魔法戦国群星伝
< 第三十話 新たなる一歩に向けて >
東鳩帝国 帝城 円卓の間
「どういう事やねん! ガディムは魔界に追い返したんとちゃうんか!?」
ドン、とテーブルに拳を叩きつけ、保科智子は会議室をグルリと見渡した。
そこには苛立ちと混乱が滲み出している。
無理もない。一度退けた脅威とこの大事な時に対峙するはめになったのだ。
そして、それはあの悪夢に再び直面しなくてはならないという事なのだから。
§
ラルヴァ大量出没の報に藤田浩之が示した反応は、比較的冷静なものだった。最も、内心がどうなっていたかは窺い知れない。
ともあれ、浩之は緊急に対策会議を開く事を命令する。が、国境地帯での膠着状態の影響で、諸将の多くは帝都から出払っており、結局開かれた会議に出席できたのは浩之と志保を除けば帝都に残っていた神岸あかりと保科智子、そして来栖川芹香だけであった。
そしてもう一人、芹香の傍らに金髪痩身の男が控えていた。
魔狼王ヴォルフ・デラ・フェンリルである。
浩之は、恐らくは今回の騒ぎの根源であるガディムと同じ魔界の住人であるヴォルフに意見を請うために、芹香を通して会議への参加を申し込んでいた。
浩之としてはヴォルフがこれを受けるとは思っておらず、念のため程度の気持ちだったが、意外やヴォルフは特に嫌がる風も無く参加を了承しこの場に現れていた。
§
凶暴に吊りあがったな視線が眼鏡の奥から放たれる。
そこに秘めた不安を感じ取り、浩之はポリポリと頭を掻いた。
志保とあかりは首を竦め、ヴォルフは我関せずと目を閉じて微動だにしない。
ただ、芹香がピクリとも眉を動かす事無くその視線を受け止めて答えた。
「(恐らく、我々と戦う前に何らかの手段をこうじていたのでしょう)」
「ちょい待ちいや、ならガディムは最初から私らに負けるとでも思うとったんか? そんなはずはないやろ」
納得できずに反論する智子にコクリと肯定を示し、自分の説を補足する。
「(ガディムが企んでいたのはこの大盟約世界と魔界を恒常的に繋ぐ門の構築だと思います。ガディム自身は我々により魔界に返されましたが、それ以前に自らが召喚した配下の魔族が残っていたのでしょう。ラルヴァの出現数が以前より遥かに多いのがそれを裏付けていると思われます)」
「なるほどねぇ、その門を今回利用して、性懲りもなく現れようってんだ」
「でも、そもそもなんでそんな門なんかを造ろうとしたの? その門を造ろうと考えた時には、もうガディムはこの世界にいたんでしょ?」
首を傾げたあかりに、茶菓子を摘んでいた魔狼王が頬杖をつきながら答えた。
「恐らく、大盟約世界でも完全に力を維持したかったんだろう」
「どういう意味だ?」
視線だけを浩之に向け、お茶で菓子を流し込んで面倒そうに喋る。
魔王の威厳など片鱗もないふやけた姿である。
「知っての通り、我々魔界の者は自力でこの大盟約世界に来る場合、又は召喚により大盟約世界に来た場合、どちらの場合でも元の魔界での力を維持したままで大盟約世界へと降り立つことは出来ない。世界の間にある虚を莫大な力を持ったまますり抜けられないからだ。だが、この世界に穴を穿ち、魔界と直接時空を繋ぐ。つまり部分的に魔界とこの世界を融合させる事で虚に影響されずに魔界同様の力を維持したままこの世界でも暴れられるというわけだ」
「そない簡単に魔界とこの世界を繋げられるんか?」
「難しいな。時空に常設干渉できるほど高度な魔法技術を持つ者はそうはいない。まあガディムがその数少ない例外だったということだろう。その例外が魔界の外にも手を伸ばす意思を持っていたというのは運が悪かったとしかいいようがないな。元々魔界の者は大盟約世界などに興味を示さないものなのだがね」
「しかし、ガディムは前回もその門を造ろうとしてたんだろ? 運良く門を開く前に奴を魔界に追い返してたみたいだが、もし遅れてたらヤバかったかもな」
「でも今回はその本来の力を維持したままのガディムが来るんでしょ? 浩之ちゃん」
不安そうに言うあかりのもっともな言葉に浩之は低く唸った。それにチラリと一瞥した志保は、視線を魔族の金瞳へと向けた。
「でさ、そのガディムの本来の力ってのはどんなものなの? そこらへんを魔王のオッサンに教えて欲しいわね」
「だれがオッサンだ! これでもまだ1000年も生きていないんだぞ」
「それだけ生きれば十分おじさんだと思いますけど」
思わず口走ってしまったあかりがギタリと凶悪な笑みを向けられて首を竦める。
少々頬を引きつらせながらも「まあいい」と居を正し、話を本筋へと戻す。
「本来のガディムは凄まじく強大だよ。奴を上回る力の持ち主は魔界には殆んどいない」
あっさりと言ったその内容に皆がギョッと目をむいた。
「ちょ、ちょい待ちいや。そないに強いんかガディムは? あんたとはどっちが強いねん」
「今の俺は召喚で喚び出された口だから話にならんな。これでも多少は腕に自信があるつもりだが…本来の俺でもガディムと正面から張り合ってはちと分が悪いかもな」
「そんな化け物だったのかよ」
「まあな、あいつと互角に張り合える者はせいぜい5,6人。圧倒できるほどの者となると魔界でも<死の在らざる姫君><真理の吸血姫><無死者>ルミラ=ディ=デュラルか、<万物の王><魔界創世者の眷属><界龍>敖舜。十八魔王最強たるこの二人程度だろう」
「そんなんがホンマの力持ったまんま来るんかいな。やばいやん」
蒼白となりながら言う智子。
「その門はもう開いているのか?」
「まだだろう。ラルヴァ共もまだ行動を起こしていない。主たるガディムが現れていないからだろう。だが時間の問題だ。場所を特定している時間もないし、ガディムが現れるのを阻止する時間もない」
返ってきた答えの過酷さに浩之は黙り込んだ。
円卓の間に険しい空気が漂う。
「マルチちゃん。お茶おかわり頼む。なに? 私も? ああ、芹香殿の分もよろしく」
「あ、は〜い、ちょっとお待ち下さいね」
部屋の外に控えていたマルチから返事が返ってきた。
…………若干二名を除き、円卓の間に険しい空気が漂う。
やがて浩之が口を開いた。
「この理不尽極まりない問題の解答はもう出ている」
「やっかいなんは解答を出すための過程やな」
智子の言葉に浩之は重々しく頷いた。
「縺れるな」
「なんだと? 粒あんの方が定番だと? 芹香殿もつまらん趣向をしているな。俺はやっぱりこしあんの方が――」
「「ちょっと黙ってろ、あんたらぁぁ!!」」
カノン皇国 スノーゲート城執務室
『……このように魔術を自在に操り、生命力もまた強大である。さらに統制だった集団行動、つまり軍隊行動も魔王大乱では頻繁に確認され、他のラルヴァを指揮する指揮個体が存在するものと思われる。
このことからラルヴァには階級が存在し、下位のラルヴァは上位の命令の元に動いているものと目される。しかし、現在の所明確な独立自己意思を持ったラルヴァの存在は確認されておらず、これらラルヴァなる生命体は魂を有しない無魂型魔造生命体の可能性が高い。
ただ、ラルヴァが活動停止後に塵化し、死体を残さないため確認は取れておらず、断定には至っていない。―――』
防諜局が入手した帝国のラルヴァ研究の要約版に眼を通していた香里は、ドアの開く音に視線を上げた。
「ダメですねー」
開口一番に佐祐理が疲れたように言うと香里は「そう」と小さく溜息をついて書類を放り投げた。
極秘に接触を持った東鳩帝国との外交交渉が決裂したのだ。
香里は傍らに置いてあったティーポットに手を伸ばし、お茶を入れながら椅子を勧める。
佐祐理も慣れた様子で「ありがとうございます」と言いながらティーカップに口をつける。
つい十数年前なら皇王が自らこのような些事を行う事など間違ってもなかっただろうが、ここらへん彼女の父親の代からルーズになってきている。
この点は御音・東鳩両国も当代元首となってから同じらしい。
最も、親しい友人に自分を名前で呼ばせているほどの彼女であるから、このような事など当たり前ですらないのかもしれない。
一息ついた佐祐理は一度座りなおし、背筋を伸ばすと外交交渉の件を切り出した。
「帝国はやはり簡単には敗北を認めるつもりはないようです。だからといってカノンは侵略された側ですから、弱気には出られません。御音共和国も何らかの成果がないと、自身が攻撃されたわけではないのに参戦した事に対して国民が納得しないでしょう。ただでさえ政権は出来たてで不安定ですから」
「今の状況じゃどっちが勝ったか負けたかという決定的なモノがないわけだしね」
帝国との国境で見通しの無い膠着状態にある現状を思い出し、香里はもう一度溜息をつく。
コツコツとテーブルを指で叩きながら無言で思索を巡らす。そして上目づかいに視線を佐祐理に向けて
「一度、御音側と本格的な会談を持つ必要があるわね」
「わかりました。早速手配しますねー」
素早い対応に微笑みを象る。
「お願い、佐祐理さん」
―――1週間後
御音共和国 某所
カチャリというドアが開かれる音に立ち上がったカノン皇国女王 美坂香里の視線の先に一人の女性が現れた。
凡そ二十代半ばと思われる、優しげな笑みを口元に浮かべ、強い意志を瞳に宿した女性。
「はじめまして、小坂大統領」
大統領と呼ばれた女性は香里が差し出した右手をそっと、だが力強く握り返した。
「こちらこそ、はじめまして 皇王陛下」
涼やかな声で挨拶を返したこの女性こそ、元御音革命軍総司令官にして、初代御音共和国大統領 小坂由起子であった。
由起子は香里の背後に立った人物に視線を向けた。
包容力と自信に満ち溢れた元首としての表情が、女学生のようなイタズラっぽい笑みに変わる。
「相変わらず若いわね、秋子」
「貴女こそ。久しぶりね、由起子ちゃん」
かつての学友同士は暫し抱き合って旧交を暖めた。
§
「さて、現状と今後の事について協議するために集まって貰ったわけですが……」
進行役として司会する倉田佐祐理を始めとして、カノン皇国・御音共和国両国から重鎮たちが、この会談に参加していた。
カノン皇国からは、女王 美坂香里、水瀬秋子公爵、宰相 倉田佐祐理、防諜局長官 久瀬侯爵、陰陽符法院代表として天野美汐、の五名
御音共和国からは、大統領 小坂由起子、軍最高司令官 折原浩平、軍軍師参謀長 深山雪見、軍軍師作戦長 川名みさき、
特別調査局局長 里村茜の五名が参加していた。
「――と、報告にあるように我がカノン防諜局と御音特別調査局の情報を総合した結果、今回のラルヴァ大発生は三年前の
魔王大乱時より十倍の規模となると判断している。この事からガディムがこの大盟約世界に出現する時に維持している力も、
前回とは比較にならないのではないかと考えるものである。ちなみに、この十倍という数字は考えられる上で
最も少なく見積もった数とお考えいただきたい」
予想以上の数に唸り声が上がる。
「前回のように帝国だけの問題とはいかないということね」
押し黙る一同の中で深山雪見が発言した。
「御音・カノン両国でも目撃されている以上、他人事ではありませんね。恐らく、大陸そのものの存亡をかけた戦いになるでしょう」
「その事は帝国も認識しているわけよね」
答えた里村茜に雪見が問い返した。
「当然、帝国も戦争の遂行は困難と判断しています」
「それなのになかなか停戦まで持ってけない。面倒だね人間って」
困ったもんだという思いが滲み出ているみさきの発言に、当事者である会議参加者たちは苦笑しながら顔を見合わせた。
「でも、ラルヴァの総数が空前の数にのぼるのを考えれば、帝国と戦争しながら片手間で、というわけにはいかないわ」
「それどころか、帝国と同盟を結んで連合でもしない限りガディム軍に対抗できるかも怪しいしね」
美坂香里と小坂由起子の冷静な意見に、久瀬が馬鹿にしたように言い放った。
「停戦すらできない状況で、連合ですか? ついさっきまで敵だった連中と平気で組めるものですかね?」
「でも、協力体制を作らない限り、カノン・御音・帝国という区別もなくなってしまいますよーっ」
佐祐理の最もな意見に久瀬も肩を竦めて黙り込んだ。
「とにかく、御音・カノン・東鳩の三華による連合が必要ってのはみんな認識してるわけだ。じゃあまずはどうやって戦争に決着をつけて停戦まで持ち込むかってことになるわけだが」
折原浩平は回りを見渡しながら話を纏めた。
けっきょくそこに話がいってしまう。その停戦の目処が立たないからこそこうやって御音・カノンのトップ会談を行っている訳なのだが……。
誰もが唸るように口を噤んでしまい、沈黙が広がる。
と、それまで全く発言せず推移を見守っていた水瀬秋子が無言で手を挙げた。
全員の視線が秋子に集中する。
「それについては案があります」
東鳩帝国 帝城
「なるほどな」
感心したように呟きながら、東鳩帝国皇帝 藤田浩之は頬杖をついた。
「そういう手で来たか」
長岡志保は肩を竦めるとスラリと伸びた足を組み直した。
テーブルには志保が持ち込んだ情報解析の報告書が無造作に置かれていた。
『御音・カノン両国から特別に選抜された精鋭部隊による帝城襲撃計画』
志保は彼の眼を覗き込むようにして、
「問題はこの情報が意図的にリークされてるってことね。わかる?」
「ああ、こいつは挑戦だよ。少数同士の戦いで白黒つけようって意味だろうな。これは確かに有効だよ。俺たちも向こうもガディムの侵攻が確実な以上、出来るだけ兵は損ないたくないわけだからな。それにこの決闘――うん、決闘だな、これは――に参加するメンバーにもまず危険はないだろうし」
「危険がない? どういうこと?」
眉を顰める志保に向き直り、ゆっくりと自分の中で確かめるように言葉を選びながら答える。
「ここで誰かが死ぬか再起不能になれば、それだけ不利になるのはどちらの陣営も変わらないって事だ。後にガディムとの戦いが控えている以上はお互い味方になる。下手な潰しあいは避けなきゃならない事をお互いが了承している」
「暗黙の了解って訳、都合のいい考え方ね。それなら……最初からそうやって戦争の勝ち負けを決めればよかったじゃない」
「無茶言うなよ。ガディムという予想外の要因が出てきたからこその話だぜ?」
「わかっているわよ」
不機嫌そうに言い捨てる志保に浩之は苦笑いを浮かべた。
「ま、どちらも引けない以上、こういう決着の付け方もしようがないだろうな。どちらにしろ、大陸統一は、御音の参戦でご破算だったわけだし」
「アンタの野望はどうするのよ」
「野望? 海外進出か? それは勿論諦めてねーよ。大陸統一が不可能になった以上、外敵に対するための三華の関係強化が必要だったわけだから、向こうからの決闘の挑戦状は渡りに船だったんだ。
白黒もつけずにあやふやなまま安易に妥協しても、強固な結びつきはできない。ガディムを討伐すれば、協力関係もすぐにバラバラになって再び緊張状態に戻るだろう。いや、それ以前に緊密な協力もないままガディムと戦って勝てるかどうかも怪しい。
だが、決着を付け、互いに納得した上で共通の敵の侵略と戦うなら、相互の結びつきは強固なモノとなる。相手が交渉もままならない人外の者であるとすれば尚更だ。
ガディムの出現は、もしかしたら俺たちにとってある意味好都合だったかもな」
「でもガディムに勝てなかったらとんでもないことになるよ」
「そりゃそうだ。だからこそ早いとこ事態を終結しないといけないんだ」
浩之はおもむろに振り向くと、不敵な笑みを浮かべ志保に決然と告げた。
「志保、みんなを集めろ。やるからには妥協はなしだ」
東鳩帝国 某僻地
「そこにはお前の目的の男も来るというわけかい?」
「はい、恐らくは」
150pほどの小柄な禿頭の老人は、目の前で跪く男――柏木耕一にどうしたものかと溜息をついた。
「オメーが俺っちの所に来てまだ三ヶ月だ。確かにオメーの戦闘センスは天才よ。たったそんだけの期間であれよあれよと俺っちの技をマスターしたってのは脱帽もんだがね。だがよ、まだはえー、早すぎるわな。オメーの相手はそんだけで勝てるような相手とは思えねーがよ?」
「……師匠、俺強くなりましたか?」
「まあ、技術に関しちゃ、もう素人じゃねーのは確かだわ」
「俺はもう一度、自分の力を試してみたいんです」
「……まあ、やりてーなら別に止めねーわさ。好きにするさね」
「ありがとう…ございます」
言葉好少なにペコリと一礼した耕一は、背を向けると静かに歩き去った。
「耕一よぉ、技術だけで勝てるほど、戦いってにゃぁ甘かねぇぜ。要は考え方よ。そいで考え方っちゅうんはそうそう簡単に身につくもんでもにゃーわ。まあもう一度くらいはコテンパンにヤラレるのも良いかもな」
老人は小さく呟くとケケケと笑って酒の入った徳利にあおった。
東鳩帝国 開発工房
「長瀬サ〜ン」
ピョコピョコと飛び跳ねながら現れた宮内レミィに、開発工房の長 長瀬源五郎は「よく来たねぇ」と待ちかねたように招き入れた。
「出来たってホント〜?」
「ああ、急いで仕上げたよ。う〜ん、あ! これだ」
ゴソゴソとゴミの山にしか見えない積みあがったガラクタの中から大きなケースを取り出すと、パカリと開いて見せた。
「……ビューティフル」
レミィは陶酔したように小さく口ずさむ。
「工房&魔導院の最高傑作 魔導式二丁拳銃『双后銃』」
長瀬はおもむろに二挺の拳銃を取り出した。
片や深海を思わせる深き蒼色の拳銃、もう片方豪奢な装飾を纏った金色の銃だった。
「この青い方が『悲愴なる碧玉』、そして金ピカのが『幸運なる黄金』だよ」
目を輝かせながら受け取るレミィを嬉しそうに見つめながら源五郎は説明を続けた。
「この銃には銃弾は必要ない。君の魔力を半物質具現変換して光弾として発射する。君の魔力が尽きない限り撃ち放題というわけだ」
「魔力? あたし魔術なんて使えないヨ?」
「はは、魔術と魔力は関係ないよ。魔術は技術であり学問に過ぎない。しかも才能が要求されるね。確かに君は魔術は使えないが、
魔力に関しては大したものだよ。量らせてもらったがね、君の魔力容量に匹敵するのは来栖川芹香くんぐらいのものだ。
まあ、折角それだけの魔力を持ってるんだ。使わないのは宝の持ち腐れだろう。それでこんなものを造ったんだよ」
「ふーん、それでどれくらい撃っても大丈夫なの?」
「うーん、実戦試験を行ってないから確かな事はいえないけど、計測値は千発までならなんの問題も無いと出ている」
目を丸くして口笛を吹くレミィに気持ち悪いウインクを返して長瀬は続けた。
「それと魔力パターンを君のモノに限定認識させてあるから他の人には扱えないよ」
「OK、でも最初から他の人にタッチさせるつもりはないヨ」
顔をとろけさせながら銃に頬擦りしているレミィに長瀬はヤレヤレと肩を竦めた。
続く
あとがき
栞「強引に話をまとめにかかりましたね」
八岐「書き手の構成の下手くそさですな」
栞「あんまり自分で言わない方がいいですよ」
八岐「うぃ、気をつけます。さて次回は?」
栞「はい、第31話『Open the Duel Paradise』です。……英語ですね」
八岐「八岐は英語が苦手なので合ってるかどうか怪しいです」
栞「これまでカタカナで逃げてきたのに、思い切りましたね」
八岐「思い切りました(笑)」
栞「さて、予告ですが、私たちカノンと御音の混成チームが東鳩のメンバーと文字通り決闘紛いの戦いへと突き進みます。なんと、私も出るそうです」
八岐「最後の出番(ポツリ)」
栞「……八岐さん?」
八岐「はい、なんですか…って、うわあああああぁぁぁぁぁ……(キュポン)」
栞「ふふふ、入っちゃいましたね。名前を呼ばれて返事をしたら吸い込まれるのは定番じゃないですか、油断しましたね。
えっ? 何に吸い込んだかですか? 決まってるじゃないですか(微笑)
それでは、また次回、さようなら」
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