何かわけわからん展開になってきたこのSSも後少し。


    なんと輝翼祭前日まで時間をすっ飛ばしてお届けすることに。


    出番をはしょられたキャラ達に再度出番はあるのか?


    そもそもこんなSS誰かが読んでいるのか?


    などなどもういろんなことがあってテンパッてもう自分でも何がなんだか。





    しかしこの後、事態は大変な事に………………………なりませんよ。やっぱり。









       野郎だけの井戸端会議
         熱闘!! 体育祭編・おんゆあま〜くE 
      








誰が何と言おうと今日はもう輝翼祭前日。
あの『相沢祐一、優勝宣言』に始まり3年7組、通称“問題児クラス”の『個人競技練習』などで学校も輝翼祭に向けて盛り上がってきた。
何より『反相沢派』と称される一部の男子生徒たちの気合といったらそれはもう凄いものがあった。
昼休みにもなると先を争うようにして練習する生徒たちが目に付いたものだ。
それは輝翼祭を盛り上げようと画策した一部の生徒にとっては己の意図すべき事であり、とても喜ばしい事には違いなかったのだが事態は「みんながやる気になってくれました。わ〜い」だけですむ事ではなかったのである。


輝翼祭に対する意識が高まり、生徒たちも熱心に個人練習に励み、学校全体の雰囲気が興奮というか熱気に包まれると異質とも言える空気がこのさほど広くない北の街全体にさながら電波の如く広がっていくのはあまり時間がかからなかった。
まぁ、ぶっちゃけた話。全校生徒にはおろか北の街の住人にまで“期待”されてしまったのである。
当初の予定ではやっつけ仕事でかまわないと思われていた数々の予定が、自分達が蒔いた種とはいえみんなに“期待”されちゃったからには適当に輝翼祭の準備をして街の住人達に“期待外れ”だったと言われるわけにはいかないのだ。
だもんだから、輝翼祭実行委員のメンバーはそれはもう寝る間も惜しんで準備に励んだのでした。


思えばいろんな事がありました。
久瀬君が疲労とストレスでぶっ倒れたれて保健室に担ぎ込まれたり。
輝翼祭についての目安箱を設置したら匿名で「パン食い競争のパンをジャムパンに」という要望があったのを祐一君が却下(1秒)したらその日の水瀬家の食卓はジャムづくしだったり。
輝翼祭のポスターを個人応募にしたら美坂栞画伯から応募があって祐一君と北川君がその絵を見ないように遠ざけながら「や、やっぱり絵といったら美術部だよな」「やっぱりお前もそう思うか」なんて話してたら、不審に思った久瀬君がその絵を見てしまい悶絶したり。
彼らにとってはあっという間の5日間でした。




さて、ここは学校からさほど離れていない通学路。
ここにそんな自業自得とはいえかなり大変だった仕事を終えた一組の男女が並んでテクテクと歩いていた。

「やれやれ、や〜〜〜っと終わったわね」
「本番は明日だぞ? そんな事でどうする。大体、君は口だけで何もしてないじゃないか」
「うっさい、久瀬ぇ」

見る人が見れば仲睦まじいように―――本人達は否定するだろうが―――して歩いているこの一組の男女。
どこか疲れたように、だけど仕事を終えた充実感からかそれとも明日の本番を思って興奮してるのか、高揚した面持ちで話している。

「まぁ、言いたい事はわかる。生徒会の皆が手伝ってくれなかったら今日は徹夜だったからな」

そう言って鬱陶しげに伸びてきた前髪をバサリと払うのは輝翼祭実行委員にして生徒会長の久瀬翔。こう言った仕草は祐一や北川からキザに見られるから辞めろと再三言われているものだ。
しかし、それが一向に直らないのは久瀬君曰く、2年の時に周りが3年という最上級生にも関わらず自分が生徒会長というトップに立ってしまったので虚勢を張るという意味で仕方なしに身に付けた仕草だったのだが、いつの間にか癖として定着してしまった。と言う事らしい。
同様に2年の時掛けていたメガネをイメージの撤廃の為とコンタクトにしている。
彼としてはそれほどまでに“嫌味な生徒会長”というイメージを無くしたいのだ。
だからと言って現在定着しつつある“悪徳会長”というのも御免被りたいのだが、これは彼は最近半ば諦めている。

「そ〜ね。たまちゃんたちには感謝しないとね」

と、言ってる言葉とは裏腹に感謝している素振りが全然見られないこの少女は輝翼祭実行委員にして生徒会副会長の田中涼子。
彼女自身の言葉を借りれば、彼女最大のウリである何でも見通すような大きな瞳は明日の輝翼祭を捕らえて離さない。
その猫目と形容してしまってもなんら差し支えの無い目に明日の輝翼祭の期待をたっぷりと含みながら久瀬の方を見る。
爛々と光る彼女の目を見て久瀬が盛大に溜息をつく。

「言葉の割には感謝の気持ちがあまり入ってないな」
「いいじゃん。たまちゃんたちには後で会長から恩赦が出る事だし」
「勝手に決めるな!!」

例によってぎゃーすぎゃーすと騒がしい事この上ない。
どうしても久瀬君、彼女と居ると絶叫系ツッコミが多くなってしまう。この事は彼自身も自覚しているのだが、彼女の生来のやかましさに身振り手振りを加えたオーバーなリアクションに対抗するにはある意味仕方のないことだった。



余談ですが、涼子の言うたまちゃんたちとは作者の手によってこのSSの出番を削られた生徒会のメンバーの事である。
フルネームを言うと富士澤環(ふじさわたまき)。若干一年にして生徒会会計をしている眼鏡ッ娘。
たちというからにはまだまだ居ます。宮前太一(みやまえたいち)、二年で生徒会書記。ひょろ長へらへら男。
そんでもって響政国(ひびきまさくに)、二年の生徒会補佐役。あだ名はキョーセイ。目つき悪し。
以上の3名と生徒会会長久瀬翔、生徒会副会長田中涼子の二人を入れて計5名で生徒会は運営されている。
詳しい外見、性格なんかは出番があったらという事で。




そんな出るかどうかわからん連中の事はひとまず放っておくとしまして、場面を彼らに戻しましょう。

「そういや、久瀬ん所ってかなり練習してたわよね」
「あぁ、これでも優勝候補だからな」

なし崩し的に始まった口論もひとまず終わり、話題は順当に輝翼祭の事に。
久瀬の言った優勝候補という言葉に涼子はピクリと反応する。

「あら、優勝候補と言ったらうちのクラスもなんですけど?」

そんな彼女の言葉を聞き、久瀬は内心しまったなと舌打ちした。
田中涼子、彼女は性格、言動から容易に推測できるように負けず嫌いなのだ。
色々な些細な事で久瀬や周りに勝負をふっかけてくるという困った所が彼女にはある。
その事を重々承知してながらも彼女を婉曲にだが挑発してしまったのだ。


田中涼子と北川君の彼女、穂村恵那は同じクラスで3年6組。祐一達とは隣のクラスである。
だからと言うわけではないが3年7組と3年6組は周囲にはライバル同士と認識されていた。
タレント揃いと言われた3年7組ほどではないが3年6組も中々個性的なクラスで教師たちからは6組と7組は鬼門と恐れられるほどだった。
そして『3年7組優勝宣言』を阻めるのは3年6組しかいない、とまで言われていた。


こんな事情もあり、優勝宣言とか優勝候補とか言う言葉は涼子にはタブーだったのだがあっさりと久瀬は言ってしまった。
この辺が北川から「ツメが甘い」とか「うかつ」などと言われる原因なのだが。

「そういえばあなた達のクラス、優勝宣言なんて大それた事してくれたわよね」

うちのクラスを差し置いて、と彼女は久瀬を睨みつける。
この優勝宣言が生徒たちの輝翼祭への意識を変える為の北川の策というのは彼女も知っていたがそれはそれ、これはこれなのだ。
睨みつけられている久瀬はダラダラと冷や汗を流す。

「それに石橋先生と賭けをしたそうじゃない」

うちのクラスを差し置いて、と彼女は久瀬を睨み続ける。
3年7組と石橋和志の間で交わされた賭けは瞬く間に生徒たちの間に広まった。
知らないのは例によって教師達だけ。
で、何で広まったかと言うと石橋が授業の合間に言ったから。それも嬉しそうに。
なもんで当然、涼子の耳にも賭けの事が伝わってきたわけで。
状況の不利を悟った久瀬は冷や汗を流しながら弁解を試みる。

「そ、それは相沢と北川が…」
「相沢と北川ァ? その二人はあんたの管轄じゃない。監督不行き届きッ!!」
「そ、んな無茶苦茶な……、それにあの二人を止めるのは無理……」

なんか自分で言って情けなくなる発言だと久瀬は思ったが、事実なので仕方がない。
そんな事は涼子もわかってるらしく「ま、それもそうね」と肩をすくめる。
何故か久瀬はガックリと肩を落としたようだったが、そんな事気にとめた様子も無く彼女が言った。

「でも、な〜んかこのまんまじゃアタシの気が済まないわね」
「気が済まないって、おい」
「そうだ。ねぇ、久瀬」
「な…、なんだ?」

なんかすっごく悪い予感がして久瀬は恐る恐る涼子の方を見た、うわ、笑ってるし。
こういう笑みを浮かべた時、彼女が何を考えそして何をしたいのか彼には良くわかっていたので気付かれないようにコッソリ溜息をついた。

「こうなったら勝負するしかないわね」
「予想通り、か」
「何が予想通りなのかは後で聞くとして、勝負するの? それともしないの?」
「一応聞くが、もし勝負しないと言ったらどうするつもりだ?」
「殴る」
「………それは脅迫か?」
「まさか」

ジト目で聞いてくる久瀬の言葉を、フフンと鼻で笑って涼子は言った。

「口だと本当の事言わないから体に聞いてみるだけじゃない」
「やはり脅迫じゃないか」
「もしアタシが脅迫するとして、殴るだけで済むとでも?」
「……なるほど。良くわかった」
「一応聞いてあげるけど、一体何がわかったの?」
「僕に逃げ道は無いんだな。そして決定権も」
「あったりー」

ケタケタと笑う涼子を尻目に久瀬は深く盛大に溜息をついた。
そんな久瀬の様子を見て涼子は楽しそうに言った。

「あ、そうだ。知ってる?」
「何をだ」
「溜息つくと幸せが逃げるらしいわよ」
「誰のせいだ。誰の」
「さぁ、アタシじゃない事は確かよね。だって彼女ってば『幸福』の代名詞みたいなもんだし」
「………はぁ」
「なかなか失礼なリアクションかましてくれるじゃない」
「誰のせいだ。誰の」

心底疲れたというように息を吐く久瀬を見てまた涼子は高らかに笑い声をあげる。
そんな彼女の様子を見て久瀬は片手で顔を覆うように如何にも「僕、悩んでます」なポーズを取る。

「それで、勝負って一体何をするんだ?」
「アラ、意外に乗り気」
「こうでも言わないと、君は話を進めないだろう」
「わかってんじゃないの」

久瀬にしてみれば現状で精一杯の皮肉だったがそんな事涼子に通じるはずも無く。
ケタケタと彼女の笑い声は通学路に木霊する。

「え〜っと、勝負の内容は…」
「内容は?」

ここでトーンを落とし、考えるような仕草を見せる涼子に思わず久瀬も聞き返す。
そんな一瞬の隙を見逃すはずも無く、涼子は一気にまくし立てる。

「ここから百花屋まで競争。負けた者は勝った者に奢る事。それじゃ、スタート!!」

涼子さん、スタートダッシュ成功。
久瀬が「あ」とか「おい」とか言う暇も無く、一方的にスタートした涼子は見る見るうちに遠ざかっていく。
この出遅れは運動神経も瞬発力も持久力も涼子に劣る久瀬にとっては正に致命的。

久瀬君の美坂香里ほどではないが常人よりも優れる脳細胞でも挽回は無理だと判断。


遅れる事数十秒後、またも盛大な溜息をついた久瀬は疲れた足取りで涼子の後を追っていった。




「遅いぞ、久瀬ぇ」

と、息を切らせている久瀬に向かって怒鳴っているのはとっくに百花屋の前に着いている田中涼子。
彼女は怒鳴ってはいるが勝者にして奢ってもらう事確定なので上機嫌だ。

ここでいつもなら久瀬君も言われっぱなしでは無く何か反論をするところなのだが、如何せん体力不足で息切れ中。
膝に手をつきゼーハーゼーハーと涼子の相手などとてもじゃないが出来ない状態だった。
そんな久瀬の状態を見て涼子は肩をすくめる。

「しょーがないわねぇ。それじゃ入りましょ」
「あぁ…」

久瀬がやっとの思いで出したかすれるような声を聞いてんだか聞いてないんだかわからない調子で涼子は百花屋のドアを開ける。
チリンチリンと来客を告げるベルが鳴り、エアコンの涼しい風が二人を撫でる。



百花屋に入った二人が見たものとは? なんて所で今回はおしまい。
続きは次回。

なにはともあれ、輝翼祭はもうすぐそこに。



   つづくっ!!



〜〜あとがきにみせかけたオリキャラ3人娘座談会〜〜

恵那「あっ!! こんな所にカメラがあるよ〜。あー、あー、マイクのテスト中、テストちゅー」
唯「恵那姉さん。それは違います…」
恵那「えー、そうなの?」
涼子「ったく、黙って聞いてりゃ何を言ってんのやら。こういう場合はワレワレハ…」
唯「それも違います!!」
涼子&恵那「「えー」」
唯「と、とにかく今回のあとがきは私達3人でやるそうですからさっさと話を進めましょう」
涼子「それもそうね。でも、なんでまたアタシたちが後書き出てるワケ?」
恵那「えーとね。何でも作者さんが言うにはわたしたちのキャラを掴むためらしいですー」
唯「もうすぐおんゆあま〜くも終わるそうですし、ここらでオリキャラの出番を増やす魂胆みたいですね」
恵那「ほら、きっとアレだよ。目立たなかったキャラがいきなり目立つと死んじゃう前兆だって」
涼子「不吉な事言わないで頂戴」
唯「そうですよ。それにこの話はこれからもシリアスでもなくギャグでもない中途半端で行くそうですし」
恵那「ギャグだったら死んでも大丈夫なんだけどねー♪」
涼子「だから何でアンタはそう言う事言うワケ? しかも音符なんか付けて!!」(と言いつつ恵那の首をしめる)
恵那「りょ、りょーこちゃん、く、くるしい…」
唯「りょ、涼子先輩その位にしたほうが…、泡吹いてますよ…」
涼子「大丈夫よ。この子はギャグキャラだから死なないわ」
恵那「ギャ、ギャグキャラじゃないですー」
唯「も、そんなのどっちでもいいですからとっとと話を進めましょうよ」
涼子「それもそうね」
恵那「ギャグキャラじゃないのに…」
涼子「はいはい、それはもういいから。えっと今回の話はアタシと久瀬だけだったわね」
唯「名前だけなら結構出てるんですけどね。それで今回は一番登場人物が少なかったです」
恵那「涼子ちゃんたちったらラブラブなんだから、もー」
涼子「いいからアンタは黙ってなさい。本当はもっと出てくるはずだったんだけどね」
唯「予定では私も出るはずだったんですけど…」
恵那「わたしも、わたしもー」
涼子「アンタたちは次回登場予定らしいわ。ま、アタシも出るけどね」
恵那「そうゆうことなのですー。次回にこうご期待?」
唯「いや、私に聞かれても…。とりあえずあと何回か前日の風景を書いて終わりだそうですので」
涼子「やーっと輝翼祭の話になるワケね。まったく何やってんだか」
恵那「何もやってないんじゃない?」
涼子「まぁ、そうなんでしょうねぇ」
唯「そ、そんな訳で次回も気長にお待ちください。それではー」


                                      3人もいると話が進まなくて困りますね。特に恵那には要注意。
                                                                         はせがー


inserted by FC2 system