にサラームは右手に握った『ベレッタ92FS』を此方に向けていた。
二人の指先が、トリガーを小さく絞る。
祐一は歯をギリリと軋ませる。
自分に匹敵する無駄のない動きで彩られたクイックドロウ。
圧倒的優位が、僅かな隙でイーブンとなってしまった。
だが、それよりも……
「き、さま……何故」
脳裏に恐ろしい想像が浮かぶ。
最悪の場合、この殺し屋の所属する犯罪組織の情報収集力は、GBのエージェントを丸裸にするほどのものだという事になる。
そうであった場合、GBの存在が根底から揺るがされることになりかねない。
だが、祐一の危惧を悟り、≪サラーム≫は小さく唇を歪ませて見せた。
「安心しろよ。俺はお前の名前を知らされていた訳じゃない。単に知っていただけだ」
「知っていた…だと?」
祐一がまとう張り詰めた緊張に、戸惑いが生まれる。
そしてそれは、目の前で現れた事実によりかつて無い驚愕に犯された。
「そうだ。俺はお前を知ってるんだ、相沢。そして、お前も俺を知っている」
そう云うとサラームは、ゆっくりと左手で自分の髪を掴んだ。そのまま無造作に引く。
スルリと赤毛の長髪はサラームの頭から外れた。その下から現れたのは、耳元で切り揃えられた柔らかげな栗毛の髪。
唖然とする祐一を前に、サラームは赤毛のかつらを放り捨て、おもむろに視線を遮るミラーシェイドを取り払う。
良く知る、だが彼が知る記憶には全く見た覚えのない凪の海のような眼差しが、幽かに緩みを見せながら、祐一を見つめた。
「まさ…か」
「三年振り、になるかな……相沢」
その名は自然と漏れ出でる。
「北川……潤」
その名を忘れるはずがない。
その顔を忘れるはずがない。
「こんなところで出逢うとは思ってもみなかったな」
北川は、銃口を向けたまま、静かな声音に紛れもない喜びと悲哀を込めながら微笑んだ。
その笑みに、その言葉に、祐一は思わず弾かれたように下がっていた右手を振り上げる。
銃口が再び交叉した。
だが、そんな事も意識せず、祐一は混乱をそのままぶつける。
「何故だっ!? 何故お前がここにいるっ! 北川ァッ!?」
悲鳴にも似たその叫びに、北川は穏やかに答える。
「オレがサラームだからだよ、相沢」
祐一の銃を握る右手は、今やどうしようもなく震えていた。
怒り? 混乱? 分からない。
だが、目の前の現実はあまりにも馬鹿げていた。
激昂する感情のあまり、発する言葉すら失ってしまった祐一に向かって、北川は懐かしむように語る。
「【双尾の夜狐】の消息が完全に聞かれなくなったのが五年前。当時の噂じゃ、【フォックス】は裏の世界から足を洗って普通の生活を始めたって話だったそうだな。……お前がオレたちの学校に転校してきたのも五年前。なるほど、時間的な辻褄は合うよな」
北川は沈黙する祐一の瞼が苦しげに細められるのを見て、自分の言葉が事実そのままである事を確認した。
そして、ここで出会ったGBエージェント【フォックス】が相沢祐一であると知った直後からどうしても消せずにいた疑問をぶつける。
「相沢…お前はこの血と硝煙しか無い腐った世界から抜け出して、普通の生活……日常を手に入れたはずだろ。それなのに…何故お前はここにいるんだ?」
自分を殴りつけるように睨み、同時にどうしようもない苦しみを瞳に宿す祐一に向かって、北川は唸るように怒鳴った。
「なんで【フォックス】に戻った! 相沢ぁ!」
祐一の表情が苦悶に歪む。
だが、それを見た北川はさらに容赦なく怒声をぶつけた。
「この馬鹿げた世界こそが自分の世界だとでも思ったのかッ!? そんなはずは無いだろうが! お前はあくまで相沢祐一だった! あの日常を捨て去る必要が、お前のどこにあった!? 何処に【フォックス】≫に戻る必要があったんだ!? ……水瀬まで巻き込んで」
その最後の言葉。名雪の名に、祐一の表情が消えた。
「お前の為だ」
ボソリと大気に紛れ、消えてしまいそうな小さな声を、北川は聞き逃さなかった。
その、深とした北川の視線にまるで促されるように、祐一は云う。
「お前を探すために、お前を見つけるために、オレはこの世界に戻った。消えてしまったお前を探すには…こっちの力が必要だった! 名雪も…同じだ」
「そうか……やっぱりな。オレの所為か」
北川は銃口越しに、苦しげな笑みを浮かべた。
「お前も水瀬も、本当に馬鹿だよ」
「馬鹿は…お前だろうがっ」
銃を持つ右手を突きつけながら、掻き毟るような声を吐く祐一に北川は唇を歪ませる。
「……そうだな」
「クソッ! 畜生、何故だ! …何故お前がサラームなんだっ!?」
「そうしなければ、生きていけなかった。オレが生きているとすれば、この世界の住人になってるって……なるしかないとお前も考えなかった訳じゃなかっただろ?」
「………北川ッ」
「サラームの名前が知れ渡るようになるとは自分でも意外だったな。才能があったんだよな。いや、才能があったから生き残れたんだ」
どうしても、銃口を外せない。
腕が動こうとはしない。だが、それにもまして指が震える。引き金を絞ってしまえと促すように。
だが、北川はあっさりと祐一の心臓を指向した銃口を下ろしてみせた。
「相沢……お前もうやめろ」
「なにを…だ」
「この因果な商売さ。お前が戻ったのは、裏世界の情報に頼ってオレを探すためだったんだろ? ならお前の目的はもう果たされたじゃないか。だったらもう【フォックス】でいる必要なんざ無いじゃないか。水瀬と……やめろ。普通の生活に戻れ。あの街に帰れ」
北川の黒いコートが翻る。
無防備に背中を晒し、北川は歩き始めた。
祐一の前から、遠ざかり始めた。
「馬鹿野郎! お前が……戻らないと意味がないだろうがっ!」
歩みが……止まる。
北川は背中越しに嗤った。
「もう抜け出せないさ。オレの組織は甘くはない。それに、抜けられない理由もあるんだ」
「なら何故俺を撃たない!? 俺はお前の…サラームの正体を知ったぞ!」
「生憎とオレは標的以外は殺らない主義でね。お前こそ、何故撃たない。オレは相沢、お前の素性を知ってるんだぜ?」
「撃てる訳が……ないだろうが」
呪縛が解けたように、祐一は『Cz75』を握りこむ手を力無く落とした。
酷くこの鉄の塊が重く感じる。
「お前を撃てる訳が無いだろう。この三年、ずっと探してきたんだぞ? 死んでるとしか思えない状況で、それでも生きてると信じて…探してたんだ! それを、撃てるはずがないだろうがッ!!」
「甘いな。バカみたいに甘ちゃんだ。だが、斯く云うオレも同類か。長生きはしないな」
自嘲するようにそう言い残すと、彼は再び歩き始めた。遠ざかっていくその背を見ることすらできず、祐一は俯き地面を睨み続けた。
その顔が上向く。
一瞬、脚でも撃ち抜き、無理矢理捕まえてしまおうとすら考える。だが、すぐにその思考を消し去った。
分かっていた。もはやアイツはどうしようもないほどこの硝煙のこびりついた世界の住人になってしまっている。もし自分が引き金を絞ったならば、否応無く向こうも反撃してくるだろう。
もし、アイツを止めるとすれば、それは命のやり取りでしかない。
何もかもが、どうしようもない。
だが……だがそれでも。
祐一には言わなければ言葉が残っていた。
「北川ァッ!」
歩みは止まらない。
「まだ、アイツは待ってるんだぞ!?」
刹那、黒のコートの背が震え、動きが止まった。
「香里はまだ、お前の事を待ってるんだ!」
北川は胸元からミラーシェイドを取り出し、視線を覆い隠すと仰ぐように空を見上げた。
「もう……戻れねぇんだよ、相沢。北川潤は、あの事件で死んだんだ。殺されちまったんだから」
そして、彼は身を翻し、祐一と対峙した。
その眼差しはもう窺い知る事は出来ない。そこにいるのは、祐一の知る親友ではなく、女子供であろうと容赦なく殺す暗殺者。
もはや、先ほどまでの親しげな声は無く、ただ思いの挟む隙間の無い硬質の声音が流れた。
「ここにいるのは【サラーム】だ。【フォックス】、もしまたオレの前に立つつもりなら容赦はするな。こちらもお前を殺すに躊躇はしない」
黒のコートがフワリと翻る。
止まりはしない。躊躇も無い。
佇む祐一を残し、【サラーム】はもはや振り返る事無く、繋がりを断ち切るように足早に立ち去っていった。
独り、眼を伏し俯く祐一だけが残される。
陽の遮られ、薄暗い裏路地に独り佇む。
「ば…か…野郎がぁぁぁ!!」
ただ、苦しみもがくような咆哮だけが、くすんだ大気を震わせていた。
to be next bullet.
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